雑感:CSS Nite LP, Disk 24『インハウスSEO - 成功する担当者 失敗する担当者』

CSS Nite LP24 インハウスSEO あとがき。


公開日時:2012年10月06日 04:24

9月22日に都内で開催された、CSS Nite LP, Disk 24「インハウスSEO」というイベントにて講演を行ってきました。私は『インハウスSEO - 成功する担当者 失敗する担当者』というタイトルでお話させて頂きました。

内容については参加者の皆様がレポートされているブログやTwitterなどを参照していただくとして、ここでは講演全般のこと、諸々の事情により割愛した内容、感想など適当に書き記したいと思います。

『講演のシナリオ』

率直にいうと、私は日本国内のSEOのレベルは米国と比較すれば低いと考えています。特にここ数年は進歩がないことを残念に感じています。リンクの張り方しかわからない人は、SEOができるとはいわないのです。少なくとも私は認めません。Google がスパム撲滅の強化に動き出している中で、相変わらずアルゴリズムの裏をかいくぐることだけを考えているSEO会社は、市場から退場した方がいいと思うのです。

・・・では、こういう状況が生まれた要因は何なんだろう?もちろんたくさんの要因があるわけですが、その中から、少なくとも「インハウスSEO担当者の努力によって解決できる問題は何だろうか?」というところから講演のシナリオを作りました。

モデルとして、私が今までに「こいつはすごい!天才だ!」と思った欧米のSEOエキスパートを10名ピックアップしました。また、日本(人)向けにローカライズするために、モデルとして、アユダンテの安川さん、江沢さん、そして現在はGoogleで活躍されている大内さん、あと日本人じゃないけどジェフ・ルート。さらにアイオイクスの滝日さん。そしてこの人は外せない、辻正浩・大先生

あわせて16名の方々が、優れているところ、他のダメなSEO担当者&SEO会社の人と比較して何が違うんだろう?などと様々な視点から考えてみました。

で、たどり着いたのが「検索エンジンの技術・サービス・ビジネスへの理解」です。ざっくりいうと、私は上に挙げた方々とは「SEOの会話」ができるのです。会話が成立するのですよ。この理由が、私にとって最も説得力のあるものだったのです。

というのも思い返せば、欧米でよく開催されている、”まともな”SEOトレーニングコースは、一番最初に検索エンジン市場全般のお話をします。書籍でも同様に、必ずその話題が入る、というかその話なしにSEOを学ぶなんてナンセンスです。

でも日本はどうかというと、ペナルティを食らわないリンクの張り方とか、絶対Googleにバレないワードサラダの作り方とか、ほんと将来的に何の役にも立たない知識やノウハウから入ってくるわけです(もちろんまともな会社も、少数ですがあります)。

SEM市場の今後の予測を語る上で、Google や Microsoft の広告への取り組みや、情報検索の世界のトレンド、ウェブ環境の変化の理解は欠かせないですし、取材などでそういったことを質問された際に、私は必ず業界のマクロトレンドの話から入ります。でも検索市場を理解していない一部のSEOの方々は、そのレイヤーで物事を語らないし、見ていない。でもそれじゃ仕事にならんのです。


『Googleのロジックを理解する&再現する』

これは最終的に、CSS Nite LPのオーディエンスにとっては役に立たないだろうということで講演からはカットした内容ですが、極少数の人には役に立つかもしれないので一応この場で説明したいと思います。

私は、ある事象においてGoogleがどのような判断をするか、どういった解決方法を採用してくるのか『Googleの論理に基づいて意思決定を再現』することで予測しています。私は過去の Google の意思決定と、その決定に至った理由や背景、思考プロセスをすべて学んできています(そういう手順で勉強してきたので)。だから、ある課題や問題が発生したときに、彼らがその課題解決に"どういう理由、環境変数に基づいて意思決定をしてくるか"を、彼らの思考ロジックで再現して、”もっとも合理的”(後述します)であろう結果を絞り込むということを瞬時に行うようにしています。

SEOの世界には正解はありませんが、もっとも可能性の高い未来や、もっとも経済合理性のある施策を絞り込むことは可能です。私の場合は(講演でお話しした検索技術の基本的な理解の他)Googleの思考ロジックを再現して未来予測をすることで、仕事量を大幅に削減するアプローチをしています。

・・・で、なぜこのお話は講演で省いたかというと、こんなこと言われても真似するの不可能ですよね。今回の講演は、参加者の誰でも努力次第で実現可能なことにしたかったので、ハードルが高すぎるものは控えたのです。

私がSEOの世界に足を踏み入れたきっかけ』の話の中で少し触れていますが、私は大学時に所属したサークルを通じて、徹底的に論理的思考能力を叩き込まれています。それがベースにあるので、第三者の立場 - Googleの考えを、彼らの立場で、もっとも"彼らしい"思考手順で意思決定を予測するというのは、(SEOで要求される水準程度なら)難しいことではありません。

そんなわけで、Google思考ロジック再現は完全に私のスキルに依存しているので、話すのやめました。これを読んで「俺もできるかも!」と思った人、是非チャレンジしてください。


『合理的なものを選ぶ、合理的な範囲を選択する』

これは講演でうっかり話し忘れた内容です。とはいえ、時間の都合で(仮に当日の講演中に思い出したとしても)結局は端折ったと思いますけれど。

先にも触れましたが、SEOの世界は正解がないのです。はっきりとした、白黒(○と×)の境界線を引くこともできない。間違いもなければ正解もないというのがSEOの難しさの1つなのですが、私はこんな風に処理しています。

「合理的なものを選ぶ、合理的な範囲を選択する」

たとえば次のようなことをよく質問されるのです。「ページのフッターに、弊社が運営している他のサイトへのリンクを掲載したい。いくつのリンクにするのがSEO的にベストなのか、また何本以上張ると検索エンジンスパムと判断されるのか?」みたいな質問です。

この質問は「SEO的にベストな本数」と「スパムと認知されるリンク限界本数」を質問されているわけですが、当然正解はないし、○本以上はスパムなんて明確な線引きなんてないんですよ。回答を求めることがナンセンスです。

この質問に限らず多くの場面において「○と×」「境界線」を求められるのですが、そんなものないんだから、その解を求める姿勢が間違いです。ただし、回答を導くための思考プロセスは提示できます。

その判断方法はとてもシンプル。「第三者的に、合理的であるか」。これだけです。

そのSEOをしたいウェブサイトの運営者の視点ではなく、検索利用者、検索エンジン会社という第三者の視点から見て、「便利」「役立つ」「適当」「優れたユーザー体験」と判断できることが、その場における”解”なのです。フッターリンクに100本リンクが設置されていたとして、”あなたがユーザーとしてそれをみてどう思うか” それで考えればよいのです。

・・・こういう回答をした場合、次に来る相談は「それじゃ社内に展開ができない、ルールが必要だ」と来るわけなので、それなら”妥当と考えられる範囲内の適当な数値を自社ルールとして作成すればよい”だけの話ですよね。自社が継続的に検索エンジンからのトラフィックを誘導するためのガバナンス(統治)が必要だというのは、特に複数メンバーが関わるインハウスSEOチームには必須ですから。それなら、リスクが及ばない範囲内での適度な適正値を決めれば良いのです。

・・・といって納得していただければいいのですが、大抵は「いやでも、SEOの効果を最大化したいから、めいっぱい、ギリギリのところまでリンクを張りたいんだ」と相談をもってくる方もいます。でも、そもそも(本例でいれば)フッターリンクを20本にした場合と30本にした場合で大してSEOの効果に差があるわけでもなく、先にあげた”合理性”の判断をすれば、その”ギリギリまで”発想が合理的じゃないんですからやめたらどうでしょうか。やるんだったらリスクを受容できる覚悟を持ってくださいねというお話なわけです。

また、ギリギリを狙うというアプローチを選択するのであれば、組織が迅速に意思決定を下し、即座にサイトを編集できる体制でなければいけません。しかし現実には、特に大きな企業ほどどうしても作業に時間がかかりますよね(ナナピさんみたいなところは少数派です)。すぐに変更がきかないのであれば、安全な範囲 - 合理的な範囲内の中できちんとガイドラインを作成するのが最も理にかなっているといえるでしょう。

ということで話がそれてしまいましたが、私はまず「合理的か否か」でオプションを絞り込んだ上で、その中からベターなものを選ぶという手順を踏んでいます。「合理的なものを選ぶ、合理的な範囲を選択する」という考えはSEOにおいて大切な判断基準の1つであることは覚えておいてください。


『上から目線』

終了後に参加者の皆様から頂いたフィードバックに一通り目を通させていただいていて、一番印象に残ったのが、この「上から目線」という指摘。これは私にとって、とても新鮮な指摘でした。検索エンジンやSEOについての講演をするようになって今年でちょうど10年、上から目線というフィードバックは初めてでした。あぁ、そういう印象を持たれる方もいるものなんだと。

そういえばここまでの文章も書き終わってみると、上から目線ですね。

最初に書きました通り、今回の講演は私が実際に経験・体験してきたことを元に構成しています。つまり内容そのものが”上からの”視点で作られているので、まぁそりゃそうだという気もするわけですが。ただ少なくとも、今回の講演は、他の誰よりも長く業界にいて、現場も理解している私だからこそ話す内容ですし、私はそれを語る資格はあると考えています。


辻大先生

実は辻正浩大先生の講演を生で拝聴するのは初めてでした。さすが大先生のお話です、とても参考になりました。次回は10月20日に名古屋で講演をされるというので、私も当日は名古屋※に行って、最前列の辻大先生の目の前に陣取ってプレッシャーをかけてやろうじっくりとお話を伺ってきたいと思います。 ※ 10月20日に本当に名古屋に行きますので、参加される皆様どうぞよろしくお願いします





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