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Google、ポッドキャストを検索可能に 検索結果で直接聴くことも #io19

米Google は2019年5月7日(米国時間)、米国マウンテンビューで開催中の Google I/O のキーノートにおいて、ポッドキャストのインデックスを開始することを発表した。Google検索でポッドキャストのエピソードを探せるようになる。

Google News "Full Coverage" 機能も検索結果に表示

同社CEO・Sundar Pichai氏は、より役立つ Google を作り上げることはいつも検索から始まるとしたうえで、昨年の I/O で発表した Google News の "Full Coverage"機能を検索結果に統合し、ニュース関連のトピックを探しやすくすることを明らかにした。Full Coverage 機能は機械学習を利用して、ある出来事について、さまざまな情報源から異なる種類のコンテンツを横断的に表示し、その出来事がどのように報道されているか明らかにするものだ。タイムラインも表示され、時系列で当該の話題を追うこともできる。

Full Coverage の検索への統合は今年後半に実施される予定だ。

ポッドキャスト検索、検索結果での再生や、後で Google Home で聴くことも

ポッドキャストも重要な情報の1つだとしたうえで、ポッドキャストコンテンツの検索も開始すると発表した。ポッドキャストの音声番組をインデックスすることにより、番組やエピソードのタイトル文字列ではなく、コンテンツ(オーディオ)の関連性に基づき検索結果に表示することが可能になる。

検索結果画面の該当リンク下に表示される LISTEN ボタンをタップすることで、画面遷移せずにポッドキャストを聴くことができる。ボタン横にはエピソードの時間も表示されるので、事前に長さを確認できる。また、PLAY LATER をタップして、後ほど通勤通学時に再生したり、あるいは Google Home などのスマートデバイスから再生することもできるという。

ポッドキャスト検索の開始について僅かな時間で説明を済ませており、詳細は不明だ。個人的には、近年の Google 検索の動向からポッドキャストの分析レポートが Search Console で提供されるようになると予想する。

ポッドキャスト検索は今週リリース予定

Google Podcast 製品責任担当の Zack Reneau-Wedeen 氏によると、Google ポッドキャスト検索は今週リリースされ、PC、Android、iOS各端末のブラウザから利用できる。検索結果で見つけたポッドキャスト番組を直接再生することが可能だ。

Google は今後も、検索を我々にとって役立つものにし、適切な情報を適切なタイミングで発見できるようにしていくという(“These are all examples of how we are making search even more helpful for our users surfacing the right information in the right context")。

おまけ:新しい検索機能が生まれるたびに○○SEOが気になる人へ

この手の、新しい検索機能が始まるたびに「今度は○○SEOだ」という人を私はあまり好きではありません。検索できる=SEO という思考が単純過ぎると思うからです。過去に Second Life が話題になった時に SLO (Second Life Optimization)を発表していた企業もありますが、意味がわかりませんでした。少なくとも情報検索利用側と情報配信側の双方に、検索マッチングがもたらす意味あるバリューが生まれない限り、最適化というニーズは生まれないのですよ。

ポッドキャストが検索可能になると、無邪気に「ポッドキャストSEOだ」という人々が出てくるかもしれませんが、まず、ポッドキャスト SEO 自体は2000年代後半からありますので別に新しいものではありません。

なぜローカルSEO やイメージSEO、YouTube SEO と比較してマイナーな部類に属するかというと、単純に需要が小さいこと、目的が違うこと(自然検索集客するならウェブサイトを活用すればいいし、ポッドキャストの内容そのものを検索にあわせる必然性がない)、そして最適化手法に大きな制約があることが挙げられます。基本的に SEO というのは、そこにレベニュー(売上・成果)が伴うことが成立要件になるのですが、ポッドキャストはそれがありません(ないというか、目的がウェブと違う)。

従来はエピソードのタイトル文字列が検索対象だったので、コンテンツの発見性を高めるために、(1) トランスクリプトを掲載する、(2) 要約(Takeaway) をテキストで記載する、(3) タイプスタンプを記録する、(4) 関連画像を掲載するといったベストプラクティスがありました。今回、ポッドキャストの内容そのものが検索対象になることは大きな技術革新なのですが、それによりポッドキャストを巡る SEO の情勢が変わるかというと、私は疑問です。

中長期的な視点でいえば、検索のインターフェースが Google Assistant を軸としたものに世界がもっとシフトしていく(まわりの情報機器に搭載された AI たちと対話しながら情報をやりとりするような未来)と、こうした音声コンテンツを検索を通じてどう届けるかという課題がもっと鮮明になり、何らかの最適化ニーズは生まれるかもしれません。その頃には、もう SEO という言葉じゃないかもしれません。

現状で疑問があるのは次の理由です。ポッドキャスト番組提供側にとっては番組のファインダビリティが高まり、新たなリスナーに視聴してもらえる可能性は高まるかもしれません。しかし、番組内容そのものを「検索可能になった、検索対象になった」という理由で調整することはありませんよね。キーワードを繰り返しSEOのために連呼したり、検索エンジンのために言葉をいちいち選びながら話をするのでしょうか?

検索利用者側も、番組やエピソード単位で気になるものが探せるようになることは歓迎でしょうが、そのエピソードのほんの数秒の情報を求めて必死に検索することはないでしょう。検索でピンポイントに役立つ情報伝えたいなら他のメディア形式使った方が早いわけで、なぜポッドキャストで SEO やるんだ?という話になります。

この業界は Facebook SEO、コンテンツSEO、ソーシャルSEO, Amazon SEO etc.. といった具合に何かと SEO という言葉をつけてマーケティングする企業が多いですが、本当にそれは必要なのか?自分は何をしようとしているのか考えることをお勧めします。

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