SEOが嫌い・誤解している人に知っておいて欲しいこと

SEO が不要という人は実際のところSEO の定義が(業界標準と)異なるだけで実際やっていることは SEO に適っている、あるいは個人のセンスに依存させているだけで、組織(企業)として SEO を推進するためにどうすべきかという視点が欠けている、など。


公開日時:2016年05月12日 12:17

4月になると新入社員が増えたり、新たに SEO 業務の担当になった方とお会いすることも多く、そういった場面で「あー、そこ質問してくるか!(笑)」みたいなことも多いので、SEO の考え方について、よく誤解されていることについて簡単に書いておきます。

# 手法に対する個人的な好き嫌いと、業務における推進の是非は切り分けて考えてほしいところです。個人の好き嫌いを業務に持ち込むべきではないです。

例えばGoogleは『検索利用者に提供する体験や価値を高めることができるSEOであれば、歓迎する』(Matt Cutts, Google, 2004)といった意見を表明しているように、別に SEO は検索エンジン会社から忌み嫌われる存在なわけではありません。検索体験を高めることにつながる施策であれば(それは検索サービスの品質向上に貢献するから)歓迎ですし、検索体験を損なう行為(ゴミコンテンツを無理やり検索上位に押し込んでくる、など)は完全否定されます。

20年経っても本質が理解されない SEO

「普通にサイトを作っていれば、いいコンテンツを作っていれば勝手に順位が上がるのに SEOなんて」「SEO をやるからゴミみたいなサイトが上位に上がってくるんだ、SEO なんてこの世に不要」といった SEO に否定的な意見は絶えません。SEO という手法に対する誤解の代表的な理由といえるでしょう。

こうした質問を受けた時、私は次の2点を指摘することで SEO の考え方を理解してもらうように努めています。


「良い」の価値観は人それぞれ

第1に、「良いコンテンツを作っていれば勝手に順位が上がる」という意見は、中高生に対してきちんと毎日勉強していれば東大なんて簡単に入れるよといっているのに等しいのではないでしょうか。つまり「良い」の概念やそれを実現するための手順は人によってまちまちなので、上記の意見で思考停止させていたら個人のセンスに委ねているにすぎず、あまりに無責任でしょう。流入数など一切考慮する必要がないウェブサイトならともかく、ビジネスで運営しているサイトの課題解決プロセスにおいて、どんな”良い”の価値観をもっているのかわからない人物や集団に任せておくなどありえないのです。

SEO は検索アルゴリズムを逆手にとって検索順位を上げるというそれ単独で成立するテクニックではありません。SEO は検索利用者の体験を最大限高めるために、サイト運営側として何をすべきなのか、その考え方や手法、進め方を標準化・体系化して、それを推進していくための方法論という意味で捉えて頂くと良いでしょう。


SEOをしなければ検索上位に表示されないという発想が間違い

第2に、「上位に表示されているサイトは SEO をしたから」という発想自体が間違いであるということです。この意見は、自然検索順位の決定にかかわるすべての手がかり(シグナル)は、SEO の実行者によって完全制御できるものであるという前提に基づいていますが、それが誤りだからです。

今日の検索エンジンはウェブの世界からさまざまなシグナルを抽出して自然検索順位を判断するうえでの参考にしていますが、SEO実行者のコントロール外にある、操作が不可能あるいは著しく困難なシグナルがあります。つまり、SEO を明示的に推進するものが誰も存在しないサイトであっても検索上位に表示されることは数多くあるということです。

SEO というのは、あくまで「マシンリーダブル」「機械による情報の理解・解釈・評価を促す」という結果を生み出すための技術に過ぎませんから、SEO という概念を知らなくとも結果的に(その人の社会通念がたまたま今日の Google の思想と一致していて) SEO的に優れたウェブサイトが出来上がっているケースなど数多です。

よく「うちは SEO などまったく考えていないけれども検索エンジンからの流入は多い」などとコメントしているインタビュー記事がありますが、そういったサイトを見ると SEO の技術的には優れているサイトであり、単にその幹部や経営陣はそういった行為のことを SEO と認識していなかっただけだったりします。つまり、その人の考える SEO の定義が業界一般とは異なっており、単に「おれの定義の SEO は不要」と発言しているだけで、それの聞き手とコミュニケーションが成立していないことがざらです。


SEO という言葉がよくない?

少なくともここ日本においては、今日の SEO の業務内容を「SEO」という言葉で表すことが適切ではなくなっていると思います。よく言われるように、SEO の "E" は Engine ではなくて Experience (体験)の意味合いが強いですし、S = Search には Search Engine(検索エンジン)とSearch User(検索利用者)の2者の意味を含めて考えるべきです。

# こういったことはみんな考えていて、米国のスタートアップ企業見ていると新しい造語や概念を表すアルファベット3文字の言葉を提唱している会社さんもいるのですが、やはり定着せず「SEO」なんですね。


「検索エンジンに振り回されるのは嫌だ(だからSEO嫌い)」と考えている人の ”SEO” は検索エンジンしか見ていないのではないでしょうか、その認識を変えてみてはいかがでしょう。確かに、検索エンジン(だけ)を見て行わなければいけない施策はありますが(だから @tsujさんのようなスペシャリストの存在が重要)、多くは既存のオペレーションのなかに SEO の視点を組み込めばいいのであって、それはユーザーエクスペリエンス(UX)という概念のなかで処理すれば解決する課題でもあります。





記事カテゴリ:検索ニュース 2015-2018
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