スマートフォンサイトとSEO Q&A (中〜上級編) (2012.07版)

スマートフォンとSEOについて、ちょっと複雑な質問とその回答。


公開日時:2012年07月19日 15:48

最近、スマートフォンサイト構築におけるSEO上の注意点について相談を受けたり、あるいはセミナー・講演などで本話題を扱う機会が増えているのですが、今回はその中から適当に印象に残っているものについて簡単にまとめます。

本日は時間の都合で文字だけで説明しますが、後日、図版を交えた解説記事を追加していきます。

Googleは説明時に "desktop" と "mobile" という表現を用いますが、本記事では「PC」と「スマホ」と表記します。

Q1) PC版サイトとは別にスマホ版サイトを構築した。まだすべてのコンテンツをスマホ展開できていない。このケースにおいて、スマホユーザーがまだスマホ版が用意されていないPC版サイトにアクセスした場合、どう取り扱えばいいのか?PC/スマホサイトが別URL、別コンテンツのケースを想定)

A1) あるPC版ページに対応する(=コンテンツが同一・類似する)スマホ版ページが準備できていない場合、PC版ページをそのまま表示してください。

本ケースで default-Googlebot をスマホ版の他のページ(たとえばスマホ版トップページ)にリダイレクトすることは避けてください。Googleはスマホユーザーの検索体験を改善するための試みとして「リダイレクトスキップ」※を採用しているため、スマホユーザーが検索クエリに関係するコンテンツがあるページだと思ってクリック(タップ)しても全然関係ない(スマホトップページに)アクセスしてしまい、不満を感じるユーザーが出てくる可能性があるためです。

※ リダイレクトスキップ:PC版サイトにアクセスした時に自動的にスマホ版にリダイレクトする仕様のサイトにおいて有効となる機能。スマホユーザーが検索結果でPC版当該サイトをクリックすると直接、スマホ版ページに誘導する仕組み。リダイレクト時間分を短縮できる。

たとえば、スマホユーザーが「札幌 ホテル」と検索して、タイトル「札幌周辺のホテル一覧」というページをクリックしたら旅行代理店のトップページが開いてしまい、どこにも札幌のホテル情報がないじゃないか!という自体が起きてしまうということです。

まだスマホ版で用意されていないページで、しかし重要なコンテンツであるならば、まず速やかにそのスマホ版ページを制作することを検討してください。


Q2) PC版で用意しているがスマホ版は用意していないコンテンツ(ページ)がある。今後も作成予定はない。この場合、もっとも近しいページに alternate / canonical を使ってリンクを結んで良いのか?どうしたらいいのか?PC/スマホサイトが別URL、別コンテンツのケースを想定)

A2) そのページの存在が気になる質問をするのであれば、少なくともユーザーにとって(そのスマホ版を用意する予定のないページは)無駄なものではないでしょう。したがって、まずそのページ(コンテンツ)の重要性を評価して、必要であるならスマホ版ページを作ることを検討してください。

Googleは(2012年7月19日時点において)PC版サイトで展開されているコンテンツはスマホ版にも展開されているという前提でレコメンデーションの文書を作成しています。皆さんがどう思うかどうかはともかく、Googleが現時点で公開しているドキュメントは、そういう前提に基づいています。

従って、PC版はあるけどスマホ版がない、どうしたらいいか?という質問に対する回答は、「必要なコンテンツなら、なんでスマホ版用意しないの?」(つくれよ)という話になります。

それを踏まえて作りませんというなら、そんなに重要なページではないのでしょうから、リダイレクトもせずそのままPC版を表示させればいいと思います。ただ、(コンテンツ構成は違うけど)スマホ版サイトの存在がわかるようにそのページに記載しておくといいでしょう(欧米のサイトを見ると、大抵はフッター部分に "desktop" "mobile" のリンクを用意していて選択できるようにしている)。



Q3) スマホ版サイト向けに用意したコンテンツ(ページ)がある。これはPC版サイトでは用意されていないし、類似該当するコンテンツもない。この場合、どうしたらいいか?(PC/スマホサイトが別URL、別コンテンツのケースを想定)

A3) Q2 の逆バージョン、「スマホ版は用意されているけど、PC版はない」というパターンです。この場合は、基本的に特に対応することはありません。

ただし、SEOを最大化するためのアクションをとりたいのであれば、PC版に同等のコンテンツを用意した上で、alternate / canonical で関係性を伝えてください。



Q4) 従来型携帯電話サイトとスマホ版サイトを持っています。PC版サイトはありません。スマホ版サイトはSEOをがんばりたいです。どうしたらいいですか?

A4) PC版サイトも構築してください。GoogleはPCとスマホのサイトを区分けしていませんので、通常検索結果でのファインダビリティを最大化するなら、スマホ版サイトだけではPC版サイトに太刀打ちするのは厳しいのです。ウェブページからのリンクやソーシャルにおける伝播・共有はPC/スマホの世界分け隔てなく発生するのですから、SEOがんばりたいならPC版サイト作ってください。ちなみに欧米の事例をみますと、検索トラフィックを重視するようなビジネスにおいてはPC版、スマホ版両方提供されていることが大半です。

PC版というデバイス向けのサイトが用意されてないけどスマホ版がある、とはおそらく従来型携帯電話サイトでビジネスを展開されてきた、CP(コンテンツプロバイダー)のビジネスの発想と察しますが、検索の世界でそれは不利ですのでご注意ください。



Q5) あまり制作費に時間をかけられないので、スマホ版サイト(別URL)には、PCと全く同一のコンテンツを用意するつもりです。この場合、Googleは両者を重複コンテンツをみなしませんか?

A5) alternate/canonicalアノテーションを使って、両サイトの関係性を伝えてください。この仕組みには、 canonical によってスマホ版のあるページと同等のコンテンツが別URLにもあることをGoogleに伝えることができますので、重複コンテンツの問題も解消されます。



Q6) スマホ版サイトを用意していたほうが、Google(スマホから検索時)のランキングもあがる傾向があるという噂を聞きました。本当ですか?

A6) ウソです。確かに米国のとあるモバイル会社が「スマホサイトを持っているサイトは(持っていないサイトより)ランキングが上の傾向がある」という調査結果を出しているのですが、これはスマートフォンサイトを持っているから上位に表示されているというよりも、現時点でスマホに対応させている、ユーザーの方を向いているサイトは(PC版が)よくできているから結果的に検索上位に表示されているという結論を出す方が妥当です。

第一、Googleは「PCブラウザと同等の性能を持つブラウザを内蔵するデバイスからの検索結果は、PCと同じものを表示する」ようにしていますので、スマホサイトだから(Googleスマホから検索時に)順位が上がる、ということはありません。



Q7) PCからGoogle検索した時と、スマホからGoogle検索した時に、検索結果が異なる場合があります。これは何故?

A7) 理由は次のいずれかです。

・位置情報によるパーソナライゼーション。スマホ検索時は location-sensitive になるため。またスマホで(知らないうちに)位置情報の共有・送信を有効にしているユーザーも少なくなく、それにより検索結果がパーソナライズされます。
・アプリの検索結果。スマホ検索時は、検索クエリに合致するアプリを検索結果に表示することがあるためです。
・ローカルの検索結果。スマホ検索時は、ローカル情報が表示されやすい傾向があるためです。
・キャリア依存(海外) キャリアがGoogle自然検索結果にデジタルコンテンツ関連のページを自動挿入するケースがあるためです。T-Mobile で確認しています。



Q8) (海外版) iPhone 4S の Siri で検索した時の結果と、同クエリでGoogle検索した時に検索結果が異なるのは何故ですか?

A8) Siri は独自のアルゴリズムに従って検索結果を表示するため。特にローカル情報に関する検索結果はその傾向があります。



Q9) 上の質問と回答が何を言っているのかさっぱりわかんないんですけど

A9) この記事は読まなかった、「なかったこと」としてスッキリ忘れて自分の仕事に戻ってください。



#
Q9 について、これは冗談ではなく、もし alternate / canonical や Vary HTTP の正しい実装がわからない場合、何もしないでください。変な実装をして悲惨な結果をもたらしているサイトが少なくありません。

Googleは先月(2012年6月)スマートフォン最適化のガイドラインを提示しています。しかし内容は不十分であり、ウェブマスターやサイト制作者が最適化過程で直面するような様々な疑問に答え切れていません。つまりドキュメントに明文化されていないことや、そのドキュメントが想定していないケースが世の中にたくさんあり、その場合にどうすべきかという Google の回答が十分に整理されていない状況にあります。ウェブマスターがわからないのも当然です。

こうした状況ですので、将来的にまた新たなアノテーションの追加など、機能追加や仕様変更が予想されますので、もしわからないのであれば、何もしないで Google の検索アルゴリズムに任せる(自動的に処理させる)ようにした方がいいです。





記事カテゴリ:SEO(検索エンジン最適化), モバイル検索
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