Google が今回行った検索アルゴリズムの変更（Florida update） ですが、ランキング上位から一気に転落したオンライン小売業者から怒りや不満の声があちこちから出ています。
典型的な例を紹介すると、
One San Francisco retailer, who spoke on condition of anonymity, told Reuters on Tuesday the change sent his company's rank among Google search results from No. 1 to No. 250. The man, who has also signed up for paid advertisements on Google's sites, said the drop in rank has hurt his visibility on www.google.com, which helps to generate about $20,000 (around 12,000 pounds) in sales each month. [Reuter]
$20,000 相当のサーチトラフィックを一瞬にして奪われたわけですから痛いでしょうね。
この「Googleに怒りを覚える〜」関連の記事は色々出てますので、とりあえず いくつかリンクを張っておきます。「アドワーズ広告を買わせるための Google の仕業だ」なんて勘ぐっている方もいらっしゃいます。もちろん Google は否定していますが。
But Google flatly denies that its rankings are motivated by anything other than the goal of getting the most relevant pages. "There is absolutely no connection between ranking on Google search results pages and Google advertising products. Google search results are objective and cannot be monetarily influenced in any way," said a Google spokesperson. [CBS MarketWatch]
みなさんはこの Google に怒りを向けられている方々をどう思われますか？私は、「リスクヘッジしないオンライン小売業者が悪い」 - この一言ですね。
私は SEO で上位表示を狙う時のたとえとして天気予報の例をよく用いるのですが、毎日みなさんが見ている天気予報は、世界の様々な場所で観測した気温や気圧、水蒸気、海面水温などの気象に関するデータを収集して大気モデルに入力、スーパーコンピューターで計算して弾きだします（ちなみに、これを数値予報といいます）。これに予報官の勘も入ってくるのですが、どんなに精度の高いデータを集めても予報は外れるわけです。また、天気予報は今日が晴れだからといって明日も１週間後も１ヶ月後も晴れだということの保証にはなりませんね。
SEO も同じです。Webページに何らかの対策をしたからといって近い将来１位に表示される保証はどこにもないと同時に、現在１位だからといって１週間後も１ヶ月後も１位である保証はどこにもありません。
Google から得られるサーチトラフィックが売上げのかなりの部分を占める非常に重要な要因であれば、同時に「検索アルゴリズムは現在の掲載順位を保証されない」というリスクの存在を認識した上で、その回避策、対応策を常日頃から考えておかなければいけないわけです。SEM が重要だと叫ぶオンライン小売り業者は多い一方で、そのリスクヘッジについて何も考えていない人が多すぎる - これは日本でも同じ事です。
[Source]
Change to Google ranking system irks merchants [Reuter]
Google's search under the microscope [CBS MarketWatch]
Google Rankings Shuffle Upsets Online Merchants [WSJ.com]
Retailers Rise in Google Rankings as Rivals Cry Foul [New York Times]
Google changes anger web businesses [BBC News]
