うっかり有料審査型スパムディレクトリに登録しないために - (今更) SEOとディレクトリ登録の歴史

PageRankの高さや提携サイト数の多さを盛んにアピールするディレクトリ登録サービスの一部は、登録の意味が全くない、安全ではない可能性があります。


公開日時:2013年07月01日 13:26

会社に届くメールを見ていると、実質的にスパム同様な、ディレクトリ登録サービスというSEO商品の営業メールが届きます。実際にディレクトリを訪問して調査すると、実はGoogleに登録すらされていない、SEO的に価値がゼロなディレクトリ登録も少なくありません。

一部の悪質な業者はGoogleの発言を引用して、このディレクトリ商材は安全です、SEO効果ありますと盛んにアピールしています。しかし、PageRankの高さばかり謳うあなたの扱うディレクトリが健全かどうかは別問題です。PageRank ○を持つ10サイトからリンクを張りますなんてアピールするディレクトリを、Google が健全性が高いと認めるわけないじゃないですか。

ということで今回は、そもそもディレクトリ登録の有用性が謳われてきた背景と、現在におけるディレクトリ登録の意味、そして最近急増中のスパムディレクトリの問題についてまとめておきます。本記事では、これを「有料審査型スパムディレクトリ」と表現します※。

最初にお断りしておくと、きちんと運営されている、健全性が高いディレクトリサイトやその登録サービスもあります。一方で、粗悪なディレクトリもあるのも事実です。どんな業界でも優良な企業もあれば、そうでない企業があるのと同じです。ですから、利用するならきっちり良いものを選んでください。ディレクトリだからと無条件でお金を突っ込んでも、期待していたSEO効果がさっぱり得られないばかりか、ガイドライン違反を指摘される可能性すらあります。


※ たとえばフリーCGIを利用したディレクトリスパム自体は以前からあります。最近は、有料審査という体裁を整えながら実質的に価値のないスパムディレクトリが増えてきたので、ここでは前者と区別するために有料審査型スパムディレクトリと呼びます

一部のディレクトリサービス提供業者がこの記事のURLを示したうえで「ディレクトリ登録サービスの健全性については、Googleも公式に認めております」と宣伝していますが、この記事は一般論です。マット・カッツ氏が語るような「PageRankが●●」と宣伝するディレクトリや、「貴社のサイトが上位表示されやすくなります」「検索で上位表示させたい下層ページの登録も可能です」と宣伝するディレクトリへの登録にはご注意ください。[「スマホ向けサイトはレスポンシブWebデザインで」グーグル社員が語る など10+2記事(海外&国内SEO情報)]


最近、『表向き審査型ディレクトリ登録サービスを装いながら、実質的に有料リンク販売の場となっているディレクトリ』が急増している。その多くが審査料金として数万円程度、ちょうど同種のYahoo!ビジネスエクスプレスよりも少しお得感がある金額ながら、複数のURLを設定したり、指定したキーワードをアンカーテキストに指定できる、一度の登録で多数の提携サイトからもリンクがもらえるといった、"付加価値"をつけて販売されている。

SEO業界では、黎明期から外部リンク対策の1つとしてディレクトリ登録が推奨されてきた。そのため、こうした"付加価値"をつけたディレクトリは同様、あるいはそれ以上にSEO観点で意味があるものと信じてしまっている人もいるのではないだろうか。

しかし現実には、数万円の費用を支払って掲載しても、SEO的には全く価値がない、それどころかデメリットしか生まれないような粗悪なディレクトリも存在する。そこで今回は、まずSEO業界においてディレクトリ登録が推奨されてきた背景と、急増している有料審査型スパムディレクトリの問題を扱う。


ディレクトリ登録とSEOの歴史 (1) Google 誕生前

SEO業界でディレクトリ登録が推奨されたのは、Google が誕生するより前の時代に遡る。つまりアルゴリズム型検索エンジン(ロボット型検索エンジン)が誕生するより前の時代は、カテゴリごとにウェブを分類・紹介するディレクトリ型検索が主流だった。だからサイトへ集客する手段としてディレクトリへの登録が推奨された。

この時代は、まだアルゴリズム型検索は主流ではないので、単純に集客チャネルとしての重要性からディレクトリ登録が推奨され、被リンクの価値云々の概念は存在しない。


ディレクトリ登録とSEOの歴史 (2) "SEO"の用語誕生からGoogle台頭時代 (2000年代前半)

2000年頃に検索エンジンからの集客手段としての"SEO"という用語の確立や、Googleに代表されるアルゴリズム型検索の台頭。この時代においてもディレクトリ登録は外部リンク施策(当時でいう PageRank 対策)の一環として推奨された。

当時、ディレクトリ登録が推奨された理由は次の3つ。

  1. クローラビリティ:当時のクローリング技術はまだ未熟だった。いち早くインデックスに登録してもらうには、有名ディレクトリに掲載することが近道だった。なぜなら当時、クローラは有名ディレクトリから巡回を開始していたと言われていたから(実際、alltheweb、altavista(それぞれ当時)のエンジニアはそう説明していた)
  2. 人気サイトからのリンク:Yahoo!ディレクトリ(カテゴリ)やBT Looksmart(当時)※、DMOZ (Open Directory Project) など世界中のサイトからリンクを得ている人気サイトからのリンクには、相応の価値があると考えられていた
  3. ディレクトリからのリンクという特別価値:YST (Yahoo! Search Technology)限定

※ Looksmartはバリューコマースに買収されたのち2006年6月にディレクトリを閉鎖している。2013年6月現在、当時のドメイン名を再取得してディレクトリ登録を提供している業者があるが、全く無関係

当時はまだ、SNSは無論、ブログ人気がまだブレイクする前の時代。つまりリンクを発信する個人は相対的に限られており、被リンクを得ることは比較的ハードルが高かった。だから有料ながら審査を通過できれば確実にリンクを得られるディレクトリ登録は、外部リンク施策の1つとして勧められていたし、重宝されていた。特に、大手ポータルサイトと提携してディレクトリデータを配信していた Looksmart (当時)やDMOZは、1回の登録で複数サイトからリンクが得られるということで一時的に人気を得た。


ディレクトリ登録とSEOの歴史 (3) DMOZクローン問題

ディレクトリ登録の価値に変化が生じたのは、DMOZクローン問題(2003~2005年)が契機だ。かつてGoogleも利用していたDMOZのディレクトリだが、Open Directory Project という名の通り、誰もが自由にそのディレクトリデータを利用して、自らのサイト上で(当時大手ポータルサイトが軒並み提供していた)ディレクトリサービスを提供できるようになっていた。

ここに目をつけた一部のグレー/ブラックハットスパマー達が行ったのが、DMOZクローンの大量生成だ。安価なドメインとサーバを用意して、そこにDMOZディレクトリデータを次々と突っ込んでいく。仮に自分で100のディレクトリを立ち上げれば、100のリンクが得られる計算だ。

また、DMOZ 自体はウェブマスターからのサイト推薦・登録を受け付けているので、審査をパスすればDMOZ のマスターディレクトリ情報に掲載されるため、皆がDMOZデータをコピーして公開すればするほどリンクが増えていく。

こうして DMOZクローンが世界中に大量発生していったわけだが、ここにメスを入れたのが Google 。DMOZクローン、つまり(劣化)コピーを等しく評価することは不適切と判断して、コピーは基本的に評価を大幅に減衰または無視する措置を講じた。悪質なクローンはスパムリンクとしてサイトそのものにペナルティを課すなどの対策も行った。そして、DMOZクローンは一掃されていく。

# 一部のDMOZエディターは金銭を受け取って恣意的に掲載サイトを制御していたりしましたね その話はまた別の機会に。


現在におけるディレクトリ登録のSEO観点の価値

今日(2013年現在)、SEOの世界で語られるディレクトリの価値というのは、基本的に(かつての) Yahoo!ディレクトリ(カテゴリ)への登録を想定した説明となっている。つまり、たった1つのドメインからのリンクでありながら、それが世界中のサイトからのリンクを得ている超人気サイトからのリンクであるが故に、たった1本のリンクでも価値があるということ(ちなみにGoogleはディレクトリからのリンクは普通のリンクと同じ取り扱い)。

重要なことなのでもう一度繰り返すが、一般論としてのディレクトリ価値は、『たった1本のリンクでも、超人気サイトからのリンクは重要である』という点。ここには、ディレクトリの提携数の多さ(それ故に1回の登録で多数のリンクが獲得できる)や、PageRankの高さ、リンク先やそのアンカーテキストが指定できることは、ディレクトリ登録のメリットとして想定※されていないので注意して欲しい。冒頭で紹介した、Google の発言も同様に、これらを想定していない。

※ 厳密には、Yahoo! のように基本的に他社にデータ供給してないディレクトリ、または、数千万のPVを持つような数社の大手ポータルサイト中心に配信するような提携ディレクトリを想定している。数百レベルになってくると、DMOZクローンと同様、ただのコピーディレクトリなので、これを前提にしてSEOのメリットを謳うことはない

つまり、今日のディレクトリ登録サービスの一部は、SEO的な価値を前面に押し出して積極的にアピールしているが、Google はこうした性質を持つディレクトリが安全であるとは一切述べていないことを理解して欲しい。それらが一律に安全ではないとは言っていない、少なくとも Google が想定する基準とは違う。


ディレクトリサイトのみならず、掲載サイトもガイドライン違反となる可能性も

現に、そうしたディレクトリの一部は既に、Googleから有料リンクと判断され PageRankを減衰する手動対策(ペナルティ)がされていたり、あるいはインデックスすらされていない始末だ。インデックスすらされないのは、クローリングする価値すら認められていないということであり、実質的にディレクトリがスパム認定受けているに等しい。

また、全く品質管理が行われておらず、平気で一般カテゴリに出会い系や風俗関係のサイトを掲載したり、提携サイトの数をアピールしながらその提携サイトの品質があまりにも酷い、といった残念なディレクトリもあるのが事実だ。

こうした一部のディレクトリが Google から認められず、品質が著しく低いサイトと認定される背景は、そもそも提携ネットワーク全体の品質が低いうえに低品質なディレクトリデータを配信していること、コンテンツが実質的に無差別で有料リンクの場になっていること、ネットワーク化されたサイト全体のリンクの人気度が低いことなどの理由が挙げられる。全体的に、リンク供給量を増やすために提携ネットワークを拡大したものの、その提携先サイトの評価が低いために結果的に低品質なリンクネットワークが出来上がってしまう点が共通する傾向として挙げられる。

無論、昔からきちんと運営されてきたディレクトリもあるし、近年登場したディレクトリにも、運営自体はきちんと行われているものがある。そうした健全性の高いディレクトリであれば、登録することでメリットが全くないということはない(費用対効果は別として)。被リンクを獲得する手段としてディレクトリ登録を行うこと自体も、ソーシャルメディアの対応により重要性は低下しているものの、登録それ自体の価値やその意味を考慮すれば、SEO観点から掲載を試みることは否定しないし、むしろ登録を推進した方が良いサイトも少なくない。

しかし、登録するのであれば、意味があるディレクトリを選ぶよう細心の注意を払ってほしい。たとえばテレビCMは多くの視聴者にリーチする機会があるから配信するわけで、視聴者が1人もいない番組にテレビCMを出したい企業はいないだろう。それと同じで、ディレクトリという検索サイトの体裁をとりながら誰も掲載しない、誰も訪問しない、存在すら知られていないディレクトリに登録することが、果たしてどんな価値もたらすのか。1回限りといっても数万円という登録料金は決して安くはない。掲載するなら、どこに掲載するかを今一度よく検討してほしい。

ちなみにディレクトリの品質は、簡単な作業で推定できる。たとえばドメインのルートディレクトリとディレクトリトップのPageRank値の差分を比較する、site:(ディレクトリURL)で検索して、推定ページ数とインデックス登録数の差分を計算しておおよそ何割のページが登録済みか計算する、ざっとディレクトリをブラウジングして、どんなサイトが掲載されているのか、一応でも審査が行われているかどうかを見てみる。しょうもないサイトばかりが掲載されていたら、それは実質無審査のディレクトリ(=スパムディレクトリ)の疑いがある。


危ないかもしれないディレクトリサイトの見分け方

以下のすべての項目に当てはまるようなディレクトリは、危ないです。

  1. SEO効果を前面に押し出してアピールしている
  2. 提携サイトのPageRankの高さを積極的に宣伝している
  3. 提携サイトの一覧を見ても、知らないサイトが多い
  4. 審査制の割に審査日数が短い
  5. 提携サイト先がすでに存在しない、リンク切れ
  6. 提携サイトのドメイン名で検索しても、あまりGoogleに登録されていない
  7. ディレクトリ運営事業者の名前で検索してもヒットしない

注:営業戦略的にSEOの効果をアピールすることは多いので、それだけでは必ずしも善し悪しは判断できません。Yahoo!ビジネスエクスプレスもサービス案内でSEO効果をアピールしていた過去がありますので。PageRank の異様な低さや、インデックス数を確認されることをおすすめします。


#
ゴミのようなディレクトリが増えてますよね。老舗の企業が"SEO商品"の内容を吟味せずに堂々と営業しているの見ると、とっても残念です。

本文では具体的な業者名は挙げていませんが、ちょこっと Google で調べれば山のように出てきますし、御丁寧にそれらをまとめているサイトもあります。きちんとしたところもあれば、クズみたいなものもありますので、うっかり変なディレクトリに掲載しようとしないよう。

表向きの看板で「有料審査~」を掲げていれば安全だと思っている企業が多いのではないでしょうか。現実には、ディレクトリ総数よりもはるかに少ないページしかインデックスされていないサイト、PageRank値がおかしなディレクトリというのは少なくありません。つまり、Google は表向きディレクトリという体裁をとっているサイトでもスパムサイトや有料リンク販売の場になっていることを見抜いている、ということです。





記事カテゴリ:SEO(検索エンジン最適化)



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