米Microsoft は2016年1月1日、同社の検索サービス・Bing を大手ポータル・AOL に供給開始したことを公式ブログで明らかにした。デスクトップ、モバイル、タブレットのすべての端末向けの検索サービスが対象で、同日よりオーガニック検索および検索広告がそれぞれ Bing あるいは Bing Ads 製品に置き換わる。
米国だけでなく全世界の AOL とその提携パートナーが対象
米国のみならず、全世界の AOLおよびAOLの提携サイト が検索サービスを Google から Bing にリプレースする。日本国内の AOL (jp.aolsearch.com) も同日より Bing を採用しており、それは検索結果ページの最下部に記載されている「Powered by Bing」という文字からも確認できる。ただし、Bing は日本国内で検索向けの Bing Ads サービスを展開していないため、検索結果内に広告は表示されない。一方、海外では Bing Ads の提供にあわせて同社の Bing Ads プラットフォームもアップデートされ、広告配信先として AOL ネットワークを選択可能になっている。
Google は2002年から AOL に検索プラットフォームを提供していたが・・・
この契約は2015年6月に両社が合意した10年間におよぶ検索事業における業務提携に基づくもの。AOL は2002年に Google と検索事業でパートナーシップを締結して以降、長らくアドワーズ広告を含む Google の検索プラットフォームを利用し続けてきた。当時まだウェブ検索市場の競争が激しかった時代、AOL の検索トラフィックを獲得できたことは Google にとって大きな取引であり※、それが今日の検索市場における支配的立場を築いていくこととなる。しかし10年以上の時がたち、1%程度のシェア(米comScore調査)に過ぎない AOL の配信ネットワークを失っても Google にはそれほど大きな影響はないだろう。むしろ、ネット検索市場で独占状態にあるとの批判をかわすための方便として利用できるかもしれない。
※ 2002年10月時点の米国検索シェアは、Google 29.2%, Yahoo! 28.5%, MSN 28.1%, AOL.com 19.7%, Ask Jeeves 10.3%, Netscape 5.5%, Overture 5.4%, Lycos 4.4%, Altavista 4.4%, Looksmart 3.0% (Source: Nielsen/Netratings) 。つまり Google が AOL と検索事業提携の契約したことで 29.2+19.7=48.9% とシェアを伸ばすことができた
Bing、米国デスクトップPC検索の三分の一のシェアを握ることに
というのは Microsoft は公式ブログの中で、今回の提携により米国内の検索トラフィックのおよそ三分の一を Bing が供給することになると述べている。米国2位の Bing、同3位のYahoo!、同5位のAOL の検索トラフィックの合算するとおよそ 33%前後になるからだ(数字はいずれも comScore調べ)。
なお、Bing は Yahoo! と AOL と検索プラットフォーム供給で契約を結んでいるが、両者の契約内容は大きく異なる。AOL は自社の検索トラフィックの 100% に Bing の広告を配信するのに対して、Yahoo! は昨年の契約変更によりデスクトップ検索トラフィックの 51% にのみ広告を配信すればよいことになっている。
Bing to Power AOL’s Search
http://advertise.bingads.microsoft.com/en-us/blog/33920/bing-to-power-aols-search
Bing powers AOL search
http://advertise.bingads.microsoft.com/en-us/blog/39962/bing-powers-aol-search
AOL.JP (AOL Online Japan)
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AOL の提携パートナーというのは、たとえば日本なら jp.wow.com みたいなやつをさします。全世界で合算するといくつくらいあるのかな?