検索アルゴリズムの評価対象から考える、SEO担当者のすべき仕事

【要約】SEO担当者が直接コントロールできる範囲と、Googleアルゴリズムが評価しようとしている範囲は異なります。だから、Webサイトを通じて発信される情報あるいはサイトの状態が「自然にSEOされている」ようにする仕組みや、自然とレピュテーションが Webサイトに蓄積・構築されている土台作りが重要なのです。


公開日時:2014年12月22日 16:26

同時期・同地域開催の検索業界・SEO関連の講演であっても「ネタの使い回しはしない」(オーディエンスにあわせてゼロから組み立てる)というのが私のポリシーだったのですが、最近は時間の制約もあり、本質的に重要な事柄は共通のスライド資料で対応するように変更をしました。話の内容は適宜調整しています。

とはいえ、現在所属する(株)アイレップだけでも約10年ほど、数々の講演をこなしてきたため、現在の市場環境と照らし合わせても十二分に役立つ話であるにも関わらず「1回しか使われなかった話」がたくさん埋もれています。

そんなわけで今回は、今年になって掘り起こしてきた話の1つ、「SEO は担当者(あるいは会社)自身が完全にコントロールできるものではない」「SEO は業務プロセスの最適化であり、SEO のコンセプトを会社全体に浸透させていく取り組みが大事だ」を紹介します。この話は春先に発掘して、某所の講演で使いました。

cf. SEOの考え方:サイトの基礎体力と順位改善施策の話


SEO 何があなたのサイトの検索順位に影響を及ぼしているのか

ソフトバンクは SEO のために iPhone を発売したわけではない

外部からのリンクはWebサイト運営者である皆さん自身がコントロールできるものではないということを認識してもらうために、ソフトバンクと iPhone を例えにして考えていきます。

自らがリンクを設置・貼り付け可能な場所に働きかけて、自らの手続きでリンクを得ない限り外部リンクは増えないという思い込みをしている方に出会うことがあります。例えば、ディレクトリ検索サイトへの登録、リンク集への登録、相互リンクの申込、はてなブックマーク等のソーシャルブックマークへのセルフ登録、Twitter への(自分が設置したbotによる)自動投稿といった具合に、すべて自分の行動によって、自己完結でリンクを増やすことが SEO だと思っているわけです。

この認識は正しくありません。

Google 等の検索順位に影響を与える要素の中には、(1) 自らの責任・行動によって SEO に寄与するものもあれば、(2) 自らが制御不能な因果関係によって SEO に寄与するものもあります。ソフトバンクの iPhone 発売のプレスリリースを例に挙げて説明しましょう。

ソフトバンクは2008年6月10日、「ソフトバンクとアップル、iPhone 3Gを7月11日より日本で発売」というプレスリリースを同社公式コーポレートサイトに公開しました。皆さんの記憶にもある通り、日本でも iPhone が利用できる、ソフトバンクが独占(当時)で日本で提供するということで、テレビや新聞等様々なメディアで話題となりました。ネットのIT系のニュースも取り上げましたし、ブログ等でも散々話題になりました。

このニュースを伝達するために、インターネット上の多数のサイトが、様々な文脈で、同プレスリリースのページへ向けた参照・紹介リンクを張りました。一般的な企業が出すプレスリリースへのリンクは、よほど(良い意味でも悪い意味でも)話題性の高いものでない限り、たいした参照リンクは張られないものです。しかしソフトバンクのケースでは、1年後の時点で、確認できただけで約4,300本のリンクが該当リリースページへ張られていました※。

※ 2010年7月集計。2014年12月16日現在のリリースへのURL(http://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2008/20080610_01/)と、当時のリリースURLが異なるため、最終的な獲得参照リンク数は計測できず

単純にSEOの観点で考えれば、4,000本以上もの(大半は文脈に沿ったものであるに違いない)自然リンクが増えたのですから、素晴らしいことです。同時に、当たり前ですがソフトバンクは SEO のために、外部からの自然参照リンクを得るために iPhone を発売したわけでは当然ないわけです。

この当たり前の事実の認識が、SEO と向き合う上で重要です。


SEO担当者の業務責任範囲と、実際に検索順位に影響を与える範囲のギャップを認識する

ここで冒頭に示した図です。SEO会社の担当者であれ、企業内インハウスSEO担当者であれ、それぞれが自分の業務責任として定めた範囲内で、お客様のサイトの検索エンジン対策を支援したり、事業を成長させるために必要な自然流入増加施策を行うわけですが、現実には、自分がSEOのために行った業務と、SEOの成果として測られる結果は比例しません。

SEO担当者は「SEO担当者の守備範囲」として示された仕事をして、この範囲を見ているものです。しかし現実には、別事業部の担当者達が実施した、あるウェブマーケティングの成果が間接的にあなたの管轄WebサイトへのSEO に好影響をもたらすこともあります。例えば、大規模なポータルサイトであれば、(X) www.example.com/travel/ と (Y) www.example.com/real_estate/ と (G) www.example.com/gourmet/ は全く別部門がそれぞれ独立して運営していることがあります。異なれど同じドメイン(example.com)ですから、例えば X の担当者がほとんど遊んでいても SEO好きな担当者がいる(=社内の誰かの仕事)Y ががんばった結果として X カテゴリの対策状況も改善され、上司からお前SEOがんばったな!と褒められることもあるのです。

「会社の事業活動」とは、SEO と全く関係のない、単なるビジネス活動から直接的・間接的に生まれた SEO への成果です。例えば、テレビCMに莫大な予算を投下してテレビコマーシャルを大量に流した結果、ブランド名やドメイン名を含むその会社への検索流入が大量増加したり、非常に強力なブランド製品を抱えていて、とりあえずリリースすれば勝手にメディアが騒いでくれるような(アップルの iPhone や iPad、Google の新サービスが好例)立場にあれば、あまり担当者が意識せずとも SEO で望んでいた成果が勝手に実現されることがあります。

「会社に対する世間の反応」とは文字通り、あなたの Webサイトがオンラインでどのように言及されているのか、その評価に基づいて SEO に影響を与える要素です。ある事件が発生した際の、会社の姿勢・対応が評価されたとしましょう。この会社の姿勢、素晴らしいよね!というコメントがソーシャルメディアに大量に投稿されたり、その話題を報じるニュースメディアが増えれば、それまた検索順位に好影響を及ぼします。会社に対する世間の反応の変化(≒参照リンク、ブランド言及ページや投稿数、同ブランド言及検索数変化、ユーザーアクセス行動等多様な要素に基づき計測される)の結果です。

# この話の流れでいえば「流行」も影響しそうですが、流行はマーケットの状況を示す要素であり、会社そのものの活動や評判と関係ありませんので除外します。

このように、SEO担当者自身の業務とは直接関係ない数多くの事柄が、その担当者が責任を持つWebサイトへのオーガニック検索流入に影響しているのです。


検索エンジンが評価したいのは、レピュテーション(評判)である

検索エンジンは、あなたの Webサイトそのものの評価(つまり内部要因)に加えて、外部の要因も見ていることはご存じでしょう。ただし、今日でいう「外部」というのはリンクをどれだけ稼いだのかではなくて、その Webサイトはオンラインにおいてどれだけのプレゼンスを確立しているのか、どの程度の信頼や評判を得ているのかを解析しようとしています。リンクの本数やアンカーテキストは歴史が証明するように簡単にねつ造することが可能ですが、サイトヒストリー(履歴情報、プロファイル)や評判(≒リンク+あらゆる種類の言及・参照・引用)、プレゼンスといったものは自分でコントロールは難しい、だから図にある通り、Google のランキングアルゴリズムが見ている範囲は、皆さんが日常業務で見ている範囲よりもはるかに広いのです。

自分の努力で増やせる(スパムではない範囲における)リンクは SEO を主目的として増やすことは問題ありませんが、レピュテーションやオーソリティというものは SEO担当者が作るものではなく、周りが評価するものである、ということをきちんと認識したうえで、SEOの業務を考えなければいけないのです。

cf. 顧客が望むSEOの成果と、本質SEOで得られる成果のギャップ


「自然とSEOがされた状態」「デジタル資産が自動的に蓄積される」仕組みづくり

自分の会社に纏わる多様な変数が SEO に影響してきます。この事実を踏まえて、SEO 担当者はどうしたらいいのでしょうか。

重要なことは、「自然に SEO がされている状態」を生み出せるような仕組みを整えることです。会社全体で見れば、SEOがわからない、瀬尾さんって誰?という方が多いでしょうから、皆に SEO そのものを理解させることは大変です。けれども、手数は少し増えるかもしれないけれど妨げにならないようなルールを作ることで、自然と SEO に寄与する資産が蓄積されたり、評判蓄積につながるような状態を創り出すことができます。

こうした仕組みづくりは、特に莫大なデジタル資産を持っていると同時に担当者レベルでは直接的なSEO改善施策実施が難しい大企業において重要になってきます。

例えば、キャンペーン終了後の特設サイト閉鎖時のルールとして、(1) 閉鎖時は終了した旨の案内告知とともに、関連する商品への直リンクを設けること、(2) 当該キャンペーンが定期的に開催される場合は、同一の URL を用いること、ただし Facebook と連動させる場合は URL末尾に #xxxx をつけて、投稿数やいいねの数を計測可能にすること、(3) キャンペーンページを閉鎖する(コンテンツそのものを取り除く)時はリダイレクトを設定すること、といったルールを設けて、社内に浸透させていく(※ 社内に浸透させるのが大変だというのは重々承知しているが、その話は省くが、一言だけいうと「自分のこと」と捉えさせることが大事)ことで、どの部門のどのチームがキャンペーンサイトを動かしても、最低限の SEO の担保はできるわけです。

製造業であれば、ウェブページを作成する時に「商品名及び型番はテキストで記述すること」というルールを浸透させるだけでも劇的に検索での発見性(ファインダビリティ)を改善できることもあります。

サイトで共通して使われているベースのHTMLテンプレートの出力方法に手を加えて、自然とテールキーワードへの最適化が行われるようにする施策などは、自然と SEO の状態が整えられる施策といえるでしょう。

サイト構築完了後に SEO を依頼するのが最悪の方法で、「サイト設計段階から SEO の概念を取り入れておく」ことが重要であることは皆さん認識されていると思いますが、それはサイト構築完了後も同じです。





記事カテゴリ:SEO(検索エンジン最適化), サーチニュース 2014
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