Googleが10カ月ぶりに PageRank をアップデートしました。この更新は、世の中の一般的なサイト運営者にとって何ら意味がない更新です。もはやGoogleツールバー上のPageRankの上昇下降を気にする必要は、一般的なSEOの実施において意味は特にありません。
一方で、ある特定の物事の状況を判断する場面において、依然としてPageRankの変更値が参考になることがあります。例えば、有料リンクを販売しているサイトは、PageRankの変更値を見ることで Google にバレたか判定することができます。
つまり、リンクを過去/現在まで販売していたサイトのPageRankが急下降していれば Google からペナルティを科されたことになりますし、過去にPageRank値を大幅に下げられたサイトが元に戻っていれば、ペナルティは解除されたことになります。
前置きが長くなりましたが、PageRankの変動状況について簡単に調査しました。
有料審査型ディレクトリサイト:PageRank大幅下落を確認
有料審査登録型ディレクトリサイトは、(先日のGoogleによるガイドライン違反指摘を受けて)ディレクトリそれ自体が消滅してしまったものもありましたが、現存しているディレクトリの大半はPageRankが大幅に下げられていることが確認されました。特に、某社運営の、少数のメディアを束ねた高PageRankリンクネットワークは、軒並み大幅下落を確認しました。
なお、Googleはリンク販売をしていたサイトのドメイン全体に対してペナルティを適用するのではなく、問題のディレクトリを掲載しているURL(サブディレクトリやサブドメイン単位)でペナルティを科しています。本件も、/dir/ や /category/ など、問題のディレクトリを掲載しているURLでのPageRank下落を確認しました。
プレスリリース配信ネットワーク:PageRank下落確認できず
大手から中小に至るまで、配信先を数多く抱えるプレスリリース配信サイトの大半が、発リンクにnofollowを付与する対応もしたこともあるのでしょうか、PageRankの下落事例を確認することはできませんでした。
記事広告、ペイドメディア:Googleにバレていない
読者に広告であることを明示せずともリンクにnofollowを加える、あるいはアドサーバを経由させることで検索には影響を与えないよう配慮しているメディアが増加したせいか、『客観的に記事広告であることがわかる記事を掲載しているメディア』においてPageRankの下落事例は確認できませんでした。
ただし、業界の知っている人は知っているペイドペディア、例えば -- 表向きはその道のプロが書いている記事だけれども実はそのコーナー自体が広告であるにもかかわらずインターネット上にはそのエビデンスが一切ないメディア -- は、さすがに Google も判定できないのでしょう、全くPageRank値に変化はありませんでした。不自然に多数の発リンクが張られているようなサイトであればアルゴリズム的にAuthentic / Spam 判定が可能ですが、純粋な編集記事の体裁でウェブ上からは有料であるというシグナルが入手不可能なケースはさすがに Google も見抜けないのです。
一方、あからさまに記事広告とわかるのに nofollow を加えないなどの対応をとっていないところは、PageRank が下がった?ようですが、記事広告が原因であるかの確証は得られませんでした。
用語解説:
Authentic link:オーセンティックリンク。信頼できる、有益なリンクのこと。エディトリアルリンク(Editorial link)とほぼ同義。authentic は「本物の」「信頼のおける」という意味。つまり、金銭等のバーター取引により獲得したリンクではなく、サイトの信頼性や提供内容、品質に対する評価として得られたリンク。
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Googleツールバーで参照できるPageRankは10段階による相対的な値にすぎないので、プラスマイナス1-2 の増減は当然起きうることであり、それに一喜一憂することもなければ、それ自体が検索順位に直接影響することもなく、そもそも過去の一時点の情報にすぎないので、一般的なサイト運営者は一切、気にする必要がありません。
ただ、本記事で紹介したように「Googleからガイドライン違反指摘された、インデックスから削除された」ような、重大な問題が発生したケースでは PageRank が大幅に下落または0(ゼロ)になるため、そういった事象を確認するためには PageRank 更新情報は活用することができます。もっとも、こんな情報を集めたいのはマーケット全体のトレンドを分析することを業務とする私のような立場の人間などごく一部なので…