検索広告の入札管理ツールの開発・販売を行う米SearchIgniteは2008年7月16日、Yahoo!とGoogleの検索広告分野での提携により、Yahoo!における検索広告のキーワード平均クリック単価(CPC)が20%ほど上昇するとの調査を発表した。
Yahoo!とGoogleは2008年6月に、検索広告事業での提携を発表した。この提携でYahoo!は「AdSense for Search」を導入し、Yahoo! Searchの検索結果画面にGoogle AdWordsの広告を掲載することになっている。また、どのキーワード検索時に、どの順位でGoogle AdWordsを表示するかはYahoo!が選択することになっている。したがってYahoo!がもし自社利益の最大化を求める場合、GoogleとYahoo!のCPCを比較して、よりCPCが高い広告・キーワードを選択表示したほうが利益につながる。Yahoo!は今回の提携の目的について、検索回数が少ないテールワード(スモールワード)における広告パフォーマンスの改善を図りたいとの意向を示していたが、SearchIgniteのデータから判断する限り、利益最大化の戦略を採った場合、その意向どおりYahoo!は検索広告の収益を拡大することができる。
今回、SearchIgniteは2008年の同社が扱う広告主のGoogleとYahoo!における各々のキーワードの平均価格データを分析した。その結果、もしYahoo!が利益最大化戦略を追求した場合、キーワードの平均価格は22%上昇することになるという。ただし、実際に広告主にとってどれだけの広告予算増加になるかは各々の検索マーケティングの戦略により大きく変わるという。というのはSearchIgniteの分析によると、テールワードは総じてGoogleのCPCが高く、Yahoo!との価格差は3位で20%、5位で35%まで拡大するという(Yahoo!のCPCは、Googleと比較して、順位別にそれぞれ88%%、89%、83%、77%、72%、6位から10位は平均65%)。
ヘッドワード(ビッグワード)の場合、1位と2位はYahoo!のキーワード価格が高いが、3位以下はGoogleの方が高いという(Yahoo!のCPCは、Googleと比較して、順位別にそれぞれ116%、116%、105%、77%、86%、6位から10位は平均94%)。ブランドキーワードの場合、1位はYahoo!の価格が高いが、2~4位は同程度、5位以下はGoogleの方が高くなっている(Yahoo!のCPCは、Googleと比較して、順位別にそれぞれ138%、94%、108%、93%、41%、6位から10位は平均29%)。
SearchIgniteのRoger Barnette社長は、「ほとんどのマーケティング担当者は、Yahoo!ネットワークの検索広告の全体的なコスト増加を受けてサーチ戦略を調整する必要がある」と述べている。
表はGoogle Will Increase Yahoo Search Rates 22%, Says SearchIgniteより引用
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SearchIgniteの定義する「利益最大化の追求戦略」がどういう広告掲載を想定しているかわからないけど、上記のレポートに基づいて考えれば、テールワードは全部Google AdWordsを掲載した方がYahoo!にとって収益増加につながることになる。
とはいえ、テールワードで一切Yahoo!の広告掲載しませんなんてありえないし、それやると広告主が誰もYahoo!でテールワードに入札設定しなくなる。価格とは別に品質の問題もあるし。また、Yahoo!はどのようにGoogleの広告を選択するのか、そのロジックを明らかにしないだろうということも考慮して色々考えると…。単にGoogleのネットワークの1つに(部分的ながら)Yahoo!が加わり、IMPやCPC、CVR等に変化でるだろうか、それ見て運用方法考える、というだけの話ですよね。