そのSEO料金は、何のために払っているのですか?

SEO会社に対して支払うお金は何に対する費用か。「上位表示すること自体」、それともウェブを検索エンジンに最適化するためのコンサルティング費用?


公開日時:2006年03月26日 00:00

「ページAがページBにリンクを張る時、ページAは何らかの意味・価値があると判断してページBにリンクを張る」 - これがPageRankを始め多くのインターネット検索エンジンがリンク構造の分析を通じて各々のページの重要度・価値を判断することの大前提となっている。ところが実際にはリンクは売買可能であり、お金を支払うことによって自分のウェブサイトにいくらでもリンクを集め、検索エンジンからの評価を高めることが可能だ。SEO会社も同じで、こうしたリンクを買い集めてきてクライアントサイトにリンクを張ることで簡単に"SEO"が実現できる。今回はこうしたSEO会社の問題点について考えてみよう。

SEOを専門会社にアウトソースしている企業の担当者は、一体、何をアウトソースしているだろうか。SEO会社に支払っている料金は、一体何のための料金だろうか?それをきちんと確認したことはあろうだろうか?それは「コンサルティング費用」なのか、「ウェブサイトのチューニング」なのか、それとも「リンクをレンタルするための費用」なのか。

ここで2つのケースを紹介しよう。

(A) あるSEO会社とコンサルティング契約をした。この会社は契約すると大量にリンクを張付けてくれるという。SEO会社はどこからか調達してきた大量のリンクをそのクライアントに向けて貼り付け、そのクライアントが指定した数個のキーワードで上位に表示された。確かに言葉どおり、その指定した言葉では上位に表示された。満足だ。

しばらくの時間が経過し、もう十分にサイトもチューニングしてもらったと考えていたし、ここで契約を終了してもしばらくは検索エンジン上位に表示されそうだから、いったん終了しよう - そう考えて契約終了を申し出たところ、「契約終了と同時に今まで張ったリンクは全て削除します」といわれた。では今まで毎月支払ってきたSEの料金は「リンクのレンタル料金」だったのか。この企業は非常に憤慨した。

(B) Webサイトをゼロから構築するにあたって、あれこれと検索エンジン対策上に最適なウェブアーキテクチャ、ロングテールの”テール”部分からの集客を実現するためのコンテンツ戦略、Amazon.com のような素敵なSEOが展開できるような工夫をあれこと提案してくれ、費用は多少高いけれどもウェブサイトに実装した。その結果。時間が経過するにつれ徐々にアクセス数は増え、毎日のように色々なウェブサイトからのリンクが増え、その結果ユーザー1人あたりの誘導費用がリニューアル実施前の1/5になった。ロングテールのヘッド部分からテール部分まで、幅広い検索クエリで集客することに成功している。契約が1年6ヶ月経過したところで、十分に成果が実感できたので契約を終了したが、契約終了後もオーガニック検索からの自然流入が増えている。SEOのコンサルティング費用として高い金額は支払ったが、相応のオプティマイズに成功し、十分な成果を得ることもできた。

(A)も(B) も昔からよくある典型的な例だ。「SEOのコンサルティング、上位表示のためのアドバイスをします」と謳っていながら実際には契約期間中だけ、お金を支払ってくれた代償としてリンクを張り、契約が終了すればそのリンクを削除する。しかし、SEOを依頼した側はそもそもそういったことを望んでいたのだろうか?「リンクのレンタルします」と明言していればいいが、そんなことは全く知らさないケースが大半だ。

ここで「SEO会社と契約している限りリンクが張られているのだから問題ない、それがSEO会社の役割でいいではないか」と考えてしまう人がいるかもしれないが、そこで納得してしまう人は要注意だ。あなたはわざわざコストパフォーマンスの悪いSEOで納得していることに等しいのだ。

(B)のケースのようにWebサイト自身が適度に最適化され、そこに自然にリンクが集まるシステムを構築した場合、時間の経過とともにユーザー1人あたりの誘導コストは減少していく。しかし(A)のようにリンクをレンタルしている場合、永遠に一定のコストが発生する。また、(B)のケースではロングテールのヘッド部分からテール部分まで広範囲に効果が波及するSEOが施されているため、コストパフォーマンスが非常に高くなるのに対して(A)のケースでは永遠にテール部分のSEOを実施することはできないのだ。

こうした専門的な部分を理解していない人が大多数であること、またSEOは手段であって目的ではないという大原則を理解していない企業担当者が多いために(つまり、上位に表示されればそれでOKと、本来の目的を見失っている人々が多いため)(A)の状態で満足してしまい、(B)のようなもっと効果的なSEOを体験できる機会が奪われてしまっている。Web 2.0 への注目とともにロングテールの考え方を採用した検索連動型広告の運用を実施している企業が増加する一方で、なぜかSEOにはそれを適用しない企業が多すぎるのだ。リンクを買い集めてくること自体は否定しないが、それが自分たちのSEO戦略の中でどのような位置づけで機能しているのかは把握しておかなければ、何のために検索連動型広告と併用してSEOを実施しているのか、何のためのSEMなのかが掠れてしまう。

既にSEOをアウトソーシングしている企業の担当者はもう1度考え直して欲しい。いま支払っているそのSEOの料金は、一体何に対して支払われているのか。





記事カテゴリ:ニュース 06H1
他の検索・SEO 関連の記事
新刊:ネットショップSEO 2014発売されました(2014年5月)
Google「パーソナライズ検索による劇的な検索順位変動は都市伝説」と説明
Google、カナダでローカルサービス広告を提供開始
グーグルとディズニーがデジタル広告分野で提携
Googleインド、モバイル検索でカバディの試合情報を表示する機能追加
goo, 2018年検索ランキングを発表、人物の1位は「羽生結弦」など
ロシアYandex、検索アップデート「アンドロメダ」を発表
Microsoft Bing、年末商戦にあわせてショッピング検索機能を強化
米Google、検索結果にユーザーがコメントを投稿できる機能を準備
プライバシーを守る検索エンジン DuckDuckGo、検索回数3,000万/1日 突破
ペンス米副大統領、中国市場向け検索アプリ開発の中止を求める
「SEMリサーチ」トップへ戻る




免責事項:SEMリサーチは、本記事中で触れている企業、商品、サービスの全て(情報)について、有用性、適合性、正確性、安全性、最新性、真実性に関する一切の保証をしておりません。各自の判断でご利用下さい。