SEO for スマートフォン [2] レスポンシブWebデザイン

スマホと検索のお話。SEO for スマートフォンのお話2回目。今回はレスポンシブWebデザインについて。


公開日時:2013年01月04日 14:57

前回記事『SEO for スマートフォン [1] Google のモバイルに対する考え方』の続きです。今回はレスポンシブWebデザインに対する考え方について。

レスポンシブWebデザインは検索順位的に有利なのか?

Googleが2012年6月に「Building Smartphone-Optimized Websites」という文書を公開して、スマートフォン対応サイトを検索エンジンに最適化させる方法についての Google の意見が表明されました。

この文書について、「Googleで検索順位を上げるためにはレスポンシブWebデザインを採用しなければならない」あるいは「レスポンシブWebデザインにしないと、順位が上がらなくなる」という間違った解釈をしているWeb制作会社やSEO会社を見かけます。これは大きな間違いです。

たとえば先に紹介した文書の冒頭を見ても、"Google supports smartphone-optimized sites in three configurations:" とある通り、Google は3つの選択肢を示しています。また、この文書がインターネットにリリースされた時にシアトルで開催されていた、SMX Advanced Seattle でタイミングよく開かれた Google スピーカーのセッションでも、「レスポンシブWebデザインでなければならないということではない」という発言をしています。

つまり、Google はオプションの1つとしてレスポンシブWebデザインを挙げていることは事実ですが、それが他のオプションよりも優れているとは一言も述べていないということを理解して下さい。

その上で、提示された3つの選択肢の中で、検索技術的に最もトラブルなく(作業工数的に楽、適切な実装のために要求される技術要素が少ないという意味で) Google にインデックスさせることができる手段は、レスポンシブWebデザイン、すなわち、1つのURLであらゆるスクリーンサイズに対応する手段を採用することです。

ウェブサイトのフルバージョン※と、他のデバイス向け(サブセット)バージョンが別URLで展開される場合、前回の記事で説明した通り、1つのエンティティとして使ってもらうように関係性を明示する必要があります。関係性を明示するとは、それぞれのサブセットバージョンのウェブページが、どのフルバージョンのページに対応するかを明らかにすることです。Googleは、クローリングを通じて情報構造を把握して両者の関係性をアルゴリズムで自動的に識別するよう努力していますが、限界があります。そこでウェブマスターが、Googleから指定されたアノテーションを記述して、ウェブマスターが意図した通りに Google が従うようにお手伝いをしてあげる必要があるのです。

※フルバージョン:最も機能・情報が充実したデフォルトとなるサイト。大半のそれはデスクトップPC版を指す(2013年現在)が、必ずしもデスクトップPC版が存在するとは限らないので、本文では「フルバージョンのウェブサイト」と表記している。

この、「お手伝い」は、少なくない数のウェブサイトが間違った canonical アノテーションの記述をしていることからも察するように、決して万人にとって容易な作業ではないのでしょう。そうした状況を勘案すると、無駄なトラブルを排除する意味でレスポンシブWebデザインを選択という理由は理解できなくもありませんが、だからといって後述する「スマホユーザーのウェブ体験」を損なってまで同アプローチを採用するほど十分な根拠はないと思います。


本当にレスポンシブWebデザインで良いの?

レスポンシブWebデザインの概念は登場してからまだ3年あまりでしょうか。今日のスクリーン及び情報端末環境を考えれば、レスポンシブWebデザインという選択肢は決して悪くはない選択肢です。

しかし、Google が推奨として挙げている、検索エンジンに掲載されやすいという理由だけでWebサイトのデザインを決定することは、果たして妥当でしょうか。

スマートフォン対応サイトのデザイン設計は、検索エンジンの好みや傾向によって決定するものではなく、訪問するユーザーが求めること、彼・彼女らに対するおもてなしの在り方で決定すべき事柄です。

たとえば米国のあるファーストフード店は、スマートフォン対応サイトのトップページのデザインが、検索窓を1つ設置しただけの非常にシンプルな構成にしています。現在地の住所の一部を入力して検索すると、最寄りの店舗の情報と、その電話番号及び地図が表示されるだけの機能に特化しています。また、別のある世界的なホテルチェーンのスマートフォン対応サイトは、トップページに「予約・変更」「連絡先」「検索窓」の3つの選択肢しか提示していません。

いずれも、サイト制作者の自己満足でそのデザイン・機能を決定しているのではなく、実際のユーザーの利用状況を観察して、データに基づいてそのデザインを決定しています。


ユーザーの実際の行動に基づいてデザインを決定する

つまり、巷でよく行われているレスポンシブWebデザインの是非に関する論争の多くが、論点がずれているのです。レスポンシブWebデザインが適切なケースもあれば、そうでないケースもあるでしょう。自分が運営しているオーディエンスが何を求めているのかを、客観的なデータや調査に基づいて明らかにして、それに最も適したデザインを選択すればよいだけのお話ではないでしょうか。

検索マーケティングの目的は、広告枠で出来るだけ上位に表示してクリック率を上げることが目的ではありません。また、オーガニック検索結果内で出来る限り良い順位を獲得することが目的ではありません。せっかくユーザーを連れてきても、期待されたコンテンツがそこになければ立ち去って行くだけです。サイト内で意思決定をして何かのアクションをしてほしいと考えるのであれば、そのアクションを促せるようなデザインを決定すべきです。

繰り返しますが、スマートフォン対応サイトのデザイン決定は、Google の意向や優先傾向のみで決定すべきではありません。検討材料の1つとして頭に入れておくことは良いと思いますが、それ以上のものではありません。

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2013年公開の記事より、デスクトップPC版サイトのことをフルバージョンのウェブサイトと表記しています。これは、Google は1つ1つのウェブサイトについて、「これは○○○向けサイト」「そっちは○○○向けサイト」とデバイスを認識しているわけではなく、あくまで一意のURLにあるサイトと認識しているに過ぎないからです。

普通はデスクトップPC版が機能・情報量的に最も充実するので、デスクトップPC版=フルバージョンのウェブサイトとなります(スマホ版とデスクトップPC版の2つのサイトがあって、前者の方が機能的に充実してたり情報が豊富だというケースなんてないはず)。しかし最近は「iOS版とAndroid版の2つしかないんだけど」という、スマホユーザーだけを前提としたサイトも登場しているので、Googleエンジニアの表記に倣って"フルバージョン"という言葉で区別しています。

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私はできるだけ、世間一般の人がよく利用するであろう目的・状況の中で実際にスマホでサービスを利用するようにしているのですが、そうするとレスポンシブWebデザインが良いと感じる場面とそうでない場面と言うのははっきりしてきます。特に、予約申込や変更、お問い合わせ系の、即時性を求めるようなものは、シンプルな機能だけ提供してくれた方がありがたいです。てな具合で、そういうユーザーの立場を無視して、技術論でレスポンシブWebデザインの是非を議論する人たちは一体何のためのデザインと考えているのかと問い詰めたいわけですよ、個人的に。





記事カテゴリ:SEO(検索エンジン最適化), サーチニュース 2013, モバイル検索
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