GoogleがEU競争法に違反、制裁金3,000億円支払い命じる 欧州委員会

欧州規制当局がグーグルの親会社・アルファベットに対して制裁金 3,000億円支払い命じる。Googleショッピング検索がEU競争法違反と認定。Google は反論。


公開日時:2017年06月28日 14:18

欧州の独占禁止規制当局・欧州委員会(EC)は2017年6月27日、Google がインターネット検索市場における支配的地位を乱用し、ショッピング検索(商品価格比較検索)において競合他社を不当に排除したとしてEU競争法に違反したと判定。親会社の米アルファベットに対し24億2000万ユーロ(約3,000億円)の制裁金を科した。Google は公式ブログで EC の判断に対して反論を掲載するとともに、EU司法裁判所に上訴を検討する模様だ。

発表を受けて、米国ナスダック市場では同社株が 2%ほど低下した。

問題は Googleショッピング(旧 Froogle)

Google はオンラインで買い物するユーザーの検索体験を優れたものにするために、ショッピング検索(旧 Froogle)を検索結果の上位に表示するように改良し、同サービスのクリック率や検索流入を劇的に増やし、収益を拡大させてきた。同時に、競合の商品価格比較サイトは相対的な掲載位置が押し下げられ、トラフィックが失われた。

Google の Kent Walker 氏(SVP AND GENERAL COUNSEL)が同日公開した公式ブログで言及するように、検索利用者のための改善だ。検索ユーザーは検索自体に時間を費やしたいとは考えていない。目的の商品を手軽に、素早く見つけ出したい。だから(Googleの)「検索結果」の先が(商品価格サイトの)「検索結果」であるよりも、直接、商品詳細ページへ飛んで行けるほうがユーザーの満足度は当然高まる。今日のショッピング検索は7年前よりもさらに改良され、商品写真やレビュー、価格を整理して一覧表示することにより、広告主、検索利用者、そして Google いずれにとってもメリットがあると Google は主張している。

しかし Expedia や Yelp など競合サービスを展開する複数の企業は、Google のこうした検索の変更にたいし公式に不満を表明。EU の規制当局が2010年より調査を開始することとなった。


EU は Google の行為を支配的地位を乱用と判定

7年に及ぶ調査の末、EU規制当局は Google がネット検索における優越的な立場を乱用し、自社のショッピング検索の表示を優先すると同時に競合サービスの掲載位置を不当に調整したと認定した。

ECの競争政策担当・マルグレーテ・ベステアー委員(Margrethe Vestager)氏は「Google の行為はEU反トラスト法に違反する。同社は競合企業がメリットを競う機会とイノベーションを生み出す機会を否定した。さらに重要なことは、同社が欧州の消費者からサービス選択の機会とイノベーションにより得られる利益を否定したことだ」と述べた。

Google fined €2.42 billion by EU, Press conference and Q&A by Margrethe Vestager

ECの調査結果によると、デスクトップPCの検索結果において、上位10件が全体の95%のクリックを集め、さらに最上位のリンクは 35%のクリックを集める。検索結果2ページ目の最上位(つまり11位)は全クリックのわずか1%しか得られない。さらに最初の検索結果を3番目に移動すると、クリックの50%が奪われるとのデータも引用したうえで、より小さなスクリーンであるモバイル端末ならさらにクリック数に開きが出ると主張。Google が自社のショッピング検索をより目立つ場所に移動させる(同時に競合サイトを相対的に下位に掲載する)行為は、競合よりも非常に有利な扱いになると指摘している。

Googleは現在、欧州経済領域(EEA)31か国のインターネット検索市場において寡占状態にある。しかし同社が検索市場において支配的立場にあること自体はEU競争法に違反しない。問題は、支配的な企業はそれ相応の責任があり、その優越的地位を乱用して市場競争を阻害してはならないという点だ。この点において、Google は同法に違反したと結論づけている。

EUは Google に対し、90日以内に検索結果を是正することを求めている。対応しない場合、世界での1日平均売上高の最大5%に相当する罰金が科せられる。


Google はEU司法裁判所に上訴を検討

Google は今回の EC の判断に不満を表明している。同社はショッピング検索においては Amazon や eBay といった手ごわい競争相手の名前をあげ、競争環境は阻害していないと反論している。


Google の欧州の検索事業や他サービスに影響も

Googleの年間売上高を考えると 3,000億円という金額自体は大した問題ではない。問題は、今後の同社の欧州域における検索事業の将来にどんな影響が及ぼされるかという点だ。同社はEU司法裁判所に上訴する意向を示しているため、最終的な判断(2020年ごろ)の結果に左右されるが、事業展開スピードにブレーキをかけざるを得ないだろう。現在、並行してモバイル端末市場における Android の問題と、広告(AdSense)の問題、それぞれ競合を不当に排除しているとして調査が進められている。

今回はショッピング検索が焦点となったが、同社は旅行検索や地域情報など、自社で開発・提供するバーティカル検索(垂直型検索:特定の領域を扱う検索サービス)を数多く抱えている。これらも「検索体験」を掲げて自社のサービス枠を目立つ位置に表示するように検索結果を変更してきたが、今後 EC がこれらに調査対象を広げる可能性も否定できない。


Antitrust: Commission fines Google €2.42 billion for abusing dominance as search engine by giving illegal advantage to own comparison shopping service
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-17-1784_en.htm


Statement by Commissioner Vestager on Commission decision to fine Google €2.42 billion for abusing dominance as search engine by giving illegal advantage to own comparison shopping service
http://europa.eu/rapid/press-release_STATEMENT-17-1806_en.htm


Google の主張と欧州委員会の反論

(プレスカンファレンスの Q_A セッションより)
Google の主張:オンライン検索市場では Amazon という競争相手がいる
欧州委員会の反論:Amazon や eBay と Google ショッピングは別のもの。Amazon はマーケットプレイスだが、Google は価格比較検索サービス。Google は価格比較検索において検索市場の支配的地位を乱用して競合を排除している

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つまり、Google は「オンラインショッピング」と広範な市場を定義して競争があると主張しているのに対して、欧州委員会は「商品比較検索サービス」の市場において Google が不当に排除していることを問題視しています。

Amazon はマーケットプレイス、Google は商品価格比較サービスで全然別物。事実、Amazon は Googleショッピングの顧客になり得るけれども、他の商品価格比較サービス事業者は Google ショッピングの顧客にはなり得ない。だから、競争相手として Amazon を引き合いに出すことはおかしい、Google の反論は的外れである、というのが欧州委員会の言い分。

・・・というわけですが、正直、個人的には欧州委員会のロジックは釈然としません。





記事カテゴリ:Google 2010-2016, 検索ニュース 2015-2016
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