[Update] 米欧当局、マイクロソフトとヤフーの提携を承認
米Yahoo!と米Microsoftは2010年2月18日、米司法省とEU・欧州委員会が両者の検索及び広告事業における提携について承認したことを発表した。
comScoreの最新の調査によると、米国でのYahoo!とMicrosoftの検索シェアは合算しても30%に満たず、65%超のGoogleには遠く及ばない。また、欧州ではGoogleが90%程度の圧倒的シェアを持っていることから、両社の提携が市場競争を阻害することはないと判断した。欧米独禁当局はそれぞれ、条件なしで提携を承認した。
両社は2009年7月に事業提携を発表したが、最大の懸念は欧米独禁当局による審査だった。米国ではオバマ政権下で独占禁止法を厳格に運用する方針を示していたことや、EUが近年、合併や合弁事業に対して厳しい審査をしていたことが背景にある。検索市場で2位と3位の会社が提携することは、検索広告市場の寡占化を推し進め、技術革新を阻害するとの懸念も指摘されていた。これに対して、MicrosoftはYahoo!の検索広告事業を取り込むことでGoogleの代替として優れた価値を市場にもたらすことができると主張していた。
当局による承認を受けたことで、両者は数日内に提携実現に向けて動き出す。提携期間は10年間で、Microsoftはサイト検索技術(Bing)と検索広告プラットフォーム(Microsoft adCenter)を独占的にYahoo!に提供する。Yahoo!は独自検索技術を放棄する一方、両社の大口広告主への販売を担当する(詳細は「マイクロソフトとヤフーの検索・広告提携合意 内容 まとめ」を参照のこと)。MicrosoftはYahoo!ネットワーク上で発生した検索広告売上の88%をTAC(トラフィック獲得コスト)としてYahoo!に支払うなどの取り決めをしている。
今後のスケジュールとして、2010年末までに米国での検索・広告事業の移行手続き完了を目指す。シンガポールなど既にadCenterを提供している地域は2011年から開始し、2012年の早期に全世界での提携に基づく移行手続きを完了させる計画。
課題は残る。2009年6月のリリース以後、Bingの検索シェアは着実に伸ばしているものの、このシェアはGoogleから奪ったものではなく、Yahoo!からのものだ。Googleを追撃するための戦略構築がカギとなる。
Yahoo! Search Alliance
米国 検索エンジン市場シェア (comScore, 2006 - 2010)

MicrosoftとYahoo!の検索事業 提携合意内容 (まとめ)
欧州および米国独禁当局によりヤフーとマイクロソフトの提携が承認されたことにより、両社が昨年合意した検索事業の提携が具体的に進展することとなった。ここで改めて、提携合意内容について整理しておく。
1. 提携期間は10年間
2. MicrosoftはYahoo!が保有する中核の検索技術を利用する10年間の独占ライセンスを獲得し、さらに同技術をMicrosoftのウェブ検索プラットフォームに統合することが可能。
3. Microsoftは、Yahoo!に独占的にサイト検索アルゴリズムと検索広告プラットフォームを提供する。コンテクスト広告は非排他的に提供する。Yahoo!はディスプレイ広告技術の改善など提携範囲外の分野で引き続き自身の技術およびデータを利用することができる。
4. 提携範囲の検索技術分野は、ウェブ検索、イメージ検索、ビデオ検索の3つ(※ FORM 8-Kには記載がないが、インタビューでMicrosoftが明言している)。それ以外、たとえばブログ検索やローカル検索、モバイル検索はYahoo!が自身の技術を利用することも可能。
5. Yahoo!は両社のプレミアム検索広告サービスの独占的販売を行う。セルフサービス型の広告はMicrosoft adCenterプラットフォームで行い、すべての検索広告の価格は同プラットフォーム上の自動オークション手続きにより決定される。
6. Yahoo!とMicrosoftそれぞれが個別にディスプレイ広告ビジネスと営業部隊を維持する。
7. Yahoo!はMicrosoftの検索技術により運営される検索サービスを含むすべての自社プロパティ上の、ユーザエクスペリエンスやコンテンツ、ルック&フィール(UI)などを独自にコントロールできる。
8. Microsoftは、Yahoo!が保有・運営するネットワーク上で発生したトラフィックに対して、合意に基づいた売上げシェアを行う。同社は提携から5年間、Yahoo!ネットワークで発生した検索広告売上の88%をTAC(Traffic Acquisition Cost、トラフィック獲得コスト)としてYahoo!に支払う。また、米国外のYahoo!サイトにおいても提携から18ヶ月間、一定の広告収益の支払いを保証する。
9. 提携合意に含まれるすべての移行手続き完了は、政府の了承から24ヶ月以内(=2012年早期)を予定。Yahoo!は現状(※2009年7月末時点)の売上を基にした予測として、今回の提携でGAAPベースでの年間営業利益が約5億ドル、固定資産コストで約2億ドルのメリットが享受できると見込む。また年間キャッシュフローで約2億7500万ドルほどの効果があるとする。
10. 提携5年目以降、Microsoftは、Yahoo!によるプレミアム検索広告サービスの独占販売を中止させる権利を持つ。もしMS社が同権利を行使した場合、TACは(88%から)93%へ増加する。ただし、Yahoo!は同独占販売を継続する権利を有しており、それを実行した場合、TACは83%へ減少する。また、MS社が中止させる権利を実行しなかった場合、TACは90%となる。
11. Microsoftは提携から最初の3年間、Yahoo!に毎年5億ドルを支払う。
12. Microsoftは最初の18カ月間、各国のYahoo!のサイトで行われる検索1回あたりの売上(RPS=revenue per search)を保証する。保証するRPSは、導入直前の12ヶ月平均のRPSに基づいて決定する。
13. MicrosoftとYahoo!は、次の場合に提携を解消することができる:
a) 合意違反が何度も繰り返された場合
b) Microsoftが検索事業からの撤退、または同事業を売却する場合
c) 米国内での1回あたりの検索収入(RPS)の12ヶ月平均金額が、ライバルであるGoogleの推定RPSの一定割合に達しなかった場合、あるいは、Yahoo!とMicrosoftの米国内のクエリベースの検索シェアが一定値を下回った場合に、Yahoo!は提携終了する権利を有する
d) 提携5年目以降、Yahoo!の米国内のRPSがGoogleの推定RPSの一定割合を下回った場合に、Yahoo!は提携終了する権利を有する
14. Microsoftが検索事業の全て、または実質的に全てのサイト検索アルゴリズムまたは検索広告事業の売却を検討した場合、Yahoo!はそれを拒否する優先権と、同事業を購入する最終オファーを得る権利を持つ。
15. Yahoo!はMicrosoftから地図およびモバイル検索のサービスを受けることが可能で、非排他的契約も可能。
Microsoft, Yahoo! Change Search Landscape
http://yhoo.client.shareholder.com/releasedetail.cfm?ReleaseID=399702
FORM 8-K
http://sec.gov/Archives/edgar/data/1011006/000119312509163909/d8k.htm
参考:

米司法省、Yahoo!とMicrosoftの検索事業提携を承認、Bingへの移行手続き開始
米Yahoo!と米Microsoftは2010年2月18日、両社の検索事業提携について、欧州委員会及び米司法省から無条件での承認を得たことを発表した。
今後、両社は提携合意に基づいた手続きを進める。Yahoo!は同社ポータルサイトの検索技術及び検索広告プラットフォームをMicrosoftのBing(ビング)及びadCenterに切り替えるほか、プレミアム検索広告サービスの独占的販売を担う。
Yahoo! CEO Carol Bartz氏は、「今回の検索事業提携により、Yahoo!は従来以上に革新的な検索の利便性へ注力できる。我々の科学技術と魅力的なコンテンツにより、ユーザ個々に適したオンライン体験を創り出す」とコメントしている。
今後のスケジュールについて、両社は少なくとも2010年末までにアルゴリズム検索の移行を完了することを目標にしている。また、2010年のホリデーシーズン前に広告主やパブリッシャーの多くを移行させることを目指すが、状況によって2011年まで待つ可能性もあると述べている。全世界での移行手続きは2012年の早期までの完了を目指す。
cf.
Yahoo!とMicrosoftが検索事業で提携、検索プラットフォームはBingに一本化
[UPDATE]
MicrosoftとYahoo!の検索事業 提携合意内容 (まとめ) :: SEM R
#
最新のcomScoreの検索シェアのデータを見ると、米国ではYahoo!とMicrosoftの検索シェアを合算しても30%にも満たない状態なので、まぁ承認されない可能性は低かったわけで、順当です。スケジュールは予想通りですね。日本は2011年中~後半くらい?

米Google、パンダ・アップデート 3.2を実施
米WebmasterWorldなどのフォーラムで数日前からGoogleが通称パンダ・アップデートの更新をしているのではないかとの憶測が流れていたが、Googleが1週間前にアルゴリズム更新を実施したことが確認された。SearchEngineLandが報じている。
米Google、XML Sitemapsに新機能、登録済みインデックス数も確認可能に
米Googleは2012年1月27日、サイトのクローリングを手助けするためのXML Sitemapsについて、Google Webmaster Tools上からより多くの詳細情報を閲覧できるようになったことを公式ブログで発表した。
gooウェブ検索、キーワードと関連性高いTwitterツイートを検索可能に
NTTレゾナント株式会社が運営するgooウェブ検索は2012年1月23日、検索キーワードと関連性が高いTwitter上でつぶやかれたツイートを検索結果の上部に表示すると発表した。PC版とスマートフォン版のgoo検索が対応。
ご挨拶:2012年もよろしくお願いします
あけましておめでとうございます。2012年もSEMリサーチをどうぞよろしくお願いします。
以下、お知らせです。
- 更新開始(再開)は1月中旬を予定しております。もうしばらくお待ちください。
- 本年より運営・編集方針を若干変更します。変更するというよりも、昔のスタイルに戻す予定です。具体的には、海外関連の記事数を大幅に増やす一方で、国内関連を若干減らします。
- SEMリサーチは2011年8月で運営9年目を迎えました。ここ2年ほどは更新が若干不定期となっておりますが、当面は運営していきますので皆様今後ともよろしくお願いします。少なくとも2013年8月まではがんばります。
- mixiページで開設していたSEMリサーチのページを閉鎖しました。Facebookページは引き続き運営して参ります(Google+ページは開設済みですが運営未定)。SEMリサーチの記事をフィードで配信するだけでは面白味がありませんので、Facebookの方は何かコンテンツを追加する予定です。
- 年内のどこかのタイミングで、SEMリサーチで公開する一部記事の言語を英語に変更する予定です。(従来の日本語記事を残したまま)英文記事を追加するのか、日本語記事を減らして対応するか等、詳細はまだ決定しておりません。
英語化について:会社(アイレップ)がグローバル展開を強化していることもありますが、私個人としても海外のカンファレンスにスピーカーとして登壇する等、海外に目を向けた取り組みを強化していきたいという意向があります。
米Yahoo!、Search BOSSを刷新、3つの検索ソリューションを発表
米Yahoo!は2011年12月7日、Search BOSS(Build Your Own Search Service)の新しいウェブサイトを公開すると同時に、3つの検索ソリューション - BOSS Hosted Search, BOSS Site Search, BOSS Shortcutsを発表した。BOSS Hosted Search 及び BOSS Site Search は同日よりグローバルで提供を開始、BOSS Shortcutsは米国、カナダ、インド、英国での提供となる。
Google、検索結果画面の+1ボタンの表示方法を変更
Googleが今週から、ウェブ検索結果画面におけるGoogle+1ボタンの表示方法を変更した模様だ。従来はデフォルトで+1ボタンが各リンクの右側に表示されていたが、現時点(2011年12月13日3時)でデフォルトでは非表示となった。
Xboxアップデート、BingとKinectを融合した音声検索に対応
米Microsoftが2011年12月6日、Xbox Live 及び Xbox 360 のアップデートを実施する。このアップデート適用後、ユーザーはコントローラーフリーなKinectとBing検索技術を融合した、新機能が利用可能となる。