米Googleは2010年1月12日、公式ブログで、中国版Google.cnの閉鎖を検討していることを明らかにした。人権活動家に対するサイバー攻撃により言論の自由が脅かされていることを理由として挙げている。
シニアバイスプレジデントのDavid Drummond氏は、2009年12月に同社のサーバに対し、中国を起点とするサイバー攻撃を受けたことを公表した。当初、Googleはセキュリティ問題ととらえていたが、調査の結果、通常とは異なることが明らかになったという。
理由として、第1にGoogleだけでなく、中国で事業を展開する少なくとも20の大企業のサーバを対象とした攻撃であったこと。第2に、攻撃者の主要な目的は知的所有権ではなく、中国の人権活動家のGmailアカウントにあったこと。第3に、中国人権擁護者の米国や中国、欧州のGmailアカウントが、第三者によって定期的にアクセスされていたことを挙げた。
Googleは、中国での言論の自由が脅かされていることを伝えるとともに、改めて中国国内の事業の実行可能性について再検討を開始した。
同社は2006年に中国版Google.cnを立ち上げた。既存の(中国国外の)Googleサービスは接続に制限があり画面表示が遅いなど、快適に利用するには不十分な環境にあったためだ。しかし中国国内にサーバを設置するためには、中国政府による情報検閲を受け入れ、検索結果の情報をコントロールする必要があった。
世界中の情報を整理し、普遍的にアクセス可能にすることを使命とするGoogleにとって、中国政府による検閲は大きな問題だった。しかし、最終的には「中国の人々がより多くの情報にアクセスしてオープンなインターネットが提供されることの価値は、検閲受け入れの苦痛を上回る」として、政府による検閲を認めた。
今回、Googleは中国版検索の検閲継続を認めない方針を決定。今後数週間、中国政府と検閲のない検索エンジン運営の可能性について協議の場を持つという。この話し合いの結果、Google.cnの強制的閉鎖や中国オフィス閉鎖の可能性を示唆している。
A new approach to China
http://googleblog.blogspot.com/2010/01/new-approach-to-china.html