SEO目的の相互リンクを駆逐 - 進化するGoogleのスパムフィルタリング技術

SEO目的に機械的に構築される相互リンクサービスが流行している。こうしたランキングの不正操作は検索精度を歪め、品質の低下を招き、検索利用者の利便性を損なう。こうした不正SEOマーケッターに対抗するためにスパムフィルタリング技術は進化している。


公開日時:2008年05月11日 10:59

常に進化するリンク分析アルゴリズム

Googleに限らずYahoo!検索やLive Searchにもいえることだが、今日の検索エンジンは基本的にWeb上で張り巡らされているリンク分析を通じて個々のWebページの(ネット上における)価値や重要度を特定して、それを基準におおまかなランク付けをしている。いいかえれば、手段を問わず検索上位に表示したいSEOマーケッターが不正操作のターゲットとするのは「外部リンク」だ。したがって、検索会社もリンク分析やスコアリング関連のアルゴリズムには特に力を入れて改良している。

ここでリンク分析アルゴリズムの傾向と対策について話をする前に、基礎知識としてリンクの評価概念について簡単に説明しておきたい。

アウトバウンドリンクも重要 - 「どこにリンクを張るか」

きっと読者の多くはリンクの評価について「いかに多くの(しかも質の良い)リンクを"受け取るか"」ということを考えると思うが、検索エンジンは「どこのページにリンクを"張っているか"」という要素も評価している。つまり、「よく引用される論文は同じく良い論文」が「よくリンクされているページは良いページ」であるように「良い論文は同じく良い論文を参照する」、言い換えると「重要度の高いページは同じく重要度の高いページにリンクを張っている」ということである。

これはネット上で評価の高い(多くのユーザから支持され、リンクされている)サイトの運営者は、自分のWebサイトからどのページにリンクを張るかをよく考えるからである。なぜなら、コンテンツの質が悪いページ、対して役に立たないページを紹介することはユーザの支持を失うことになるためだ。したがって(検索エンジンの視点で)重要度の高いページの多くにリンクを張っているWebページは、リンク先を適切に判断した上で設定したものとして相応にリンクを張ったページも評価をするのである。

ゴミ同然のページに大量リンクを張るのは注意

さて、「どこにリンクを張るかも重要である」ということは、重要度の低いページばかり(狙っているかのように)張っているページの評価はどう取り扱うのが適当であろうか考えてみよう。

本来、Webページはユーザに有益な役立つ情報を提供するために提供されているはずであるから、ページで紹介されているリンク先ページも基本的には有益なページのはずである。しかしユーザには判断能力の差はあるから当然、みんなが良いと思うページばかりにリンクを張るのではなくて、大多数には認められない(つまり、検索エンジンの視点でいうと重要度の低い)ページにリンクを張ってしまうことはあるだろう。しかし、「重要度の低いページばかりに狙ってリンクを張る」ということは特別な意図がない限りはありえない。

検索アルゴリズムで判断される基準はこの点だ。つまり「リンク先ページの大多数が重要度の低いページ」Webページはユーザに有益なリンク情報を提供していないことになるため、検索エンジンからの評価は下がることになる。このリンク分析アルゴリズムが意味することは、「多数のWebサイトを自分で立ち上げて、相互にリンクをしても検索エンジンからの評価は得られない」ということである※1。

エイジングフィルタのページで説明したように、自らが多数のWebサイトを立ち上げることでリンクを簡単に人工生成してリンク評価を高めるウェブマスターが増えた。、こうしたサイトは大抵の場合、他者が運営するWebサイトからのリンクは受けていないし相互にリンクをする相手も自分が用意したサイトになる(だからこそ、不正SEO目的に大量のサイトを用意している)。すると、他者からリンクを受けていないサイト(ページ)(その時点で評価が低いサイト)同士でリンクを張ることになるので、重要度の低いサイト(ページ)同士がリンクを張り合うことになる。すると先述したとおり「重要度の低いページばかりにリンクを張っている」ことになるので評価が下がる(上がらない)ことになる。

また、今まで「重要度の低いページにばかりリンクを張っているページ」ということで説明してきたが、同様に「重要度の低いページばかりからリンクを張られているページ」も同じく品質に問題がある(SEO目的のために作成したWebサイトから大量にリンクを張っているだけの可能性がある)ということでやはり検索にヒットしづらい状況となる※2。

相互リンクする相手を確認せよ

リンク元やリンク先ページの品質が判断指標となるということは、相互リンクをする場合に「自分が誰とリンクをするのか」をきちんと確認する必要があるということだ。

例えば、ネットワークに参加して指定されたファイルを自分のWebサイトにアップロードするだけでその他大勢のWebサイトと相互リンクできるような「相手先不明」な相互リンクには参加すべきではないし、もし個別に相互リンクを結ぶにしても怪しいWebページにばかりリンクを張っているようなところとはリンクすべきではない。


こんなタイプの相互リンクに注意

誤解しないで頂きたいのだが、決してSEOにおいて「相互リンク」自体がダメだといっているのではない。問題は、相互リンクを結ぶスキームにおいて「不特定多数のユーザと勝手に相互リンクが結ばれ」たり、「相互リンクした相手が危ないネットワークに参加している」場合だ。また、相互リンクの仕組み自体に検索エンジンスパムと判定されるリスクはないが、SEO的に何の効果が得られないものも存在する。ここでは具体的なケースを挙げておこう。


ケース1 強制相互リンク型 - スパムと判定される可能性も

相互リンクのための手続きを踏むと、参加条件として指定のWebページを自分のサイト上にアップロードすることが求められており、そのWebページには自分が知らない多数のWebサイトへのリンクが記載されているようなケースを指す。

この指定されたファイルをアップロードすると、あなたは該当相互リンクネットワーク参加サイトから数多くのリンクを受けることになるが、同時に、その条件となったWebページをアップロードすることで自分のサイトから不特定多数のWebページにリンクを張ることになる。こうしたタイプの相互リンクネットワークは、検索エンジンのリンク評価を上げるためだけのリンクネットワークと判断される(リンクファーム)、あるいは品質の低い、検索エンジンスパムを行っているようなWebページに知らないうちにリンクを張ることによってインデックス登録に支障が生じる、例えばWebサイトが全くGoogleで検索できなくなる事態が発生しかねない。


ケース2 ねずみ講相互リンク - 時間の無駄遣いに終わるかも

相互リンクネットワークへの参加者を勧誘した人数に応じてリンクが増える仕組みを採用した相互リンクネットワーク。これは検索エンジンスパムを想定して、それを回避するための仕組みとして出来上がったものなのでGoogleやYahoo!からスパムと判定される危険性は少ない。ただし、この手のものは主催者側だけが得をして後から参加した人はメリットが享受できないことが多い上に、Webサイトやシステムの仕組み上、参加者があまり増えない。また、この手のサービスに参加するWebサイト運営者は総じて検索エンジンからの評価が低いため、たとえ多くのリンクを獲得できても検索エンジンからの評価はそれほど上がらない。つまり、手間をかけた割にさして効果がないので時間の無駄遣いで終わる可能性が高い。


ケース3 テキストリンク自動挿入型相互リンク - 時間の無駄遣いに終わるかも

自分のWebサイト上に貼り付けたリンクの数に応じて、相応の数のリンクがネットワーク参加者のいずれかのWebページから張られるタイプの相互リンクネットワークを指す。Webサイトが属するカテゴリと同一のサイトからリンクが張られるように関連性まで考慮した、高機能(?)なものもあるが、概して参加者数が少ないためにそれほど機能していないことが多い。また、ケース2同様に総じて参加サイト自身のWebサイトの検索エンジンからのリンク評価が低いためにリンクを獲得してもランキングの順位にインパクトを与えるほどの効果は得られにくい。ケース2同様に時間の無駄遣いに終わる可能性が高い。国内において、少なくとも1社が上記に該当するサービスを提供しているが、全く機能していないことを筆者は確認済みだ(2008年5月1日時点)。


相手が確認できる相互リンクへ参加しよう

もし相互リンクによってリンクを獲得したいのであれば、必ず、自分が誰と相互リンクをしようとしているかが把握できるものにしよう。つまり、基本的には相互リンクを募集するWebサイトと個別に結んだほうが無難だ。あらかじめサイトの人気度を表示してくれるAlexa ( http://www.alexa.com ) や Google PageRankなどの数値で相手の大まかな状況を知ることができるし、ざっとHTMLコードを見ればスパムをしていないかどうか※1も確認できる。問題がないと思ったら相互リンクの申し込みをすればよい。

このように相手が確認できるものであれば、例えば「一度に(私が運営する)8サイトと相互リンクが結べます」といったようなものでも基本的に問題がない。8サイトがどれなのかを把握できているからだ。


自由登録型リンク集も効果は薄い

「リンクの品質」という話を相互リンクの観点から述べてきたが、この品質評価問題は一般のWebサイトへのリンク貼り付けについても同様だ。

例えば、1~2年前であれば外部リンク対策の1つとして、個人などが運営する中~小規模の検索エンジン(ディレクトリ)やリンク集への登録があった。誰でも手軽に検索エンジンやリンク集を構築できる無料のCGI/PHPスクリプトで設置できるタイプの検索エンジンだ。こうした検索エンジンやリンク集はネット上に無数に存在するが、アンカーテキストの内容(見出しに相当)を自由に指定できることから、検索上位に表示したいキーワードを含んだ見出しで大量の検索エンジンに登録して、望みのキーワードで上位表示することができた。特にアンカーテキストとリンク先ページの関連付けを重視する対Googleという意味では比較的有効に活用できた。

しかし、ここ最近の傾向を見ると、残念ながら数百という単位で登録をしてもあまり検索上位に表示されにくくなっている。また、過去に登録することで検索上位に表示されていたWebサイトが全く検索されないケースも確認されている。Yahoo!やJディレクトリー、DMOZ (Open Directory Project)といったネットでもメジャーなディレクトリ型検索と異なり、ここで触れたような中小のリンク集やディレクトリは他のサイトへのリンクは多数持っていても(SEO目的で登録するユーザが多いから相当な数になる)、被リンクは少なくなる(こうした中小ディレクトリにわざわざリンクを張る人はいない)ため、検索エンジンからの評価も下がってしまうことが原因の1つと考えられる。

もちろん、こうした類のリンク集やディレクトリが全て効果がないわけではないが、少なくとも「数多く登録すれば相応に検索上位に表示される」わけではなくなっているので注意をしてほしい。せっかく数多く登録したその努力が水の泡になりかねない。


新規立ち上げのWebサイトの外部リンク獲得には注意

なお、新規に立ち上げたばかりのWebサイト、つまり、外部からのリンクが全くないWebサイトの外部リンク対策について1点注意事項を挙げておく。

これは米Googleのエンジニアが認めていることであるし、また筆者自身も2006年の1年間をかけて実験を通じて確認しているが、あるWebサイトへの被リンクの大多数(目安として8~9割以上)のリンク品質が低い - つまり、リンク元ページの評価自体がほとんどない - 場合、検索エンジンのデータベースに登録されにくくなっている。

具体的には、どんなにWebページの数を増やしても、またどれだけの頻度で更新してもトップページ以外のページが全くGoogleに登録されない。これは、リンク評価が著しく低いというよりも、リンク評価の低いページからしかリンクが張られていないWebページのため、Googleがシステム的に登録を排除していると推定される。既に何年か運営しており相応に知名度のあるサイトであれば、Webサイト運営者の意図しないところで勝手にリンクが増えていくため、「低品質のリンクばかりがあつまる」こと自体が起こりえないため心配無用だが、新規Webサイトで最初からSEOをがんばっている場合、しかも外部リンクの集め方に問題がある(低品質のリンクばかり集めてしまう)とGoogleにインデックスされなくなってしまうので注意したい。

ちなみにこの現象はGoogleでのみ確認されている。


■注釈

※1 これは単純に「リンクファーム」という違反によって検索エンジンスパムと判断される場合もあるが、仮にリンクファームの違反基準に該当しなくても「リンクの品質」という観点から結局評価が下げられる可能性があるということ。

※2 自分が誰にリンクを張るかは100%管理が可能(ウェブマスター自身が、リンク先を決定することができるから)だが、どこからリンクが張られるかはウェブマスターの管理範囲外(誰がリンクを張るかはわからないから)なので、誰かが大量に自分のWebサイトに品質の悪いリンクを貼り付けて検索順位を落とされる点を懸念されるかも知れないが、「100%管理できない範囲」ゆえによほど明確な証拠がない限り、被リンクの品質の悪さを理由に順位が下がることはないので気にする必要はない。これは複数Webサイトを運営していて相互にリンクを張ろうとする際に留意すべきものだ。


執筆:渡辺隆広
本コラムは2008年5月1日時点のもの





記事カテゴリ:SEO(検索エンジン最適化)
他の検索・SEO 関連の記事
新刊:ネットショップSEO 2014発売されました(2014年5月)
Google「パーソナライズ検索による劇的な検索順位変動は都市伝説」と説明
Google、カナダでローカルサービス広告を提供開始
グーグルとディズニーがデジタル広告分野で提携
Googleインド、モバイル検索でカバディの試合情報を表示する機能追加
goo, 2018年検索ランキングを発表、人物の1位は「羽生結弦」など
ロシアYandex、検索アップデート「アンドロメダ」を発表
Microsoft Bing、年末商戦にあわせてショッピング検索機能を強化
米Google、検索結果にユーザーがコメントを投稿できる機能を準備
プライバシーを守る検索エンジン DuckDuckGo、検索回数3,000万/1日 突破
ペンス米副大統領、中国市場向け検索アプリ開発の中止を求める
「SEMリサーチ」トップへ戻る




免責事項:SEMリサーチは、本記事中で触れている企業、商品、サービスの全て(情報)について、有用性、適合性、正確性、安全性、最新性、真実性に関する一切の保証をしておりません。各自の判断でご利用下さい。