効率的な海外SEO情報の読み方・選び方

英語圏に目を向けるとたくさんのSEO情報が溢れて言いますが、全部に目を通すのは大変。そこで海外のSEOのノウハウ取捨選択の工夫を紹介します。


公開日時:2014年12月05日 17:19

立場の違いはあれどSEO業務に携わっている方の多くは、特に英文を読むことが苦手ではない方はきっと日本語だけでなく海外のSEO情報にも目を通していると思います。しかし、「これって正しいの?」「せっかく途中まで読んだのに・・・がっかり」といった経験、あるいは「素晴らしい、参考になった」と思って記事の通りSEOを実践してみたけれど、実はその情報が正しいものではなかった、『現状の自社サイトには適切な施策ではなかった(ので自分の場合はあまり効果が得られなかった)』といった経験をしたことがないでしょうか。

今回は、特に情報が豊富だけれども同時に読むべきものを選ぶことも難しくなっている海外の(※ 本記事では欧米を中心とした英語文献とする)SEO関連の情報の拾い方や読み方について述べます。


玉石混淆な海外SEO情報

SEO周辺の情報収集のために、インターネットで発信されている様々な著者が執筆した記事を読んでいる方は多いと思います。私もこの領域に興味を持ち始めた1996年冬から今日までずっと続けている習慣の1つで、欧米の記事を中心に適当に暇な時に目を通すようにしています。

その情報収集において私が10年前(2004年)と現在(2014年)を比較して感じている変化の1つは「情報の取捨選択が非常に難しくなった」ということです。

「取捨選択の難易度が上がった」とは、具体的には次の通りです。第1に、「メディア(媒体)単位での選択が難しくなったこと」。一例を挙げると、2008年頃までは Search Engine Watch(現 ClickZ)や Search Engine Land といった著名な海外の検索・SEO系を専門とするメディアに掲載されている記事は、おおよそハズレがない、全体的に一定の品質は担保されており、目を通しておくだけの意味は十分にありました。しかし2014年現在、私はこの2つのメディアでも「ニュース系」は目を通しても「コラム・分析系」は原則、読みません。両メディアとも昔とは編集方針や執筆陣が大きく変わり、全体的に品質が落ちた、品質を担保するための仕組みが機能していないことが理由と考えられます。

同じSEOという言葉の括りで語られているとはいえ、10年前は無論、5年前と比べても責任を負うべき業務範囲・領域も全然違いますし、1つ1つの領域もより深掘りされ高度な専門性を求められるようになりました。そこで、ある特定の領域(例えばハミングバード、パンダアップデート、あるいはフッターリンクの最適化など)に焦点を絞りコラムを書く方も増えてきたのですが、残念ながら「その(コラムで扱う)話題以外の知識がない」人も多いため、結果的に頓珍漢な内容に仕上がってしまうケースが少なくありません。

例えば、外部リンク構築施策(しかもグレー系なやつ)の知識しか持たない人がハミングバードについて語るケースや、エンジニアリングについて詳しいのに完全な技術オタクの方が執筆するユーザーエクスペリエンスの記事などが良い例でしょう。

第2に「ソーシャルメディアで話題になっているSEO記事は、必ずしも良質とは限らない」ということです。Twitter や Facebook が普及してきたことで、(上記のメディア単位ではなく)ソーシャルメディアで流れてきたSEOの情報を拾って記事を読む人、日本国内であれば、はてなブックマークで話題になっている記事を見る人も多いでしょう。

しかし「一般ユーザーが話題にするSEO」というのは、微妙なものも少なくありません。少しSEOに興味がある程度のユーザーやまだ勉強中の初心者ウェブマスターには良い記事に映るけれども、一定以上の知識を有するSEO関係者から見れば全く役立たない記事、論理が破綻している、明白な勘違い記事が Twitter や Facebook で拡散していることが、実はよくあります。検索アルゴリズムの評価項目(シグナル)を数百も一覧に並べるタイプの記事は総じてソーシャルメディアで伝播しやすいものですが、実務上何の役にも立たないコンテンツの代表例といえるでしょう。

SEOに限った話ではなく、一般的に高度な専門性を要求される領域においてはユーザーの支持投票はアテにならないということです。SEOイコール検索エンジンを騙すテクニック程度の認識で思考停止している人にはわからないかもしれませんが、マーケティング業務として SEO の推進を行おうとすると、とても高い専門性が要求される領域なのです。

さらに悪いことに、上記のような事情を理解していない一部の日本語ブロガーや編集者が、ソーシャルで話題になっている海外のSEO記事を良かれと思って「ほら、参考になるでしょ!」と紹介してしまい、流し読みで良いと勘違いしたり、また海外SEOイコール最先端と盲信しているユーザーが広めてしまうことにより、間違ったSEO情報が皆さんの頭に仕入れられてしまう問題も招いてしまうわけです。

私のようなエージェンシー(サービス提供側)の人間であれば、顧客毎に最善のSEO のベストプラクティスを提案するために海外のSEO情報までアンテナを張り広く情報収集する必要に迫られます。同様にインハウスSEO担当であれば、自分のサイト以外の市場動向を知りたい、あるいは運営サイトの検索流入にドライブをかけるための最新事例を求めて海外のSEO事情を把握しておきたいはずです。少なくとも日本よりも米国の方が SEO の全ての面において一歩先を行っていますから、必要な業務です。でも上記の通り、実は取捨選択が難しく、きちんと情報を精査して、解釈して今後の業務に生かそうとするには、ハードルが上がってしまっています。


「自分に必要な」海外SEO情報を選択するためのルール

検索・SEO専門メディアに掲載された記事もソーシャルで話題になっている記事も必ずしも信用できないとなると、意外と情報収集は大変なのです。記事内容の有益性を判断する目利きが必要ですが、それを行うためには相応の専門スキルを要します。特に一般企業のウェブ担当者であれば様々な業務を抱えて時間の制約があるでしょうから、効率的に情報を集めていきたいに違いありません。

非常に前置きが長くなりましたが、以上の課題を解決するために私が行っている工夫を、特にインハウスSEO担当者向けに変換・翻訳して紹介したいと思います。最初に断っておくと、多かれ少なかれ記事に目を通さなければならないことには違いないのですが、「これはダメ」「自分には不要」というフラグを立てやすくすることで「意味のない読む時間」を最小限に減らすという点である程度有効だと思います。また、変な記事に巡りあう確率は減らしつつ、良質な記事を排除してしまう機会損失も比較的抑えられるはずです。

cf. 日本語でSEOの記事を読みたい人のためのリンク集


0. タイトルからしてダメだとわかる海外SEO記事

タイトル見ただけでダメっぽい記事は最初から読む必要はありません。例えば 「.edu のリンク獲得手法」、「ベストなキーワード出現率は3.7%と判明!」「自然リンクが一気に300倍に増やすたった1つの方法」「外部リンクのクラスC分散は今でも有効か」などが代表例です。

一方で、「WordPress で SEO におすすめのプラグイン○選」「SEO専門家が薦める〜なSEO」のようなテンプレの使い回しタイトルがついた記事は、今じゃなくても将来何度もお目にかかるので、時間がない時は読む必要がありません。こうしたテンプレートを使った記事の内容はどれも似たり寄ったりです。

「海外SEO○選」「○つの方法」の○の中の数字が多いもの(目安は10以上)は、その記事内の情報取捨選択ができていないから、同じく読まなくても大丈夫です、少なくとも SEO界隈の情報であれば。

単にソーシャルで拡散してトラフィックを上げたいだけで中身やどうでもいいタイプの記事なのか、それとも読む価値があるタイプなのかを見分けることが肝要です。


1.書き手・著者のバックグラウンドを読む

第1段落ですら読まないためのフィルタリング、それは記事に目を通す前に、書き手のプロフィールを確認することです。海外メディアのSEO系のページは、著者のプロフィールが掲載されているはずです(なければ名前で Google検索する、LinkedIn 等で確認する)。その著者の所属企業、肩書き、業務内容、過去の業務経験、SEO業界経験年数の5点を確認※して、その内容と記事タイトル及びサマリー(第1段落)を照らし合わせて、良さそうかどうかの一時フィルタリングをかけます。

※ この5点が全て記載されてなくとも最初の3点は大抵明記してあるはず

例えば、「ウェブエンジニア」が「jQuery.pjaxのSEOベストプラクティス」の記事を書いているのであれば、とりあえず読み進める、(皆さんが一般企業のインハウスSEO担当者であると仮定して)著者が元アフィリエイターであれば読まない、所属企業のSEOサービス内容がほぼリンクのことしか言及していないのに、記事でインフォメーションアーキテクチャとSEOについて述べようとしているのであればスキップする、といった判断をします。つまり、著者のプロフィール内容と、記事のトピックが合致しないのであれば読まないという基準で選択的に排除します。


2.書き手が想定しているウェブサイト、ユーザーの意図を読み解く

自分が読もうとしている記事の内容が、どんなターゲットを前提にしているのかを考えながら読み進めていくというフィルタリングです。

中級者(SEO経験年数1年以上3年未満)、中堅規模(数千〜数万ページレベル)のeコマースサイトを運営しているウェブマスターといった具合に、書き手はユーザーやウェブサイトを想定して記事を選択していく方法があります。

例えば、(以下、ネットショップのSEO担当者を想定)Googleニュースの最適化の記事であれば(読めば得られる知見や視点があるかもしれませんが)優先して読まなくて良い、あとで暇な時に読むかという判断をしてそこでストップする、外部リンク構築施策についての記事だが、どう見てもエージェンシー側が顧客に提供するためのノウハウ集だから読まない、私はB2C担当者だが記事はB2Bを想定しているから、といった判断が可能です。

理想論を言えば、一応目を通した方が「SEO施策のための引き出し」を増やすという観点で読んでもいいのですが、時間の制約を考えたらこうした割り切りも必要でしょう。

ちなみに私は原則として「初心者〜中級者向け」「一般的な企業サイト」「比較的大規模サイト」を想定して記事を書いています。SEOの神様からすれば私が書いたどの記事も大変つまらないもので役立たないに違いありませんが、神様がご覧になられることは全く想定していませんので、どうでも良いのです。

一方で、アフィリエイターの方は一切想定していません。彼らは一般企業内のウェブ担当者と比較して、選択出来るSEOの手法が良い意味でも悪い意味でも豊富ですし、行動指針が全く違うからです。一般企業の担当者がアフィリエイターだからこそ選択できるSEOのノウハウを選んで大事故が起きないようにするためにも、想定から外しています(※ アフィリエイター向けであれば、その旨を最初に記載します)。


3.事実に基づいた分析?それとも仮説?

海外のSEOの情報を集めていて、個人的に最もイライラするのがこのタイプの記事なのですが(笑)、特に新しい検索アルゴリズムや技術的視点からのSEOの話題についてはこの視点で読み進める/途中で止めるのフラグを立てることが重要です。

実はこのタイプの記事は1つ目で触れた著者の性格で最初から分類が出来ます。おおよそ次の3分類、(1)「事実に基づいて、あるいは一定の信頼性があると想定されるデータに基づいて論じてくれる人」(2)「これは仮説なんだけどみんなはどう思います?といった具合に最初から仮説を述べてみんなの意見を求める人」(3)「仮説と事実をごっちゃにしてあたかも本当であるかのように述べる人、論理性に欠けている人」に分けられますので、どの人がどのタイプの人間なのかを理解するように努めることをオススメします。

また、本文で述べられているデータやその分析は、大抵は元のソースは公開していないことが多いはずです※ので、初心者の方には判断が難しいと思います。この場合は、著者の所属企業を確認頂き、その企業のスピーカーがClickZ Live や SMX 等の主要な検索系カンファレンスに登壇している機会が多いか否かなどを目安に判断して頂くと、おおよそ間違いはありません。あるいは、所属企業そのものがデータ分析系サービスを提供しているケース、名前自体は知られていてSEO業界経験年数も長い(最低4年以上)著者であれば、私の経験上、大抵は問題ないと思います。

※ 私も本サイト(SEMリサーチ)上の記事では元データを公開していませんが、「一定の合理的な説明を提示することが可能である事柄」「顧客企業には提供しているデータ」について、予め断った上で述べるように配慮しています


4.ユーザー視点/検索会社視点/ウェブマスター視点のバランス

私がインターネット検索業界全体を広く見て動向を把握していることの理由の1つは、検索会社の理念や理屈、検索のビジネスやサービスの理解なしに、オーガニック検索を深く掘り下げて語ることはできないと考えているからです。検索会社はSEO業者や検索順位を上げたいウェブマスターのためにルールやガイドラインを作っているのではなくて、検索利用者に豊かな検索体験を提供するために日々努力しているのです。

同時に、SEO 施策を行うときは、対 Google (あるいは Bing)という検索技術と向き合い、理解し、その技術との親和性を高める努力は無論大事ですが、同時に検索利用者の利益も考えた施策でなければ、持続的な発展は望めないでしょう。ユーザーの利益にならない施策は、遅かれ早かれ将来不要なものへと変わる可能性が高いのです。

以上のような背景を踏まえて、私は記事を読むときに(技術系であれば)ユーザー視点も考慮された最適化手法を提示できているのか、(ユーザーエクスペリエンス、マーケティング系であれば)検索技術や会社も理解しつつビジネスについて述べられているかも気をつけて読んでいます。

このフィルタリング基準は記事の良し悪しを判断するというよりも、「より優れた記事を優先して読むための基準」として私は使っています。どんな系統の記事にせよ、SEO はウェブマーケティング施策の1つである以上、ビジネスやユーザーも考慮されている記事の方が、大抵は良質なことが述べられている可能性が高いと思います。


5. その海外SEOのノウハウは日本に適用できるのか?

これは立場の違いによってフィルタリングの基準となる場合とならない場合があると思います。わかりやすい例は「Bing」「Yandex」(ロシア)「Baidu」(中国)「Seznam」(チェコ)「NAVER」(韓国)などについて言及した記事は、それぞれの市場を考慮する必要がない立場であれば、最初から読まなくていいですね。

外部リンクの具体的な実践手法は、欧米文化と日本文化の差異により日本で実行できないタイプのものも少なくありませんから、適当に斜め読みして使えそうなら読んでみる、といった判断をお勧めします。

cf. 海外SEO情報から学んだSEO手法を推進する時の注意点

例えば、英語圏で紹介されている自然リンク構築施策の中には、世界的に数多くの英語を駆使するユーザーがいるからこそ成立する、費用対効果的に優れた手法があります。こうした手法をそのまま日本語人口が限られる日本に持ち込んでも、ユーザーのネットリテラシや習慣、文化の違いで上手く機能しない、あるいは日本語人口という制約により費用対効果に見合わないものがあります。


おまけ:Google 社員の回答の読み取り方

大抵は海外から届くことが多いので、Google社員の発言についても少し触れておきます。

海外で開催された検索・SEO系カンファレンスにいって Google 社員に直撃して聞いてきた質問と回答をそのまま翻訳して掲載したページや、English Google Webmaster Central で Google が回答した内容を紹介したページを読む場合は、必ず質問内容と回答内容、その文脈をチェックしてみると良いでしょう。

SEOあるいはウェブ業界全体における言葉の定義と、Google が考える/定義する言葉の定義が違う場合、その質問と回答は意味を成さない場合があります。例えば昔の定番として・・・

質問者:Google は PageRank を現在もアルゴリズムとして利用しているのか?
回答者:使っているよ

というものがあります。この場合の質問者(=SEOの人間)が言う PageRank は、Googleツールバーに表示されるあの値のことを想定して質問しているのですが、Google の回答は自社の検索システムを念頭において回答しているので、質問者が欲しかった答えとは違うわけです。

質問と回答のやりとりを見ていると、そもそも Google と質問者間で共通プロトコルにずれがあるために、しかし Google はその認識の違いを指摘せずにそのまま回答してくるために、SEO業界側が Google の意図を勘違いしているケースというのは、案外あったりします。最近の例でいえば「ユーザーエクスペリエンスはランキングシグナルなのか」が該当するでしょう。そもそも UX とは何ぞや?という認識のすりあわせがない以上、Google はああいう風に回答するしかありません。

私は Google の発言を紹介する時には、質問者の意図と回答者の意図を汲み取った上で紹介するように配慮しています。

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おまけ。私は『Googleに聞かなくても合理的に考えれば簡単に導けるような事柄を、いちいちGoogleに質問する、Googleからの回答を得なければ意志決定できないような、そんなSEO担当者を育てたくない』と考えています。数学の問題を解くのに自分で何も考えずに解答読んで、わかった気になるのと一緒だと思うんですよ、そういう行動は。Google の最新の動きについて過去の歴史や経緯について詳しく解説を加えるのは、自分で考える力をつけて欲しいからです。

・・・こんなふうに、特にブログを運営されている方であれば何かしら意図や背景があって記事を書いているはずなので、そういうところを読み取って自分にあう情報ソース元を探して頂くといいんじゃないでしょうか。





記事カテゴリ:SEO(検索エンジン最適化), サーチニュース 2014
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