2009年 進化を遂げる検索 - [1] ユーザ最適化を進める検索エンジン、そしてSEOはどう変わる?

2009年検索業界展望シリーズ。第1回は、パーソナライズ検索、ジオロケーション、ユニバーサル検索が導入されることのサーチマーケティングへの影響について。


公開日時:2009年01月13日 10:27

2004年3月に米Googleがパーソナライズ検索(Personalized Search)をリリースした時、検索業界の専門家から「将来、(多くのマーケッターが当たり前の尺度として利用する)ランキングという指標が意味を持たなくなってくる」という指摘がなされていた。また筆者自身も2007年に何度かコラムや講演において、検索技術の進化により検索結果がキーワードや地域、ユーザ、ソーシャルグラフに応じてリアルタイムに個別化されることにより、普遍的なランキングの意味が消滅する、少なくとも相対的な重要性が大きく低下する可能性について言及してきたが、2009年の今年、それに関心を寄せ、対応を検討しなければならない時を迎えている。これは、特にGoogleがパーソナライズ検索やユニバーサル検索(Universal Search)、さらに検索ボリュームや検索行動などのユーザデータを反映して、リアルタイムに検索結果を更新していることに起因する。

「Googleの話か。日本はYahoo!JAPANだ」とお思いの方もいるかも知れないが、Nielsen Onlineの調査によると検索利用者数はYahoo!JAPANが約3,700万人に対し、Googleは2,700万人、比率にしておよそ6:4(2008年10月)。着実にGoogleの検索利用者数は伸びており、検索マーケティング担当者にとっては決して軽視できない存在になっていることを心に留めておいて欲しい。

さて、話を戻そう。ユニバーサル検索はキーワードへの最適化、パーソナライズ検索はユーザへの最適化という見方ができる。つまり、同じ文字列というキーワードであっても、すべてがウェブページというテキスト形式の情報ページを求めているわけではない。先日のコラムでも触れたように、検索意図が求める答えは地図や画像、動画のケースもあるので、クエリに応じてGoogleは検索結果に表示するコンテンツを自在に変えてくる。また、同じキーワード「SEM」であっても、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)と検索エンジンマーケティング(Search Engine Marketing)どちらを求めているかはユーザに依存するためパーソナライズによって解決する。また、仮に(Googleアカウントにログインしていなくても)同じ SONY や Panasonic と検索した場合に、日本在住のユーザとサンフランシスコ在住のユーザでは異なる(後者なら米国法人のサイトを求めているかも知れない)ため、ジオロケーション技術を用いて両者のユーザに対する検索結果を変化させる。

これに加えて、世の中の話題やトレンドを反映させることで、さらに検索結果の関連性(Relevancy)を改善することが可能だ。QDFの仕組みによりリアルタイムに順位が変動していることは以前触れたが、これにユニバーサル検索を通じたコンテンツが入り込むことでも順位が変化することも多々増えてきている。たとえば、「お正月」というキーワードで2009年1月1日に検索すると、Googleからのメッセージのほか、お正月に関連するイメージ結果が最上部に表示されていた。しかし1月6日以降は、イメージ検索は一切出ていない。同様に、昨年10月中旬から末日にかけて「ハロウィン」と検索すると、ハロウィンの画像(かぼちゃのオバケ)や動画が検索結果中に含まれていたが、11月1日になると画像や動画は消え、今度はハロウィンイベントに関するニュースが表示されるようになった。そして2009年1月8日現在は、単なる10本のウェブページへのリンクを表示しているに過ぎない。

こうしたキーワードやユーザ、時間による検索結果の変化というのは、よほど専門的な業界でない限り、つねに影響を受ける可能性はある。たとえば1月8日現在、「派遣」と検索すると、Google検索最上部は最近の派遣問題に関するGoogleニュース結果のボックスを表示するし、「証券」でも同様にニュースとブログのコンテンツが混在して表示される。

以上のように、様々なバーティカルコンテンツが通常のウェブ検索結果の中に差し込まれて表示されるため、一般の検索利用者が閲覧する検索結果における「あなたのサイトの順位や位置」というのは常に変わっていることになる。ある人がある時間で検索した時、2番目に表示されていたサイトが、別の人が同時間あるいは別時間に検索した時は、5番目かも知れないし、1番目かも知れないのだ。

もちろんキーワードによって例外は存在するのだが、こうした検索サービスの変化を通じて、検索マーケティング担当者(とりわけ自然検索、SEO)が認識すべきことをここでは2つ挙げておこう。第1に、ユニバーサル検索を通じてアクセスされる情報はWebページ(HTMLで記述されたコンテンツ)だけでなく、サイトを通じて発信されるTV CM動画やキャンペーン用のFlashコンテンツ、IR情報(PDFやHTML)、会社から発売した書籍など、多岐に広がってきているということを認識すべきだ。これは必ずしも自社内のコンテンツとは限らず、他のバーティカルサイトが持つグルメや旅行、地図情報のデータベースに含まれる自社に関する情報も含まれる。

第2に、冒頭で述べたように、ある一時点のランキングだけ見て効果を判断するという作業は、もう意味が薄れてきているということだ。ランキングを見て判断することが十分であるためには、前提として「いつ、誰が検索しても同じキーワードを使う限り、検索結果は同じ」でなければいけない。しかし、現在は検索技術が進化したことで、その前提が崩れつつある。だったら、変えていかなければいけないのだ。

筆者自身は決してランキングという指標は否定しない。これは簡易的にSEOのパフォーマンスを評価する上では便利であるし、SEOの目的がオンラインプレゼンスの維持やブランディングにあるのであれば、そのKPIは順位であってしかるべきだからだ。しかし、トラフィックや会員獲得、セールスなどへの影響の観点から自然検索対策を実施しているのであれば、単にランキングだけでなく誘導数や、ランディングページの適切さ(Preferred Landing Page)、CPC(SEOへの予算投下額/誘導数)などの観点から、本当にSEOは効率的な運用がされているのか?というところを見ないと、自分のパソコンで順位が3位だと喜んでいたが、実際には相応の訪問者が来ていないという自体や、逆に順位が低いと思っていたらユニバーサル検索の以外な入り口から訪問者がやってきているということに気がつかず、機会損失が発生していることもありえるからだ。

次回は、Googleのユニバーサル検索同様に、検索結果へのコンテンツ混在化を進めているYahoo!JAPANについて触れる。


執筆:株式会社アイレップ 取締役CSO SEM総合研究所所長 渡辺隆広





記事カテゴリ:サーチニュース 09
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