ソーシャル系サービスにおいて数多くの失敗を繰り返しているGoogleですが、検索業界の流れとしてソーシャル - ユーザの交流関係 - を取り込んで検索を便利で優れたものに進化させていく方向に向かおうとしているのは確かです。Googleもソーシャル検索で試行錯誤をしながら、SearchWiki(終了)、Star(ほぼ終了)、Social Search(ベータ版)、+1(ベータ版)といったサービスをリリースしてきました。
さて、稼働中の、ソーシャルグラフ内のユーザが作成・共有したコンテンツが検索できるGoogle Social Searchと、自分が良いと思ったコンテンツを他のユーザに推薦できるGoogle +1(プラスワン)。両者ともにユーザのソーシャルグラフデータを活用するという点で同じなのですが、実はそのデータソースは異なります。
それを表したのが次の図です。
ポイントは、Google Social Search は Google +1 よりも広範囲のデータソースを利用している点です。Google +1 は、Google TalkやChat、Buzz、Reader などGoogleが提供する各種サービス内で交友関係があると判断できるユーザを結びつけているのに対して、Google Social Search はTwitterやFacebook、Flickr など外部のサイトから取得できるソーシャルグラフデータも取り込んでいることがわかります。もしGoogleアカウントをお持ちの場合は、Google social circle page の編集画面でGoogleが皆さんの交流関係をどのように把握しているかを確認すると良いでしょう。面識がないような人や、なんでこの人とつながるの?と疑問に思うような情報も含まれているに違いありません。
Googleが提供する同じソーシャルを指向した検索サービスながら、なぜこうした区別を行ったのでしょうか。これはGoogleがそれぞれのサービス設計時に定めたコンセプトや理念が異なることに理由があると考えられます。つまり、Social Searchはクチコミなどユーザ体験を検索するなどの場面における、交流関係的な関連性の高い情報の発見(discover)を念頭においています。対するGoogle +1 は、オンライン上の数多ある玉石混淆の情報の海のなかから、友人(または不特定多数の集合)により「承認」(trust)された情報を選び出せるようにすることを目指しているということです。