SEMリサーチ

企業で働くウェブマスター向けに、インターネット検索やSEOの専門的な話題を扱います

レスポンシブウェブデザインと別サイト(URL)、どちらが検索順位が上がりやすい?

先週開催した「SEO for スマートフォンセミナー」より。過去に記事にしたことも、講演でお話したことも、また、こういう質問を前提とした話をしたこともなかったのでメモとして記事にしておきます。

Q) レスポンシブウェブデザインと、デバイス別に別サイトを構築する(つまり別URL)のは、どちらの方が検索順位が上がるのか?

実はこの質問を過去に受けたことがなく、想定もしたことがなかったので、最初に伺った時は???となったのですが、すぐに意図を理解して、回答をしました。

回答としては、「(後者がPC向け - スマホ向けサイトの関係性を明示しているという前提で)検索順位に影響はしない、他の全ての条件が仮に同一であるならば、検索順位に差異が出ることはない」となります。

これは「MovableType と WordPress はどちらの方がSEOに有利ですか?」と同系統の質問ですよね。Google は利用しているCMSを評価するのではなく、サイトのコンテンツやその人気度や重要度を評価するのですから、どちらのCMSを利用しても順位には関係ありません。

それと同様、CSS3メディアクエリを用いたレスポンシブウェブデザイン、特定デバイス用の別サイト構築、あるいはダイナミックサービング(同じURLで異なる HTML を動的に配信する)といったものはウェブ構築技術の選択肢でしかなく、検索エンジンが評価する対象ではありませんので、検索順位とは関係ありません。

ただし、特定デバイス向けに異なるURLでサイトが構築されている場合、Google はどのサイトとどのサイトがバージョン違いの関係なのかを正確に把握する必要がありますから、そのためのアノテーションを付与することは必須要件となりますが、それさえクリアすればどの手段を選択しても良いのです。

#

「クローリング」「ランキング」「レリバンシー」という視点がありまして、これはクローリングのお話になります。確かに SEO をやっていると、どの手法が検索順位を上げやすいのかという点にフォーカスされがちなのです。

しかしSEOの基本はあくまで「どうやってマシン・リーダブルにするのか」(=機械が理解しやすいサイト設計をすべきか)であり、どのようにコンテンツの内容や価値を検索エンジンに伝達するかという点にあります。この視点で見て頂かないと、Google が発信する情報の意味が正確に理解できませんので、つい順位で見てしまう人は注意して頂ければと思います。

ちなみにセミナーでは、Googleのスマホ検索に対する設計思想や方向性、考え方についての解説を行いました。きっと Google の考え方を理解してもらえれば、SEO でするべき事柄が自分で判断できるようになるから、という考えです。私はSEOは最終的にインハウスで行うべきもの、ある程度のことは社内で判断できるようにすることがベストと考えていますので、スマホとSEOも基本的なことは担当者さん自らが判断できるようになれればいいなということを願います。

COPYRIGHT © 1997-2021 渡辺隆広(わたなべ たかひろ) ALL RIGHTS RESERVED.

お問い合わせ(お仕事の相談、講演依頼など)

SEMリサーチ(www.sem-r.com)に掲載している文章及び図版の無断使用及び転載を禁じます。著作権侵害行為には厳正に対処します。

免責事項:SEMリサーチは、本記事中で触れている企業、商品、サービスの全て(情報)について、有用性、適合性、正確性、安全性、最新性、真実性に関する一切の保証をしておりません。各自の判断でご利用下さい。