SEMキャンペーン全体最適のためのキーワードの選び方 - アイレップのSEOスタンダード

ビジネスにおけるSEOの目的は、売上増やリード獲得、利益、トラフィック、ブランディングなど、企業は何をしたいのか?という観点から定めるべきで、順位そのものは目的でない。ビジネスゴールを達成するために、どのキーワードを選択するかを考える必要がある。コンバージョンがいたるまでにどのような検索を行ったのか、「コンバージョンパス」にも目を向けよう。


公開日時:2008年05月15日 11:26

今回は、ユーザーの検索行動の観点から、キーワードを選ぶための考え方や視点について説明をしていく。

ユーザーは、検索を繰り返し目的の情報にたどり着く

ユーザーにある興味・関心がわき、検索行動を起こす時、その行動は1回で終了するとは限らない。つまり、コンバージョンが発生する前に何度か検索をしている、ということだ。

特定のサイトに到達することを目的とするナビゲーションサルサーチ(例えば、2chやNHK、ANA、企業名など)はともかく、携帯端末を買い換えるにあたって価格や比較、クチコミの情報を集めるとか、ミャンマーの軍事政権について調査する、アイドルの壁紙画像を探すといったケースにおいて、ユーザーは行き着いたページで新たな発見や興味・関心を持ち、続けて検索を実行することは少なくない。たとえば、あるブランドの商品に関心を持ち、そのネットでの評判を探していたところ、同等機能を持つ別ブランドを推す声が多いことがわかったら、今度はその別ブランドについて調査するために検索を開始するといった具合だ。米Ask.comの調査によると、平均して1ユーザーは1セッションあたり、10分検索を行い、10回の検索を実行し、13個のページをピックアップするという(Ask.com、2005)

こうした検索行動は、購買サイクルのステージによって細分化することができる。たとえば、漠然とある商品やサービスが欲しいと認知した段階においては一般的なキーワードで存在する商品やサービスそのものを調べるために検索するだろうし、調査段階であれば主要なブランドやメーカーごとの基本的な商品情報を手に入れるための検索を行うだろう。また、比較・検討段階であれば価格情報や評判を調べるための「クチコミ」「評価」といったキーワードを使った検索が多くなるに違いない。最終的にお目当ての商品が決まり、オンラインで購買するのであれば小売店や直販サイトの名称をキーワードで検索していくかもしれない。

このように、ユーザーがオンライン・オフラインにおけるトランザクション(商取引)を目的とした検索行動を起こした時、それに到達するまでには相応の検討時間は発生するし、ベストな買い物をするために情報収集のための検索行動を起こす。

企業のマーケティング担当者の多くはきっと、こうした消費者行動を当然理解しているはずなのだが、現実にサーチマーケティングにおいて、消費者行動を反映した施策を実施している企業はそれほど多くない。

たとえば、単純に検索回数が多い数個のキーワードをピックアップして検索連動型広告を運用する、潜在顧客を誘導する可能性があるキーワードが数万単位で存在するのに、いわゆる成果報酬型SEO会社にアウトソースしてわずか1~2個のキーワードに月額数十万円の費用をかけるといった具合だ。これはサーチマーケティング全体で見れば極めて部分的な最適化に過ぎないのだが、これが問題だと認識する担当者が少ないのが実情だ。潜在顧客が様々な検索意図(インテント)を持って検索をしている以上、そのユーザーとの接触機会を最大化させ、順位でなく売上やコンバージョン、リード獲得といった企業が本来求めるべき指標を最大化させるサーチキャンペーンを組み立てるべきであるし、オフラインやその他ネット広告も展開するならシナジー創造の可能性を検討するべきであろう。

こうした考えを実践した事例が米国にあるので紹介しよう。ある大手航空会社は、競合他社がサーチマーケティングに莫大な予算を投下し競争が激化したことに伴い、サーチキャンペーンの見直しを行うことにした。オンラインにおけるユーザーの購買行動を詳細に分析し、航空券購入前の12週間前から(チケット購入のための)検索行動を開始する、特定の空港名称を含むキーワードが存在すること、などのユニークな情報を取得した。これを反映するためにユーザーの検索意図を想定した上で適合するコンテンツをWebサイトに展開し、関連キーワードでユーザーにマッチさせるキャンペーンを組むという対応を行ったのだが、この結果、サーチマーケティング予算を増額せずに売上を2倍近く上げることに成功している。

こうしたユーザー行動ベースのキャンペーン設計は残念ながら日本の企業での取り組みは進んでいるとは言い難いが、参考にして頂きたいと思う。


「間接貢献」キーワードと「直接貢献」キーワード

Web解析をした時、あるコンバージョンが発生した時に利用された検索キーワードが仮に「A」だったとしよう。この時、「A」というキーワードをトリガーとしてコンバージョンが発生したため、「A」を評価するのは当然と考えよう。しかし、「A」というキーワードを誘発させたきっかけが、その直前に検索された「B」というキーワードだったら、果たしてこの「B」はどう評価するべきだろうか。

もっとわかりやすい例を出そう。例えばある新商品を紹介したテレビCMが流れ、それを偶然視聴したユーザーがたまたまその分野の商品に興味を持っており、そのCMをきっかけに検索をして当該商品ページに訪れ、購買に至ったとき。この時、利用された検索キーワードは評価すべきだろうが、そのキーワードを誘発したテレビCMも評価されるべきだろう。

話をキーワードレベルに戻すと、前半で触れたようにユーザーは検索エンジンとWebページを行き来しながら情報を得て、最終的なアクションを起こす。したがって、直接コンバージョンを発生させたキーワード(直接貢献キーワード)だけを評価し、その検索のきっかけを与えたキーワード(間接貢献キーワード)を評価しないというのは、サーチキャンペーン全体の最適化の観点で言えば正しいとはいえない。

繰り返すが、コンバージョンを直接発生させなくても次の検索につなげるキーワードは存在する。最終的にコンバージョンが生まれたキーワードにも、それに至った過程がある(コンバージョン・パス(Conversion Path))。こうした観点から、SEOだからといってキーワードを数個選び、そこにリンクを集中させて上位に上げるだけでは、多数の「ユーザーとの接触機会」を失うことになる。

ユーザーの検索行動の観点から考えた時、検索回数が多いキーワードだけを選べばそれでよいのか?サーチキャンペーン全体、あるいはマーケティング全体の最適化を図る上でSEOにおけるターゲットキーワードの設定はどうあるべきなのか?特に事業ユニットやブランドを多数抱える大企業のサーチ担当者にはもう一度、考えていただきたい。


執筆:株式会社アイレップ 取締役 SEM総合研究所 所長 渡辺隆広
本文は2008年1月時点のもの。





記事カテゴリ:SEO(検索エンジン最適化)
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