今回からSEOのサイト内部最適化のお話に移ります。まず最初に検索エンジン対策を行ううえで「不利になる」要素について解説します。
検索エンジンには理解できないものがある
ロボット型検索エンジンは次々とWebページを巡回してコンテンツを取得していきます。この取得されたコンテンツ - 文章や画像はデータベースに収められて解析・分析されていくわけですが、やはりロボットというソフトウェアには限界があり、人間には理解できてもロボットには理解できないものもあります。ロボットに理解されないということは、そのコンテンツは認識されないということ、つまりキーワードで検索にヒットしないということになります。
皆さんが普段何気なくデザインやユーザビリティを考慮して使っているウェブデザインの要素の中には、検索エンジンには理解不能なものがある、ということを覚えておきましょう。では、具体的に何が問題になるのでしょうか。
フレームを利用したサイト
まず第1にフレームを利用したサイトです。フレームとは、ブラウザのウインドウを複数に区切り、それぞれに別々のページを表示させているものを指します(IFrameのこではありません、注意して下さい)。よくあるのは、フレームで画面を縦に2つに分けて、右側にメニューを表示させて左側にコンテンツを表示させる形式です。左側のメニューをクリックすると、右側に該当コンテンツが表示されていくわけですが、常時画面の左側にメニューが表示されているのでユーザビリティ的によいという理由でまだまだ活用しているサイトが少なくないようです。
例 フジテレビ
http://www.fujitv.co.jp/index.html
フジテレビは画面を上下にフレームで分割表示しています。
しかし、こうしたフレームを用いたサイトはSEO的に問題です。先の画面を縦に分割した例でいうと、このサイトは実際には3枚の Webページで構成されていくことになります。左側のメニューを表示するページ、右側のコンテンツを表示するページ、そして「フレームでウインドウを分割して表示する」ことを記述した、フレームセットのページの3枚です。しかし検索エンジンは残念ながら、親切に「このサイトは3枚で構成されているから」と 3枚1セットでデータベースに登録してくれるわけではありません。1ページずつ登録してしまうのです。
すると、あるキーワードで検索を行った際にフレームを構成する複数のファイルの中の1ファイルだけが検索結果に表れてしまう場合があります。例えば右側のコンテンツの1ファイルだけが検索にヒットするのです。しかしユーザがそこにアクセスしても、他のページに移動することができません。なぜなら検索経由で直接そのページを訪れたユーザには本来右側に表示されているべきメニューが画面に表示されないからです。同様に、ユーザが不幸にも検索エンジン経由で直接左側のメニューのページにアクセスしてしまうとコンテンツが見られないという事態になります。
フジテレビの例なら、直接 http://www.fujitv.co.jp/main.html にアクセスすることで画面上部にあるメニューが表示されないような事態になるということです。これでは困りますね。
このように検索エンジン対策を考えると、フレームを用いることは全く不向きですので使わないほうがいいです。既にフレームを使ったサイトを持っているのであれば次回のサイトリニューアルの際には是非ともフレームは廃止したいところです。
ちなみにフレームが好まれない理由はユーザビリティ上の理由もあります。ブラウザのお気に入りやソーシャルブックマークに画面に表示されているコンテンツのページが登録されないため、再来訪した際に目当てのコンテンツにアクセスできずユーザーをがっかりさせてしまうという問題が起きます。RSSフィードで最新情報を配信したときにも同様に困った問題が起きるでしょう。
検索エンジンと画像の問題
Webページに記載されている情報で検索エンジンが読み取れるもの、認識可能な言葉はHTMLソースコード上にテキストで直接記述されているものです。画像は「そこに画像がある」ことは検索エンジンは理解できますが、その画像が何を表現しているのか、どんな画像なのかを理解することができません。どんな画像が描かれているかという画像認識技術は持ち合わせていないのです。画像上に書いてあるテキストも、それは”画像の”テキストですから読むことはできません。
Webサイトの中には視覚表現を非常に重視するあまりに、サイトのほとんどが画像で構成されているものがあります。しかし検索エンジンはそうしたサイトから何のテキスト情報も得られませんから、結局「このページって何のキーワードと関連性があるページなの?」ということがわからず、何のキーワードで検索しても検索エンジンでヒットしないという事態に陥ってしまいます。つまり画像中心のサイトはSEO的にはあまりよくないのです。
しかし当然ながら、私たちはウェブサイトをロボットに見せたくて作成しているのではなく、ユーザ(人間)のために作成しているわけです。ユーザに見せるのであればきれいな写真や画像を使って言葉では伝えられない情報を伝えたいことも多々あるでしょう。以上を踏まえて、検索エンジンが内容を読み取れない画像を使うことは問題ないのですが、その使い方についてよく考える必要はあることを認識しておいて下さい。
例えば、あなたが静岡茶を販売するサイトを運営していて、検索キーワード「静岡茶」でGoogleやYahoo!の上位に表示させたいのであれば、「静岡茶」という言葉自体は必ずテキストで記述するか、あるいは画像を使うにしても別の場所で「静岡茶」というテキストは絶対に入れなければいけないことがわかってくるでしょう。つまり静岡の茶畑やお茶の写真を使うと同時に必ずテキストでも記述することが求められるのです。
なお、画像の内容を検索エンジンに伝える方法として alt属性に画像の説明を入れるという方法があります。これはSEO対策という観点からだけでなく、アクセシビリティという観点からも是非入れてください。SEOの視点から注意点を挙げると、画像について適切な表現を入れつつ、検索にヒットさせたいキーワードも上手に埋め込むことです。決して、検索エンジンに読み込ませることを目的に画像と無関係なテキストを詰め込むような真似はしないでくださいね。
音声、動画などのマルチメディアファイル
検索エンジンにテキスト以外の情報を伝えることは困難です。動画や音声ファイルの中身は検索エンジンが理解することはできません。最近は検索技術の向上に伴い、こうしたマルチメディアファイルの情報を理解してキーワードを用いて検索できるようにしようという試みはされていますが、特定のキーワードで特定のマルチメディアファイルを検索上位に表示させるのは現状不可能です。
macromedia Flashのファイル(.swf)についてはテキスト文字は認識が可能であり検索エンジンにもヒットします。例えば「1 2 3 4 filetype:swf」とGoogleで検索してみると多くのFlashファイルが検索結果に現れることからも確認できます。しかし「検索にヒットする」ことと「最適化」することは別です。Flashファイルを意図した検索キーワードで検索上位に表示させることは残念ながら困難です。
以上がSEO対策上は不利になる要素でした。次回からいよいよ具体的な対策、まずはタイトルタグとメタタグの最適化について説明をします。
(この原稿は、CPIにて2005年4月より開始した連載記事「かんたん!SEO実践講座」をリライト・加筆して掲載したものです)