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「意味のある3位目指す」 検索サービス NAVER(ネイバー)、一般公開

NAVER 7月7日は七夕バージョン

ネイバージャパン株式会社は2009年7月1日、インターネット検索サービス「NAVER」(ネイバー)のオープンβサービス(一般公開版)を開始した。NAVERは韓国検索シェア1位の検索サービス。

日本検索市場に再参入

NAVERはかつて2001年4月、日本で検索サービスを開始。画像や動画など複数の検索結果を統合的に表示する方式は今でこそ当たり前だが、NAVERはその先駆けだった。しかし、「韓国検索市場に経営資源を集中させるため」(ネイバージャパン代表取締役・森川亮氏)、2005年8月に検索市場から一時撤退した。その後、2006年6月に1noonを買収、2007年11月にネイバージャパン設立と、再上陸のための準備を1年半以上にわたり進めてきた。そして先月のクローズドβテストを経て、今回の一般公開となった。再上陸にあたっては、ネイバージャパンが検索サービスの企画開発やプロモーションを担当、中国・大連や日本・福岡に拠点を置くNHST(Next Human Search Technology Corporation)が検索DB分析や検索品質を担当、韓国NHNが各種リソースの支援を行う体制。

NAVER 検索結果 横浜ベイスターズ

「探しあう検索 ネイバー」

NAVERは「探しあう検索」をコンセプトとした、従来の検索エンジンとは一線を画す検索サービス。検索クエリに対してランキングアルゴリズムを使って機械的に候補リンクを検索結果に表示する従来のシステム型アプローチに加えて、ユーザ参加型による人の経験や知識・嗜好性を生かしたアプローチ(ナレッジ・プラットフォーム)を融合することで、総合的かつ多彩な検索体験をユーザに提供していく(関連:NAVER 検索 試用レビュー)。

検索結果はかつてのNAVERと同様、ウェブページだけでなくニュース(最新のウェブ)、画像、動画、ショッピングなど複数のコンテンツを複合的に表示する統合検索を採用。ウェブ検索結果の中にも適宜、リンク先ページ上の関連画像のサムネイルも表示され、賑やかな検索結果UIとなっている。そして、NAVERが他の検索エンジンと明確に差別化される機能が「NAVER まとめ」と「スマートファインダー」機能だ。

NAVERのユニークな機能「まとめ」「スマートファインダー」

「NAVER まとめ」機能は、"お題"にそったリンクや画像、ワード、発言などをユーザ同士で集め、「まとめページ」を作成する機能。たとえば「花火」と検索すると、「多摩川花火大会が見れる飲食店リスト」や「熱海会場花火大会が見れる穴場スポット」など、ユーザの手によって作成・編集されたまとめページが検索結果の最上部に表示される。

従来の検索サービスは、すでにオンライン上のどこかで記述されている事実や形式知などの情報を探し出すのには便利であるが、「彼女の誕生日に何をプレゼントしよう?」や「表参道ヒルズのおすすめランチ」など、もともと正しい「回答」が存在しなければ1つの回答を求めているのでもなく、むしろアイデアや提案、経験を求めるような検索タスクを適切に処理できるわけではない。NAVERはコミュニティプラットフォームを通じて「人の編集能力」による暗黙知や気づき、提案、おすすめ情報を発掘させる仕組みを作り、新しい検索体験を実現しようとしている。

NAVERまとめ エヴァンゲリオンの音楽

もう1つの特徴的な機能・「スマートファインダー」は、キーワード入力に頼らずとも、数回のクリックで探している情報に到達できる機能。人物、ゲーム、映画、タレント、自動車、テレビ番組などのジャンルが用意されている。

たとえば人物ファインダーを例にとると、「職種」や「出身」「性別」「生まれ」「血液型」などの条件を選択していくと、合致する人物が画面に現れる仕組み。クリックすると、その人物の詳細なプロフィールデータを参照できる。キーワードから直接検索することも可能で、たとえば「イチロー」と検索すると、シアトル・マリナーズのイチロー選手に関する活動履歴やウェブページなどの情報をまとめたページが表示される。ここで、職種の「野球選手」や現所属の「シアトル・マリナーズ」「1973年生まれの人物」などのリンクをクリックすることで、他の人物も検索できる。

日本検索市場における意味のある第3位へ

ネイバージャパン代表取締役の森川亮氏は、Yahoo!によるディレクトリ型検索とGoogleによるロボット型検索により大きなパラダイム転換が起きたものの、それ移行10年あまり、ユーザの検索行動に大きな変化はないと指摘。しかし、現在の検索サービスには「SNSやブログなどCGMの爆発的増加によるインデックスカバレッジの限界」「情報過多により正しい選択肢を選ぶことの困難」「言葉の意味理解の技術的限界により、検索インテントに対して答えられない」など解決すべき課題は数多く残されているという。

ネイバーはロボット型検索の良さと人間が持つ編集能力、ユーザ同士がつながるコミュニティがもたらす価値を融合することで、検索を"次"のステージに進めるという。

NAVER

http://www.naver.jp/

NHST

http://www.nhstcorp.com/

NAVERまとめとは

http://inside.naver.jp/matome/index.html

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BingもNAVERも、現在の検索サービスが抱えている問題・課題として同様のことを指摘しているにもかかわらず、真逆のコンセプトを持つ検索サービスが同時期に生まれるというのもおもしろいものですね。Bingは1つの答えを見つけるための検索サービスなら、NAVERなら多様な答えに触れる・出会えるための検索サービス。

さて、ユーザがまとめページを作成しようという動機付け、インセンティブをどう作りだし、維持させていくのでしょうか。また、まとめ検索をみると、よくわからんお題が多数作成されているクエリもあって、品質的に?なものも。ユーザ生成コンテンツの品質にも目を向けないといけないかも。投票できるようになっているけど、お題に対しての投票はできないんですよね。

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