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米Yahoo!、再び独自の検索技術開発か? 新しい検索プロジェクトを立ち上げ

re/code の報道によると、米Yahoo!が検索技術開発関連の新しい2つのプロジェクトを立ち上げたことが明らかになった。コードネームは「Fast Break」と「Curveball」。

この新しい検索関連プロジェクトの詳細は明らかになっていないが、3~4カ月の期間での開発を目指すとされる。同社CEO・マリッサ・メイヤー(Marissa Mayer)は同プロジェクトを最優先の事項に位置づけており、検索事業担当上級副社長のLaurie Mann氏やモバイル事業担当上級副社長のAdam Cahan氏などが加わっている。

マリッサ・メイヤーCEOは、検索を同社の戦略事業の1つと位置付け、再び独自の検索技術開発の道を模索している。ユーザーの検索体験に直接かかわるフロントエンドは Yahoo! がコントロール可能であるものの、メイヤー氏は検索技術への深い関与を求めている。

Yahoo!前CEO・Carol Bartz CEOは2009年、独自の検索技術及び広告配信技術の開発を放棄し、Microsoft と提携する道を選択した。最大10年間の契約で、Microsoft が Bing 及び Bing Ads (当時 adCenter)の検索ソリューションを Yahoo! に提供するものだった。

提携開始から最初の18カ月は、Yahoo! が Microsoft から一定の検索売上金額(RPS, Revenue Per Search)を受け取る契約となっていた。しかし直近の検索収益は Yahoo! が当初期待していた水準には達しておらず、メイヤー氏も現状に不満を持っている要因の1つとして挙げられている。

昨年(2013年)4月に両社は1年間の契約延長で合意したものの、米国内に限定されたものだ。次の契約更新である2014年4月はちょうど新規プロジェクトの完了時期と重なる。また、同10月にメイヤー氏は複雑な法的論争を持ち出して台湾及び香港での Bing Ads 移行を遅らせようとした(これは失敗した)。米comScore の調査によると、2013年12月時点の検索シェアはGoogle が 67.3%、Microsoft が 18.2% に対して Yahoo! は 10.8% と落ち込んでいる。

こうした背景から、メイヤーCEOは Microsoft との提携を継続しても検索事業は上手くいかないと考えており、同社との検索提携を解消するための方法と、検索収益を改善するために自分たちでコントロール可能な検索事業の立て直しを模索していくことになりそうだ。

With “Fast Break” and “Curveball,” Mayer Is Aiming to Bring Back Search Tech to Yahoo

http://recode.net/2014/01/31/with-fast-break-and-curveball-mayer-is-aiming-to-bring-back-search-tech-to-yahoo/

Yahoo!とMicrosoftが検索事業で提携、検索プラットフォームはBingに一本化

http://www.sem-r.com/09/20090729222027.html

MicrosoftとYahoo!の検索事業 提携合意内容 (まとめ)

http://www.sem-r.com/news-2010/20100219024046.html

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