ジャパンマーケットインテリジェンス株式会社と株式会社アイレップは2007年6月11日、消費者の検索エンジン利用実態についてWeb Eye手法によるアイ・トラッキング調査の結果を発表した。
Web Eyeとは赤外線を対象者の目の網膜に照射し、その反射を利用して画面上の目線の動きを測定することができるアイ・トラッキング機器。JMIとアイレップSEM総合研究所はアイ・トラッキングを用いて検索ユーザーの視点データを収集し、検索エンジンをどのように利用しているのかを明らかにすると共に、「自然検索と検索連動型広告)の閲覧状況」や「タイトルや説明文の視認」「クリックする場所」などのデータを取得して検索エンジンマーケティング(SEM)キャンペーンの最適化に活用することを目的に調査を実施した。
調査方法は2006年9月29日から同年10月2日に東京・吉祥寺で無作為に選んだ被験者(76名(男性38名、女性38名)を対象とした。調査対象検索エンジンはGoogle ( www.google.co.jp ) と Yahoo!検索 ( search.yahoo.co.jp ) の2社。被験者にGoogleとYahoo!2つの検索エンジンのいずれか1つを使用してもらい、指定したキーワードで検索してもらった。
ヤフー検索の視線移動は「I型」と「逆L型」
米国で同様のアイ・トラッキング調査を実施したEnquiroはGoogle検索結果の閲覧が「F型である」との指摘をしていたが日本のユーザーはどのようにYahoo!、Googleの検索結果を閲覧しているのだろうか。まずYahoo!について「検索連動型広告(オーバーチュア・スポンサードサーチ)」が表示されている場合と非表示の場合にわけて分析した。その結果、前者は「I型」、後者は「逆L型」に視線が移動していることが判明したという。広告が掲載されている場合にI型、つまり上から下に直線的に視線が移動するのは、ユーザが画面上部の広告及び自然検索付近より、上から下にタイトルの先頭部分を中心に視線が移動するためという。なお、広告は画面下よりもファーストビュー(スクロールなしで閲覧できる領域)にある上部の広告がより視線が集まっている。
一方、広告非表示の場合の「逆L型」について、アイレップ/JMIは「Yahoo!検索上部に画面左から中央右にかけて表示される「関連検索ワード」や「Yahoo!カテゴリ」が最初に注視された後に、自然検索の1位以下が注視されるため」と分析している。Yahoo!検索は「関連検索ワード」のクリック率が高く、自動クエリによってこの枠に表示されるキーワードを操作する企業もあるほどだが、今回の調査データは関連検索ワードの有効性を裏付けているといえる。
グーグル検索の視線移動は「L型」と「E型」
GoogleでもYahoo!同様に視線移動の分析を行った。Yahoo!は「I型」と「逆L型」、米Googleは「F型」だったが日本人ユーザーの視線移動は、画面上部にアドワーズ広告が表示された場合が「L型」、画面上部に同広告が表示されていない場合は「E型」だった。
これはGoogleの場合、広告の表示・非表示にかかわらず「画面左上を起点に、上から下に視線が移動する」「タイトルの先頭から最後まで注視される」傾向があるため。また、広告タイトルは全角12文字と自然検索のタイトル文字数より少ない。このため、広告枠上での視線移動が左から右にあまり広がらないが、上から下に視線が移動して自然検索結果上のタイトルに注意が広がるにつれて横への視線移動幅が増えるために「L型」になるという。一方、アドワーズ広告非表示の場合はタイトルを注視しつつ説明文を流し読みするため。JMI/アイレップは「Yahoo!とGoogleのデータは、Googleユーザーはタイトル文字の内容を見てクリックする場所を決めている傾向が強い」とも指摘している。
検索結果の見やすさ、わかりやすさはGoogleの満足度が高い
今回の調査では被験者を対象に検索エンジンを利用してもらった後の意識調査を「見やすさ」「わかりやすさ」の観点から実施した。その結果、調査中に行った全検索キーワードにおける検索結果の見やすさ、わかりやすさ共にGoogleの満足度が高いという結果になった。これはGoogleの検索結果がYahoo!と比較してシンプルに構成されていることが影響していると考えられる。一方、男女別では男性がYahoo!検索に対して見にくさ、使いにくさを感じている傾向があった。
なお、今回のアイ・トラッキング調査の全資料は申し込み手続きをすればダウンロード可能。
https://www.irep.co.jp/cgi_20070611/
ジャパンマーケットインテリジェンス株式会社
http://jmintelligence.co.jp/jp/j_index.html
株式会社アイレップ
cf.
「Yahoo!はI型、GoogleはL型」 - アイレップとJMI、アイ・トラッキングを用いた検索行動調査を実施 :: セミログ
ヤフーとグーグル、検索結果画面の視線の違いは~アイレップ調査 [Internet Watch]
Google利用者はタイトル文字の内容を重視--視点データから検索利用実態を調査 [CNET Japan]
検索ユーザーの目線はどう動く Yahoo!とGoogleで違い [ITmedia]
アイレップなどが「Yahoo!、Googleの画面上の目線の動き」を発表 [MarkeZine]