先日ツイートした件について。また、本日(※ 2013年12月24日)公開した記事『SEO 担当者が2014年のクリスマス商戦に向けて準備しておきたい5つのルール』とも関連するのですが、長年の積み重ね、実績の結果を検索エンジンに伝達してサイトの評判性や信頼性を評価してもらうようにするとは、どういうことか。
検索エンジンは「長年の積み重ね・実績」を評価しようとしているのに、「1か月で順位上げてほしい、でもガイドライン違反しないでね」という要求は無茶というもので、丁寧にご説明するしかないのですが、そこんとこみんな認識してませんよね
— Takahiro Watanabe (@takahwata) 2013, 12月 9
今日のインターネット検索エンジンは、ウェブサイトの重要性や信頼性、権威性を総合的に判断して検索順位決定時の参考にします。分野や話題ごとに、その道の権威やプロが現実世界に存在するのですから、その話題毎の権威をアルゴリズムで特定する取り組みが現在も行われています。「重要性」「信頼性」「権威性」といった要素は、一朝一夕で作り出せるものではありません。検索エンジンは、あなたのウェブサイトが過去にネットで行ってきた活動、取り組み、成果を、ネットから抽出できる指標を用いて評価しようと試みます。
『必要な時に、必要な情報を、それを探し求める人がいつでも検索を通じて取り出せる状態』、つまり検索を通じた情報の発見性(Findability)を高めるためには、あなたのサイトが過去に積み重ねてきた資産を、蓄積し、未来に継承していくための仕組み作りが必要となります。ネット上で得られた評判や信頼(リンク、ソーシャルシグナル、サイテーション、etc)は、皆、あなたのサイトのデジタル資産(Digital Assets)です。これをどのように積み重ねていくのか。
具体例を挙げましょう。「クリスマス商戦」「ゴールデンウィーク特集」「夏休み特集」「秋の紅葉」etc... これらのイベントにあわせてキャンペーン等何らかの事業活動を行う企業は、毎年このイベントに照準をあわせて人、モノ、金を動かしているに違いありません。
無駄なSEOをしている企業は、毎年この季節になると、外部のSEO会社からリンクを調達し、イベントが終了と共に契約を終わらせています。あるいは、毎年のようにウェブページの構成が変わったり、ドメインが変わることもあります。コーディングやコンテンツ作成にも一貫したルールがなく、ある年は検索性の高いコンテンツに仕上がったかと思えば、別の年には画像中心で検索発見性が著しく低下することもあります。
SEOのコンセプト(概念)を通常事業の中に統合・浸透させている企業は、特集ページを開設するURLを限定・指定し、タイトルや各種METAタグなど各種コーディングの記述ルールを設け、コンテンツ制作者に対しては守るべきガイドライン書類を提示して遵守するよう毎年研修の場を設けます。特集が終了した後のページの閉鎖方法や、翌年を迎えるまでの処理ルールも決めます。自社のサイト内に掲示する特集告知バナー広告から張るリンクの方法も、特集開催前、開催時、開催中、終了時それぞれの設置ルールを決めます。
このように、検索エンジンの評価に影響する各種指標を抽出し、それをサイト運用に落とし込み、(SEOに詳しくない人でも)ルール通りに運用してもらえれば毎年獲得する評価・評判指標を保持し、翌年に引き継げるようにするのです。
SEOをサイト制作やサイト運営とは独立したものと位置付け、「検索エンジンからの集客を高めるテクニック」という技術・テクニック論の認識に立った人間しかいない企業には、こうした発想すら持たない方もいることでしょう。
SEOは、検索エンジンとウェブサイトとの親和性を高める -- サイトから発信する情報を、それを求めている人がいつでも検索して発見できるようにする -- ことにあります。そして、ビジネスにおいては、顧客とのコミュニケーションを促進するための手段の1つでもあります。
SEOは検索エンジンに情報を効率的に伝達する手段という意味で技術といえますが、ビジネスの場で活用するのであれば「SEOはマーケティングでもある」という認識を持ち、どのように事業活動の中に取り入れていけば良いのか、どういう状態になることが、(トラフィックを得られる)自社にとっても(必要な情報を見つけ出せる)ユーザーにとっても、(適切な検索結果を提示出来る)検索エンジンにとっても、この3者にメリットがある状態を作り出せるのか、それを考えることが、遠回りなようで長期的には最も素晴らしい価値を生み出してくれるはずです。
既にある程度の予算規模でマーケティングキャンペーンやっているなら、その中にサイトの評価を高めるための思想や仕掛けを入れる努力をした方が早い この辺はアイデアや目の付け所の勝負かな
— Takahiro Watanabe (@takahwata) 2013, 12月 7
cf.