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検索結果をカスタマイズする「Google サーチウィキ」日本で開始

Googleは2009年5月5日頃から、中国と日本で検索結果をカスタマイズできる「SearchWiki」(サーチウィキ)の提供を開始した模様だ。サーチウィキは2008年11月に米国でリリースされている。サーチウィキの利用にはGoogleアカウント(無料)が必要。

サーチウィキとは、ユーザがGoogleの検索結果を自由にカスタマイズできる機能。たとえばウェブページの表示順位(ランキング)を変更したり、任意のページを追加・削除したり、また検索結果ページにコメントを残すことができる。加えられた全ての変更はGoogleアカウントにログインしていればいつでも参照することができる。

サーチウィキがリリースされたことで、Google検索結果には各種アイコンやリンクが確認できる。矢印アイコン(↑)をクリックすると該当ページを自然検索最上部に移動し、×印をクリックするとそのページを検索結果から除外(非表示)にできる。吹き出しアイコンをクリックするとテキストボックスが開き、自由にコメントを付加できる。さらに、検索結果最下部の「検索結果を追加」を利用して、自分で新しいウェブページを検索結果に追加することも可能だ。

変更したすべてのカスタマイズ内容は、検索結果ページ下の「自分のサーチウィキ メモを見る」から参照できる。また、他のユーザが加えたコメントを「この検索のサーチウィキ メモをすべて表示」リンクから参照することも可能。

なお、サーチウィキで検索結果に加えた全ての変更は、その変更をした本人の検索のみに反映され、他のユーザの検索には影響しない。ただし、コメントは一般公開されるため他のユーザも参照可能だ。

サーチウィキ: 検索結果表示をカスタマイズできるようになりました [Googleブログ]

http://googlejapan.blogspot.com/2009/05/blog-post.html

機能: サーチウィキ サーチウィキ(SearchWiki)[Googleヘルプ]

http://www.google.com/support/websearch/bin/answer.py?hl=jp&answer=115764

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今日の検索エンジンの多数は、ウェブ上で張り巡らされているハイパーリンクを人気投票と捉え、そのリンク構造を分析することでウェブページのランク付けを行っている。しかし、これらのリンクはすべてサイト運営者によって発信されたものであるから、総じて検索エンジンはサイト運営者の意見に偏って人気度を決定しており、検索利用者の意見が検索結果に反映されていないともいえる。また、レリバンシー(関連性)とはきわめて主観的なものであるため、完璧なパーソナライズド検索が実現しない限り、全員が満足できる検索結果を提示することも困難。

そこで、検索利用者側からの意見を反映した、よりベターな検索結果を作ろうというアプローチも検討できるわけで、その1つが今回のGoogleサーチウィキであったり、Search WikiaやMahalo、Eureksterなどの編集型検索やソーシャル検索である。

Search WikiaやMahaloなどが登場した当初は、編集型検索と(Googleのような)アルゴリズム検索とどちらが優れているか?などの議論をたびたび耳にすることもあった。しかし、どちらが優れている?という問題でもなく、両者は排他的関係ではないので、サーチウィキのようにインデックスが膨大である程度の精度・品質を持つ大規模なウェブ検索に編集型を組み込む方がきっとよくなるはず。だからGoogleも(競争戦略の事情が多分に影響しているだろうが)サーチウィキを投入してきた。何の検索結果が一番ベストなのか、一番理解しているのは検索ユーザ当本人であり、その意見を反映すればよりよい検索が実現できるはずだからである。だからといって編集(人力)では検索対象の範囲に限界があるため、アルゴリズムである程度補って、最後の微調整を人間(ユーザ)に任せるとうまくいくわけだ。

とはいえ、昨年末に公開されてからサーチウィキをポジティブにとらえている専門家の意見はほとんど聞かれない。私自身もこの機能は否定的で、なぜなら単に画面がごちゃごちゃして日常的に利用するには邪魔なこと(サーチウィキを無効にする機能が欲しい)と、検索エンジンは情報探索のために利用しているのであってそこで何か編集したいことを望んでいるわけではないから。

「サーチウィキでSEOはどんな影響があるの?」という質問が多いので、記事を作成しました→サーチウィキによるSEOへの影響は?

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