[解説] Googleベニスアップデート、地元密着の事業者やメディアに恩恵?

全体的に検索流入に直接影響がありそうなGoogleベニスアップデートの日本語検索への適用。全国展開事業者とキーワードで争わなければならなかった地域密着型の事業者やポータル・情報系サイトには恩恵があると考えられる。


公開日時:2014年12月22日 16:46

別記事Google Venice Update 検索者の現在地に基づきランキング変更するアルゴリズム適用で報じた通り、ベニスアップデートは『地域依存性の高いキーワード検索時には、一般的な結果ではなく、検索利用者の現在地に関連する(近い)情報を表示する』ランキングアルゴリズムだ。このアルゴリズム更新が及ぼす影響について考えてみよう。

一口に「地域系キーワード」と言っても性質の違いがある

ベニスは地域依存性の高いキーワード検索に影響するということで、ローカル検索あるいはそれを標的とした最適化手法「ローカルSEO」が深く関わってくるアップデートでもある。なぜ「ローカルSEO」という、地域情報検索エンジンに特化したSEOの仕事が存在するのかというと、私たちがSEOという時に通常想定する、Google や Yahoo!検索のような一般検索エンジンとは異なる専門性が求められるためだ。

本題に入るために、将来も見据えてローカル検索周辺の話を把握しやすいように、そのローカル特有の概念を説明しておきたい。ピジョンベニスを含め、全般的なローカル検索アルゴリズムの変更意図をより的確に把握するのに役立つはずだ。

要点は次の通り。一口に「地域系キーワード」といっても、その属性は (1) 自分のところに来てもらって受けるサービス(宅配、シロアリ退治など) と (2) 自分が移動して受けるサービス(歯科医院、美容サロンなど)という2つに分類できること、さらに後者は、(1) Nearcasting (ニアキャスティング、現在地周辺を探す)と Farcasting(ファーキャスティング、訪問先予定の周辺を探す)という2つの性質を持つということだ。

次に、Nearcasting と Farcasting の概念についてもう少し詳しく解説する。

※ 対応する日本語がわからないので、英語のまま表記しています


Nearcasting は現在地周辺の検索、Farcasting は将来訪れる場所周辺の検索

Nearcastingとは、消費者の現在地から最寄のところで取引を行うことを検討している検索行動を指す。例えば、仮に品川駅付近のオフィスにいると仮定しよう。そこで「レストラン」と検索した時、あなたは品川駅周辺、できればタクシーなど使わず徒歩で行ける範囲程度にある、飲食店を探したいと思って検索をするはずだ。決して札幌市内のレストランや那覇市内のレストランを求めていないに違いない。たとえば宅配系のビジネスは Nearcasting 性の検索行動が多くなるだろう。

一方、Farcastingとは、現在いる場所ではなく、将来そこに行く予定のある場所を想定した検索行動を指す。例えば、東京に在住するビジネスマンが来月フランスに行く計画があり、パリ市内のホテルを探すために「パリ ホテル宿泊」と検索しているケースが該当する。この検索クエリの意図自体は文字通りフランスのパリという地域依存性を持つが、検索場所とは異なる。宿泊施設などは Farcasting 性の検索行動が多くなるだろう。

Webサイト運営者(店舗・施設)から見ると、Nearcasting とは基本的に地元の人を相手にする、Farcasting は異なる国・地域からの来訪者を相手にしていることになる。


ベニスアップデートは「全国のライバルと争うことを強いられた地元密着事業者や情報メディアに恩恵?

「京都 日本料理」「新宿 キャバクラ」といった、最初から地域を示す文字列がクエリとして含まれている検索は今回のベニスとは関係がない。特定地域を探したい意図が明示されたキーワード検索は以前からローカル性の高い検索結果にパーソナライズされていたからだ。

従って、ベニスアップデート限って言えば、理論上は… (1) 単に「レストラン」「自動車部品」「中華料理 宅配」といった、地域依存性が高いけれども文字列として地域が明示されていない、”地域依存性の高いジェネリックキーワード”で、かつ (2) ”Nearcasting = 今いる場所の近くの検索”が影響を受けることになる。

つまり、弁護士や司法書士、クリーニング、宅配、美容室、病院、薬局、ガソリンスタンドなど、現在地周辺検索が影響する対象だ。Farcasting に相当する検索は(その時点で自分が求めているエリアの情報が出ないのだから、例えば大阪市内の宿泊先を東京で探していて「ホテル」と検索するなど)特に影響はない(トラフィック増減ない)と考えられそうだ。

今回のアルゴリズム更新を受け、一般的には飲食店をはじめとする地域に根差す事業者及び、そういった情報を取り扱う地域情報系ポータルサイト全般に、検索流入の影響が出てくると考えられる。検索者の現在地に関連した情報が(クエリで明示されなくても)自然検索に表示されるようになるため、検索利用者も恩恵を受けるとともに、特に地方の地元密着型のポータルや事業者も恩恵を受けることだろう。

調査したところ、例えば「レストラン」と検索した時、従来であれば全国ラーメン店を網羅したポータルサイトが並んでいるところを、検索者の現在地に当てはまる地域に根差した地元のポータルサイトが上位に表示されるようになるなど、これまで「ビジネスは地元に根差しているけれども検索キーワード的に全国が競合になってしまっていた」ケースで、かつそのキーワードが地域依存性が高い場合は自然検索流入増が期待できるだろう。

ただし、現状では速報記事で指摘したように、現在地の検出精度が適切ではないため、ユーザーの位置情報に関連性が高い結果が出ない場合も多々あると予想され、今後(現状の精度のもと)どの程度の影響があるのか不透明な面もあることに留意したい。


GoogleにWebサイトの「位置情報」を伝達する方法

静岡県西部地域から「クリーニング」と検索すると、浜松市内のクリーニング配達屋さんが表示される。札幌市内から検索すれば、札幌市内で影響するクリーニング屋さんが結果に表示されることだろう。

検索利用者の現在地情報は IPアドレスから大まかに判定できるが、Webサイト(ページ)の位置情報はどのように判定しているのだろうか?つまり、仮に皆さんが神奈川県横浜市戸塚区内で地域密着のレストランを運営していたら、戸塚区内でレストランを検索しているユーザーには自分のお店を見つけてもらいたいだろう。この時、レストラン施設のサイト運営者は何をすべきか?

  1. ウェブページのタイトル要素内にエリアを明記する(辻クリーニング店 港区南青山など)
  2. ウェブページごとに住所を記載する(フッターとか)
  3. 地域情報サイトや、同じ地域内(の位置情報属性を持つ)サイトからリンクを受ける。例えば、港区南青山の事業者一覧ページや、港区公式サイトから、あるいは港区内で営業している他の事業者からのリンク等
  4. (上級)NAP管理

基本的にローカルSEOで提案されるベストプラクティスの基本的な事柄を行えばよい。小さな街のレストラン屋さんのサイト運営者でも簡単にできる内容だけ列挙した。要は、そのページがどこのエリアに向けているのかを検索エンジン(=コンピュータ)に理解させればよいので、タイトルや、サイト名や電話番号を記載しているであろうフッター欄に住所も合わせて書けばよい。

また、住所を記載するなら表記の統一をすることで、ローカル関連のアルゴリズムで働くサイテーション(引用)による関連性向上を期待することができるだろう。

cf. 検索アルゴリズム更新、ベニスアップデートとピジョンアップデートの違い

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現時点で何もデータがないので、速報解説として。基本的には、(現在地検出精度がもうちょっと改善されれば)ユーザーに関連性が高い情報を表示するようになる方向へのアルゴリズム更新なので、メリットを受ける Webサイトの方が多いはずです。単純にトラフィックが増加するか、トラフィックの質(位置的に関連性の高いトラフィックという意味)も改善されるからです。





記事カテゴリ:SEO(検索エンジン最適化), サーチニュース 2014, ローカル検索


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