SEMリサーチ

企業で働くウェブマスター向けに、インターネット検索やSEOの専門的な話題を扱います

Google社員がSEOの質問に答える AMA with Google Search SMX West 2017

2017年3月下旬に米国カリフォルニア州サンノゼで開催された SMX West 2017 より、Google社員がウェブマスターからの質問に答える "AMA with Google Search" (AMA = Ask Me Anything) セッションを紹介。回答者は、Gary Illyes 氏と Mariya Moeva 氏の2名、二人とも Google Webmaster Trends Analyst です。

ドメインオーソリティといったシグナルはない

「ドメインオーソリティはないのか」といった、サイト全体の重要度を推し量る類のランキングシグナルは存在するのかという質問に対して、Google は「ない」と回答。Google の検索順位を決めるシグナルの大半は、サイト横断的なものではなく、できるだけきめ細かな単位で評価を試みていると回答。つまり Google はサイト全体を総合的に評価するのではなく、個々の URL(ページ)単位で、そしてページ単位のシグナルで評価することに注力しているとのこと。

# これはマットカッツ時代からよくあった「 Google (検索サービス提供側)と SEO業界の間の言葉の定義」の問題だと思います。SEO 業界側が(勝手に)定義している言葉を用いて質問されても(開発側でその言葉に該当する事柄がないなら)「ない」としか答えようがないと思います。

重複コンテンツはペナルティではない

SEO質問の定番中の定番「重複コンテンツはペナルティになるか」という質問に対して、Google は「ペナルティはない」「検索ランキングのシグナルの評価に悪影響がある場合は排除すること」とこれまたいつも通りの回答。

# 重複コンテンツというのは、検索利用者が情報を探しやすいように同じ情報を非表示にするだけです。検索順位から削除したり順位を落とすといった意味合いを含むペナルティとは次元の違うお話です。ペナルティは検索結果掲載において取り除くべき課題ですが、後者の単なる重複はウェブサイト運営者側の価値判断基準にもとづいてケースバイケースで対処すべきお話です。

レスポンシブウェブデザインはモバイルファーストインデックスでも有効

レスポンシブウェブデザインは MFI で有効かとの問いに対して ゲイリー・イリーズ氏はあらためて、問題ない、良い対応と回答。

MFI はつまるところ「モバイル版のサイトに、自然検索で集客したいコンテンツをきっちりと掲載しておけ」という話であるので、デバイスを問わず共通(ほぼ同じ)コンテンツを掲載できるレスポンシブウェブデザインなら MFI 対応は万全ということだ。

コンテンツの長さ(分量)は検索順位と関係ない

コンテンツの長さ(分量)は検索順位上昇に効果的かとの問いに対して、Google は「関係ない」とバッサリ。コンテンツのレリバンシー(関連性)が満たされているならば、あるページに掲載されている情報の分量は関係ないと回答した。

# 日本の皆様はきっと「じゃぁ DeNA の Mery などはどうなんだ」という疑問を持たれると思いますが、要は長さ(分量)の問題ではなくて、その長さや分量によってもたらされるユーザー行動の変化が問題なんだと思います。

ソーシャルシグナルは自然検索順位に組み込まない

Twitter などのソーシャルメディアのシグナルは自然検索順位に組み込まないのかとの問いに対して、イリーズ氏は使わないと回答。同氏や他の Google社員も過去のイベント等で回答しているが、Googleが保有しないデータ、サードパーティーから提供されるデータは契約により突然使用できなくなるリスクがあるため、使わないとのことだ。

MFI 導入時にページ読み込み速度も検討する

(ゲイリー・イリーズ氏による MFI の講演で言及し忘れたのでここで追加します)MFI 導入にあわせてページ読み込み速度を評価する仕組みを導入することを検討していると回答。MFI 導入と同時になるかどうかは不明。

# 検索結果はあくまでレリバンシーが最重要なので、コンテンツ制作が最重要であることに違いはありません。サイトの UX やコンテンツそっちのけでページ読み込み速度を重視するのは本末転倒です。レリバンシー最優先という理由からランキングに与える影響は無視できる程度に軽微であることを考慮しても、頭の片隅にいれておく程度でよい話。SEO の人々は、SEO 観点からのページ読み込み速度に踊らされすぎではないでしょうか。

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