Google+1ボタンの利用情報が検索順位に(今は)反映されない理由 - Matt Cutts氏語る

「ユーザ行動情報は検索ランキングを歪める恐れがある」米グーグル・マットカッツ氏、Google+1ボタンや直帰率などのデータを安易に検索順位決定シグナルとして採用できないことを述べる。


公開日時:2013年06月17日 08:13

米Googleウェブスパム対策チームトップのMatt Cutts氏は2013年6月11日、米国シアトルで開催したSMX Advanced Seattle 2013 のセッションの1つ"You&A With Matt Cutts"の中で、Google+1ボタンや(ページの)直帰率などのユーザ行動情報を安易に採用することは、検索ランキングが歪められかねないとの意見を述べた。

「ページの直帰率の割合は、検索ランキングに考慮されるのか?」との質問に答える形で詳細を説明した。知らない方のために簡単に背景を説明すると、Googleが2011年に導入したパンダ・アップデートは、コンテンツの品質を評価するアルゴリズムである。では、何を持ってコンテンツの品質を評価するのか、ということから出てきた仮説の1つとして業界で話題になったのが、ページの直帰率という指標だ。つまり、検索結果をクリックして訪問したのにすぐに立ち去るユーザーの割合が多いのであれば、それは検索キーワードとそのページとの関連性が低い、即ち、あまり役に立たなかったページと判断できる。そこで、この基準を Google が取り入れているという仮説は一定の合理性があるのではないか、という話となった。

実は2012年のSMX Advanced でも同じ質問が出てきて、その時にカッツ氏は「直帰率は検索ランキングに影響しない」と回答しているのだが、今年も同じ回答をした。「直帰率は検索順位に影響しない」。

カッツ氏はこの理由として、一般的にユーザ行動情報というのは必ずしも信用できるわけではないと指摘。具体例として、同社が過去に実施した、Google検索ツールバーに「ハッピー」「しかめっ面」という2つの表情のフェイスマークアイコンを設置したフィードバック機能を提供した時の話を挙げた。

この2つのボタンは、検索を通じて訪問したページが満足できるものならハッピーボタンを、ダメなページだったらしかめっ面ボタンを押してもらうというといった具合に、利用者がGoogleにフィードバックできる機能だった。しかし、このデータを集計した結果、3/4 以上がハッピーボタンを押しており、同ボタンの利用者達によってデータが大きく歪められていることが明らかになったという。ユーザーが自分のサイトでハッピーボタンを押したり、他のユーザーに自分のサイトでハッピーボタンを押すよう依頼することが横行したためだという。

つまり、一般にユーザーは「検索ランキングに影響するかもしれないと思ったら、データを自分で操作しようとする」ということだと説明。だから直帰率やGoogle+1ボタンといったユーザ利用行動情報をランキングアルゴリズムのシグナル(手がかり)に採用することには懐疑的だし、一般論として信用に値しないと自身の考えを述べた。Google+1ボタンのデータについてはその情報量の絶対的な少なさも採用しない理由として挙げた。

一方で、特定のシグナルを永久に排除し続けるというわけではなく、データをよく分析して検討したいとも述べた。ただ、「少なくとも現状は信用できない」。

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時折、はてなブックマークや、Yahoo!ブックマークのようなソーシャルブックマークのデータを検索ランキングに取り入れれば良いのに・・・という話を耳にしますが、一般ウェブ検索(generic search engine)に適用するのは難しすぎますよね。ブックマーク数の多さは必ずしもその情報の純粋な、普遍的な信頼性や人気度を表していませんし、利用者自身も偏りがありますし、網羅性も低いですし・・・など理由を挙げればキリがありません。もう一言付け加えると、Facebook Like や Google+1ボタンのクリックされた回数が本当に検索を便利にするかどうかというと、怪しいのです。

で、「検索ランキングに影響するかも」「しかもこれ、自分で操作できるじゃん」と思ったら、やっぱり人間ですから、誰もがあの手この手を使って自分のサイトが有利になるようデータを操作・歪めてしまうわけです。

マットカッツ氏がいう「ユーザ利用情報は操作されやすい、ランキングシグナルに採用するのは難しい」というのは私も完全同意です。歴史を振り返ってみれば、Inktomi (米Yahoo!が買収、YSTに統合される)がクリックポピュラリティを採用した時に既に証明されています。

クリックポピュラリティとは、検索結果ページに現れたリンクがクリックされた回数を測定し、その回数に基づいて検索順位を決定するアルゴリズムです。つまり検索結果でより多くクリックされるほど、より上位に掲載されるということです。

しかしクリックポピュラリティはほどなく破綻しました。多くの人が、自分のサイトが表示されるキーワードで検索し、自分のサイトをクリックする行為を繰り返したからです。当然です。

その後 Google が PageRank を掲げてリンクをサイトの人気度を推し量る指標として使い始めたら、スパムリンクが大量発生したという今日まで続いている状況を見ても明らかでしょう。『人間が簡単に操作(悪用)できる指標ほど、検索順位決定のシグナルとしては扱いづらい』という原則は、当分破られることはないでしょう。





記事カテゴリ:Google 2010-2016, SEO(検索エンジン最適化), サーチニュース 2013


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