米Yahoo!とGoogleは2008年6月12日、検索広告事業における提携を発表した。
米国とカナダのYahoo!検索結果やウェブサイトの一部にGoogle AdWordsも表示されるようになる(正しくは、Yahoo!が「AdSense for Search」と「AdSense for Content」を導入する)。両社は2008年4月9日に、Yahoo!検索の3%程度のクエリにAdSense for Searchの広告を表示する試験を実施し、そのパフォーマンスは評価されていた。
どのウェブページ、キーワードにGoogleの広告が表示されるかはYahoo!が決定する権利を有する。Googleは今回のYahoo!との検索広告の契約について、「消費者には関連性の高い広告を表示し、パブリッシャーには(YPNを通じて)より多くの売上をもたらし、そして広告主はリーチを広げることが可能になり、3者にとって多くメリットをもたらす」と説明している。
今回の提携は非排他的契約となっており、Googleだけでなく他の広告配信会社も参加することが可能。理論上はMicrosoftも参加可能。これは独占禁止法違反に目を光らせる米司法省を考慮してのものと考えられる。また、この事業合意を実施するまでに3ヶ月半の猶予期間が設けられている。GoogleがYahoo!にも広告を掲載することにより、マーケットシェアの約80%を占めることになるため独禁法に注目が集まると予想されるが、同社はキャノンがHPにレーザープリンタ技術を供与したりトヨタ自動車がGMにハイブリッドエンジン技術を供与しているにも関わらず両社が競争関係にあることを事例としてあげ、こうした取引は産業において一般的なものであり、今後もGoogleとYahoo!が競合関係にあることに変わりはないとした。
Yahoo!は最初の1年間で新たに2億5,000万から4万5,000ドルの営業キャッシュフロー(年間売上8億ドル増)が生まれるとの見方を示している。
Yahoo!はあわせてMicrosoftとの合併・提携に向けた話し合いが終了したことも明らかにした。Reuters通信によると、Microsoftは10億ドルの現金によるYahoo!検索事業買収を提案していた模様だが、Yahoo!は拒否した。
Our agreement to provide ad technology to Yahoo! [Google Blog]
http://googleblog.blogspot.com/2008/06/our-agreement-to-provide-ad-technology.html
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Yahoo!はディスプレイ広告など他の広告事業にリソースを投資していく、と。また、仮に米司法省が動いたとしても、ディスプレイ広告市場があるから独占禁止法違反にはひっかからない、という言い分が通せるのではないかと。