SEMリサーチ

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SEO連載(3) 「SEO - 外部リンク対策 その2」 - かんたん!SEO実践講座 より

引き続き外部リンク対策についてのお話です。前回はSEOの基本ともいえる大手ディレクトリ検索エンジンへの登録についてお話しましたが、今回はより多くのリンクを獲得するための施策についてのお話です。

リンクの「質」と「テーマ」を常に頭に入れておこう

具体的なお話に入る前に、外部リンク対策についての基本原則を説明します。それは「リンクを張ってもらいたいページのテーマ」と「リンクの質」を意識することです。

1. テーマをよく考える

例えば花火を販売するECサイトを運営していたとしましょう。この時、リンクを張ってもらう先のページとして理想なのは、「花火」を題材に扱っているサイト(ページ)からのリンクです。これはGoogleやYST(Yahoo!検索)、MSNサーチなど近年のロボット型検索エンジンは、リンクを評価する際にそのページのテーマも考慮するためです。つまり、同じ一本のリンクをもらうのであればバイクを題材にした(花火と無関係な)リンクよりも、同じ花火を題材にしたページからリンクをもらうほうが、より高く評価されるということです。

これは決して、無関係なテーマのページからリンクをもらうことが悪影響になる、ということではありません。テーマが合致しているページからのリンクの方が高いスコアが与えられるということです。

2. リンクの質を考慮する

同じディレクトリ型検索エンジンに登録するなら、個人が運営しているディレクトリ型検索エンジンからよりもYahoo!やDMOZ(Open Directory Project)のようなネット上で広く知られているディレクトリ型検索エンジンからのリンクの方が高く評価されます。これはYahoo!やDMOZ自体がネットの多くのサイトからリンクを集め、検索エンジンによるリンク評価が高いためです。同じ1本のリンクを得るなら、より評価の高いサイトからリンクをもらったほうがいいと言うことです。

これは1.の注意点と同様、質の低いページからリンクをもらうことが悪影響になる、というわけではありません。「チリも積もれば山となる」ということわざがあるように質の悪いリンクでも数を稼ぐことで一定の評価は得られます。しかし数を稼ぐのも大変ですし、最近の検索エンジンはこういったリンクを(以前と比較して)あまり評価しなくなってきています。中長期的に見ればリンクの質は重視した方が良いですので、質も重視していくということは頭の中に入れておきましょう。

SEOに効果的なリンク獲得の手段はあれこれ

では実際に、外部リンク獲得の方法を見ていきましょう。最初にお断りをしておきますと、リンクを獲得する方法は多種多様で、1つ1つ見ていくと本連載では終わりません。そこでポピュラーな方法をいくつか紹介します。

ディレクトリ型検索エンジンへ登録する

第2回で大手ディレクトリ型検索エンジンに登録することを触れましたが、ネット上には中小規模の検索エンジンは無数にあります。中にはWebサイト運営者が自由に申請・登録できるところがあります。もしこうした検索エンジンで、自分のサイトのテーマに合致するカテゴリがあったら申請してみると良いでしょう。先述した「テーマの関連性」が合致したリンクが獲得できます。

リンク設置を申し込む

個人で運営されているサイトの中には、リンク掲載を受け付けているサイトがあります。こうしたサイトは自ら探そうと思って探してもなかなか見つからないものですが、もし見つけたらお問い合わせをして見ましょう。もっとも商用サイトは受け付けない場合もありますので、注意事項はよく読んでおきましょう。相互リンクを受け付けているサイトならきっとたくさん見つかるはずです。

リンク集への登録

自由に誰でも登録できるリンク集に登録するのも手です。こうしたリンク集は、たいていはリンクの質も悪いですし、掲載されているリンク先ページにテーマの一貫性がありませんから外部リンク対策という考え方におけるリンクの適合性は著しく低いのも事実ですが、一方で対Googleを考えるとアンカーテキストとリンク先ページの結びつけ効果(リンクレピュテーション)という意味で有効なのも事実です。もっとも現在の検索アルゴリズムの情勢を考えると短期的には有効でも中・長期的にはおそらく意味を成さない可能性が大ですが、そうしたページからリンクを受けていたとしても害があるわけではありませんから検討してみるのも良いでしょう。※ 自由登録型リンク集は登録すると検索エンジンスパムになるのでは?という質問を受けることがありますが、別にスパムにはなりません。検索エンジンがそのリンクに対して与える点数がどの程度かということが問題です。

相互リンク

相互リンクを受け付けているサイトがあり、そのサイトのテーマが合致し、お互い(あなたと、リンク先の相手)のサイトの品質が一定以上(例えば、 Yahoo!JAPANカテゴリの掲載基準は満たしている)保たれているのであれば相互リンクをしても良いでしょう。ただし商用サイトが競争相手と相互にリンクを張り合うことはありえず、従ってこの外部リンク獲得は非営利サイトに限られる点にも注意。

コンテンツ提携(シンジケーション)

これは定期的にコラムなどの情報発信コンテンツを持つサイトに有効です。作成したコンテンツを、他のサイトで掲載してもらう一方で、コンテンツを提供しましたよいうことで「提供:○○○○」という表記とともにリンクを獲得します。こうすることで、作成したコンテンツをより多くのユーザに閲覧してもらう機会を拡大しつつ、外部リンク対策にもなります。最近はRSSフィードの利用によって個人レベルでも容易にコンテンツのシンジケーションが実現可能になっています。例えば特定のJavaScriptコードやPHPコードを貼り付けると指定したRSSフィードのヘッドラインをサイト上に表示できるツールがありますが、こうしたツールを自ら配布することによって、配布数が拡大すればするほど外部からのリンクが増えていくという仕組みを構築することも可能です。

有益なサイトは自然とリンクが増えるもの

ところで、「究極の外部リンク対策とは、ユーザにとって真に有益なコンテンツを提供することです」。

SEOはとかく技術論に走り勝ちですが、少なくとも外部からのリンク獲得においてはコンテンツが勝敗を分けます。そもそもロボット型検索エンジンのほぼ全てがウェブページの重要度を評価する際にリンクの数や質という指標を用いるのは「良いサイトは多くの質の高いリンクを得ている」という前提に立っているからです(もともとは、多くの論文から引用されている論文は良い論文、という考えから生まれた)。今はSEOが注目されているからどうやって「人工的に」リンクを獲得していくかの方法論に耳を傾けたくなりますが、もともと役に立つサイトには勝手にリンクを張ってくれるので、そういったサイトを作りさえすれば外部リンク対策で悩む必要はありませんし、必要ないはずです。

とはいえ「そんなサイトを作るお金も時間もない」と嘆くサイト運営者がいるのもわかります。しかし別にYahoo!JAPANや価格.com、アットコスメ、ぐるなびといった大規模なサイトを作らなければいけないという話では決してありません。ほんのちょっとでいいですから、本業と関係する、あったらきっと便利な情報をサイトで提供すればよいだけのお話です。

とても簡単な例を挙げましょう。引越し業者であれば、提供サービスは引越しですね。しかし引越しを検討しているユーザは引越し前/後にしなければならないことや、移動時に物が壊れないような上手な梱包の仕方といった情報に対するニーズは高いでしょう。それが特に引越し初めてのユーザにとっては大切なことです。こうした情報を十分に提供して「引越しするときにはこのサイトを見れば便利だ」と認められるようなコンテンツを用意すればいいのです。同様に不動産サイトであればマンションアパートの選び方でいいでしょうし、人材系なら履歴書の書き方といった情報でも良いのです。

企業が提供する商品やサービスのページに対しては、その企業や商品ブランドがある程度ないと、あるいは利用者が多い、新規性があるなど複数の条件を満たさないと相手にすらしてもらえないのでリンクが集まらないかも知れません。しかし何かの目的を達成する際に必要で、あったら便利な「役立つ情報」には(コンテンツさえ良ければ)「こんな便利なサイトがあるよ」とリンクしてもらえるものです。特に最近はブログ人気により個人が気軽に書き込んで使ったサイト、ページにリンクを張ったりしますから、訪問してよかったと思ってもらえるページを作ればリンクは増えるものです。

いま挙げた例はありきたりの情報でしたが、もっとニッチな情報の方が(自然リンク獲得という意味で)効果的です。必要とするユーザは限られているものの、あったらこれ絶対便利!と思えるような情報を出しておくと、その層のユーザに口コミで広がって人気が出たりします。筆者は以前、日本語が話せない在日外国人向けの情報ページを作成したことがありますが、それに関連するサイトから知らないうちに多くのリンクをもらったことがあります。

また、ユーザー間同士でお互いに見つけたサイトを登録・共有できるソーシャルブックマークサービスの登場により、検索エンジンには見つかりにくいニッチな、しかし面白いサイトは取り上げられやすい環境が出できています。ブログなどのCGMを通じて話題づくりを行い、結果的に外部リンクが増やすという手法も考えられます。

繰り返しになりますが、ユーザに有益なコンテンツを提供する、コンテンツの質を高めることが、外部サイトからのリンク獲得には、SEOには最短の近道であることを知っておいて下さい(コンテンツの充実は、そのサイトの価値も高めて売上げアップ/会社の認知度向上に繋げていけることは言うまでもありません)。

“怪しい”リンク対策もある

先ほど「人工的に」リンクを獲得すると書きましたが、残念ながら「リンクを評価する」というロボット型検索エンジンを騙すためのリンク対策というのも存在します。それを特定の個人が秘密でやっているならまだしも、それをサービスとして販売している会社もあります。「これ便利そう!」と触手を伸ばしたくなる皆さんの気持ちもわかりますが、こうしさサービスにはリスクもあります。利用するか否かは最終的に皆さんの判断になりますが、問題なのはこれらサービスに内在する「リスク」をきちんと認識せずに利用していることです。そこで、いくつか「疑惑の」リンク対策について少し触れておきます。

リンク集1万件登録します

「○○○○ 円で検索エンジンやリンク集1万件にあっという間に登録します」といった検索エンジン大量登録サービス、またはそれらを自動的に行うソフトを販売している会社があります。これらは活用しても別に害はありませんが、その金額/登録数に見合ったほどの成果もありません。最終的に、投資した金額(=サービス利用料金)に対して見合った成果が得られるかの投資対効果の判断になりますが、私が知る限りそれに見合った成果があるサービスはありません。全体的にいえることは、そこに費用をかけるならサイトの問題を改善するために使ったほうが効率はいいということです。

掲示板にリンク書き込みます

掲示板やチャットにリンクを書き込むことで外部リンクを増やすというサービスです。しかし掲示板はログが流れてページが消えてしまえばリンクとして数えられなくなります。チャットも然りです。従って実は効果が得られません(ごく短期間で見ればあるかも知れませんが)。

リンクテキスト販売します

Google の「リンクテキスト(アンカーテキスト)とそのリンク先ページを関連付ける」アルゴリズムに対するウエイトが高いことから発生したサービスです。つまり「私のサイトの全部から、アンカーテキスト○○○○でリンクを月額△△△円で張ってあげますよ」というリンク売りです。これはそのサービス形態によって安全(?)危険なもの多種多様ですので、一概にあれがいい、これが悪いということはできません。ただ、「”売買”によって得られたリンクである以上検索エンジンからペナルティを与えられるリスクは常に存在するので、そのリスクは認識した上で利用すべき」であることは覚えておいて下さい。つまり、こうしたサービスを利用したことでいつかペナルティを受けて検索エンジンのインデックスから削除されたとしても、それに対して文句はいわないことです。

以上、外部リンク対策のお話でした。次回からページ最適化(ページ内要因)のお話にうつります。

(この原稿は、CPIにて2005年4月より開始した連載記事「かんたん!SEO実践講座」をリライト・加筆して掲載したものです)

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