Webの特徴の1つは、無数に点在するWebページがハイパーリンクによって結ばれていることです。「Webサーフィン」という言葉があるように、ユーザーはリンクをクリックしていくことで次々と様々な情報にアクセスすることができます。これがインターネットが爆発的に普及した要因の1つでもあります。
このリンクによるWebページの結びつきは、ユーザーの利便性のみならず検索エンジンサービスそれ自体の向上にも貢献しています。なぜなら検索エンジンはWebページの評価の際にリンク情報を分析・評価しているからです。現在の主要な検索エンジンは皆Webページのリンク要素を評価対象に加えています。例えば Google の PageRank は有名ですが Inktomi、Ask Jeeves (Teoma)、AlltheWeb といった検索エンジンも検索結果決定の際の重要な要素として考慮しています。
では、検索エンジンはこのリンク情報のどのような側面に着目して、どのように活用して検索結果のランキングの際に用いているのでしょうか。
通常、私たちが自分のWebサイトから外部ドメインのサイト(自分が所有しないサイト)にリンクを張る時、どういった目的でリンクを張るかを考えてみましょう。まず、Webサイト制作者はあるページに対してリンクを張るとき、訪問者にそのリンク先を閲覧して欲しいからリンクを張っています。このリンクには様々な意図が込められており、例えば友人・知人のサイトに対してリンクを張るのであれば「紹介」という意味を込めています。ある話題については別のサイトに詳しく書いてあるからそちらを見てもらいたいという意味であれば「参照」です。無料のアクセスログ解析やCGIスクリプトを利用させて頂いた代わりにリンクを張るのであれば「お礼」です。
いずれにせよ、あるWebページから別のWebページに対してリンクが張られた時、相互に何らかの関連性があると共に、リンクを発した側はリンク先のページに対して情報の価値を認めたことを示唆しています。例えば、育児と情緒応答性に関して論じたWebページから精神分析学のページにリンクが張られることはあっても、沖縄の健康食品を販売するWebページに対してリンクが張られることは通常ありえません。同様に静岡おでんのWebページからおでん関連のページへのリンクが張られることはあっても、北海道の中古自動車のWebページに対してリンクが張られることはあり得ません。
このようなリンク構造の特性に目をつけて、検索エンジン会社はWebページの評価の際の1つの要素としてリンク情報を取り入れるようになったのです。
(2005年1月)