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JWord の登録価値は?


2003年11月10日 01:43 | TrackBack (3) | [検索エンジンマーケティング SEM]

先日、会社の方に JWord (Jワード)というサービスの売り込みが来ました。検索エンジン対策には力を入れているところですが、JWord というのはあまり聞きません。JWord とはどんなサービスなのでしょうか?またアクセスアップをするにはJWordは使った方がいいんでしょうか?

(質問者:ネットサービス会社)

まず、JWord (読み:Jワード)について説明をしましょう。

1. 日本語インターネットアドレス

JWord は「日本語インターネットアドレス」というサービスです。

みなさんがWebサイトに直接URLを指定してアクセスする時、Internet Explorer(以下、IE) のアドレスバーに URL を打ち込んでアクセスしますね。この、URLを打ち込むアドレスバーに日本語で打ち込んでアクセスできるようにしているのが JWord です。会社名や商品名、サービス名などを日本語で打ち込むと、該当するWebサイトにアクセスできるのです。例えば、アドレスバーに「ソニー」と打ち込んむと、ソニーのサイトが表示されます。

jword.gif

URL という英数字の組み合わせは英語圏のユーザーには問題ないですが、非英語圏のユーザーは自国語でアクセスできるほうが利便性が高い、という発想からこのサービスが生まれました。

実は以前、米RealNames社が米Microsoftと提携をして IE に実装してインターネットアドレスと同じ機能を実現するサービスを提供してきました。しかし昨年、Microsoft が契約を打ち切ったために RealNames社は倒産しサービスも停止しました。その後同等のサービスを提供しようと出てきたのが JWord や、後述する韓国のネッピア(netpia)です。


2. 日本語インターネットアドレスの制約

2-1. JWord を利用するためのプラグインが必要

JWord の持つ日本語直接入力によるアクセス機能は IE に実装されたサービスではありませんので、誰でもIEを利用していればJWord の機能を利用できるわけではありません。同サービスを利用するためには専用のプラグインをインストールする必要があります。

JWord は ActiveX で提供されており、JWord と提携しているWebサイトにアクセスすると画面上に強制的に ActiveX インストール画面が表示され、インストール可否の選択を迫られるので、インストールしたければ「はい」を選択すればいいわけです。半ば強引ですが一応簡単にJWordプラグインはインストールできます。

2-2. JWord によるアクセス先は登録キーワードに限られる

また、JWord ではどんなサイトにもアクセスできるわけではありません。アクセスできるのはキーワードを登録している企業に限ります。JWord はキーワードを企業に販売し、企業はそれを購入することで JWord からアクセスできるようになっているからです。従ってJWordが目指す「快適なナビゲーション」を実際に実現できるアクセス先サイトの数にも限りがあります。

なお、JWord未登録キーワードで検索が行われた場合、デフォルトでExciteサーチの検索結果が画面に表示されます。


3. JWord の登録価値は?

さて。この JWord ですが検索エンジンマーケティングという枠組みの中で捉えた時、(アドレスを登録する)企業にとって利用する価値があるかどうか。結論としてはお世辞でもあるとは言えません。

この根拠は、次の3点に集約されます。

  1. JWord のアクティブユーザー数が全く不明である以上、JWord を利用してもどれだけのトラフィックが獲得できるのか未知数である。インストール数はJWord への登録価値を測る判断材料とはならない。

  2. 中国の場合は圧倒的シェアを持つ 3721 がサービスを提供しているから一定のユーザーを獲得できているのであり、Yahoo!JAPAN や Google が人気を誇る日本市場とは性質が全く異なっている。従って中国のケースは日本には当てはまらない。中国で人気があることが日本でも人気が出ることの証明にはならない。

  3. 91%のネットユーザーは任意のWebサイトに直接アクセスする時には検索エンジンを利用しているという調査結果もある(American Internet User Survey)。つまり大多数のユーザーは JWord よりも検索エンジンでのアクセスを好んでいることを示しており、企業が JWord に登録しても満足できるトラフィックを獲得できる見込みは低い

以下、詳しく論述していきます。

3-1. 利用者数とインストール数の乖離

まず第1に JWord の機能を実際に活用しているユーザー数の問題です。実際に JWord を利用しているアクティブユーザー数は全く不明である点です(おそらくほとんどいないでしょう)。

JWord は常に「中国では大人気!」を中心に中国の統計を引き合いに出した謳い文句を使ってアピールしていますが、中国内での人気が日本でもユーザーの支持を得ていることの証明にはなりません。中国の実数をいくら出されてもここは日本ですので無関係です。特に、中国の場合は市場シェア90%を占める 3721 がダイレクトアクセスサービス(中国の JWord に相当するもの)を提供しているからこそ人気があるのであり、日本でそれ相応の提携パートナーを JWord が持っていない上、Google と Yahoo!JAPAN が圧倒的な人気を誇る日本市場とは性質が全く異なるのですから、中国の事例をそのまま適用するのは誤りです。

皆さんの周りでJWordを日常利用・活用している人はどのくらいいますか?ほとんどいないのではないでしょうか。

JWord の発表によると 1,000万人のインストールベースがあるそうです。具体的には JWordプラグイン数764万(2003/08/22)、JWord対応 hatch inn ソフト利用ユーザー 237万 (2003/08/22、推定)とあります。しかし前者は「インストール数」の数しか示していません。後者は "JWordに対応した" hatch inn ソフトの利用ユーザー数推定であり、"JWordを利用しているユーザー"とは書いていません。結局、日常的に"JWordを利用してWebサイトへのアクセスという行動をとっているユーザー数" (つまり、アクティブユーザー数)の実数がどれほどなのか不明であり全く公表されていません。パソコンにインストールされている数が1000万だろうと1億だろうと、利用されていなければ単に「HDDを食うゴミファイル」と一緒です。

実際、Google も次のように指摘しています。

ブラウザのアドレス バーにキーワードを直接入力できる機能を売ろうとする SEO もあります。そのような機能の多くは、ユーザーが専用のソフトウェアをインストールしていないと使えず、インストールしているユーザーはごくわずかです。こうしたサービスについては慎重に判断し、これらの SEO が主張する、専用のソフトウェアをダウンロードしたユーザー数についても、容易に信じないようにしてください。(引用:Web マスターのための Google 情報

JWordプラグインのインストール数と、実際の利用者数」の乖離が発生するのは、結局、行き着くところマーケティング手法の問題に突き当たります。

企業にとって自社が販売する商品は、顧客に消費されなければ意味がありません。例えば冷蔵庫に入った飲料水は、そのままの状態であれば(つまり、飲まれなければ)飲料メーカーにとって何の意味もありません。その飲料水が消費者に飲まれて - つまり"消費"されて初めて意味があります。そして顧客はそれを飲んで初めてその商品の価値を理解するわけです。ここで初めて商品に対する満足度が生まれます。

しかし JWord の場合はまず第1に顧客のパソコンにインストールされなければならないものの、ユーザーの要求なしに ActiveX の画面を表示するといったように消費してもらう対象たる顧客に意識させずにパソコンにインストールさせてしまいます。このため、JWord という商品を認識し、理解し、そして利用してもらえる機会を失ってしまうのです。さらにインストールさせることばかり優先して、その機能の効果・利便性について十分にユーザーに説明する努力をしているとはいえないでしょう。

MS Office や Photoshop といったアプリケーションソフトは、それを利用するユーザーがそのソフトウェアの機能・価値を理解しているから自らの意志で「インストール」を行い、そして利用する。しかし JWord サービスではこのプロセスを経由しないために顧客自身が JWord というソフトをパソコンに入れていること自体知らない可能性が非常に大きいのです。

JWord は「ユーザーは ActiveX の画面でインストールを選択したのならば、何をインストールしようとしているか理解しているはずだ」という反論をしてくるかも知れません。しかし、それは JWord 開発サイド側の机上の論理であり、現実のユーザーは突然出てきた画面の意味が何かわからずにとりあえず「はい」を選択するものの何が入ったのかわかっていないものです。少なくとも突然表示された画面について十分な理解をした上でソフトウェアをインストールしているとは主張できないはずです。

日本語インターネットアドレス自体の価値は、特にインターネット初心者にとっては英数字の文字列を打ち込むよりも日本語打ち込む方が断然わかりやすいわけで、その意味において利用価値のあるサービスではあると思います。ただ、その利用価値を伝えずにパソコンの中にこっそりとインストールさせているJWord の手法では、インストール数を利用者数に転換するのは厳しいのではないかと見ています。

以上が第1点目、インストール数と利用者数の乖離の問題でした。JWord のアクティブユーザー数が公表され、それがトラフィックを誘導するのに十分であると判断できないかぎり、JWord に登録する価値はないでしょう。

3-2. JWord は検索エンジンと競合する

第2点目が、競合するサービスの問題です。JWord の提供する日本語インターネットアドレスと直接競合する代替サービスは検索エンジンです。Google や Yahoo! ですね。

これは、インターネットに対して「ユーザーが簡易に目的とするWebサイトに到達したい」というWebナビゲーションのあり方に対するニーズが存在し、それに対するソリューションとして検索サービスやブラウザのお気に入り登録機能が存在するわけです。JWord の日本語キーワードはこれに対するソリューションの1つですから、同じ市場枠で括られるわけです。

JWord は特定のWebページにダイレクトアクセスするためのツールです。ところでインターネットユーザーの91%は、任意のWebサイトへのダイレクトアクセスに検索エンジンを利用しているという調査結果があります(American Internet User Survey)。つまりユーザーにとってはある特定のWebサイトに直接アクセスする時には、その企業のブランドや名前を検索ボックスに直接入力してアクセスしている方が使い勝手が良い、ということを示しています。

実際、JWord は Google に対して優位性はどこにあるか?となると答えは?です。Google の I'm feeling Lucky 機能は JWord の機能をほぼ実現しており、補完しています。しかし JWord は Google のように優れた検索ナビゲーションは提供できません。また、Google は30億以上のインデックスを抱えていますが、JWord は非常に限られたキーワードに対してしか JWordが本来目指すアクセス環境を提供できません。

この点については Samsung Securities 社の Park Jong-min 氏も次のように指摘しています。

"I don't expect many to register additional addresses. Only some corporate clients are likely to do so," said Park Jong-min, an analyst at Samsung Securities. "People are likely to prefer running search engines than trying keyword address in the first place when they are not sure whether such addresses exist or not." (CNET / Non-English search tool gains outside U.S. / October 31, 2003 / http://news.com.com/2100-12-5100691.html)

アドレスがわからないWebサイトにアクセスする時には、確実にダイレクトアクセスできる保証を与えていないインターネットアドレスサービスよりも検索エンジンにキーワードを打ち込んで探す方が確実です。特に日常検索エンジンを利用して様々なWebページを訪れているユーザーにとっては検索エンジンの方が使いやすいですし、わざわざ JWord と 検索エンジンを使い分ける人もいないでしょう。日常利用するツールは1つあれば十分であり、代替サービスは不要なのです。特別な職業を除いて一般の会社員が会社に車で行くときに2台の車をその日に応じて乗り分けることなどしないのです。

JWord を既に利用している方であれば、ここで説明している意味がよくわかるのではないでしょうか。「この会社名ならそのままダイレクトアクセスできるだろう」と思ってキーワードを入力しても、単に Excite の検索結果画面が表示されてイライラしたことはあるのではないでしょうか。JWord はWebナビゲーションツールとしては不完全ですし検索エンジンの利便性には勝てないのです。

事実、米Microsoft が米リアルネームズとの契約を打ち切ったのも検索エンジンを選択したからです。

基本的には、マイクロソフト社がDNSの次のサービスとして「キーワード」ではなく「サーチ」を選択したことがポイント。IEという圧倒的なシュアを持つ企業との契約に依存しすきぎことが結果的に致命傷となった。(ASCII24 / 米リアルネームズ、営業を停止――インターネットキーワードが暗礁に

検索エンジンよりも優位性があることを納得させなければユーザーにJWord を日常的に利用してもらえるようになるのは厳しいでしょう。いいかえると、アクティブユーザー数は推論するしかありませんが以上のような事実を考慮するとJWord の利用者数は非常に少ないと推定できます。この観点からも企業はたとえ JWord に登録をしても満足できる質の高いトラフィックを獲得することはできないでしょう。

と長々と説明してきましたが、以上のような理由からJWord を現状でお薦めできません。が、将来的にはわかりません。もしかしたら検索エンジンからアクセスというナビゲーションが今後も続くかどうかはわからないからです。大きな技術革新がおこり、このインターネットアドレスが注目を浴びる日が来るかもしれません。

ちなみに、JWord はプラグインをインストールしなければ使えないと説明しましたが、実は同様の日本語インターネットアドレスサービスで、この問題を解決しプラグイン不要でアクセスさせるための手段を開発した企業があります。それが韓国のネッピア (Netpia) という会社です。韓国のネッピアについては別記事で書きます。

[関連]
ネッピア Netpia - プラグイン不要の日本語インターネットアドレスサービス

[参考]

オーバーチュアキーワードアドバイスツールで "JWord" で検索した結果(2003/11/08)。”スパイウェア" に関連する検索キーワードが目立つ。


検索数 2003年 9月
検索数 キーワード
2669 jword
28 jword . jp
11 cnsmin jword
11 jword スパイウェア
10 20 http search . jword . jp cns . dll type = ab&fm = 1 name = % 33%36%32023 .
9 jword spy
9 jword 削除
9 search . jword . jp cns . dll type = ab&fm = 1 name = % 81%40
9 スパイウェア jword


[JWord 参考]

1) JWord Plugin (日本語キーワードキット)
インストールユーザー数:764万人(2003/08/22時点)
2) JWord対応 hatch innソフト利用ユーザー:237万人(2003/08/22時点、推定)


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