2025年6月6日に渋谷で開催されたAIBB TOKYO 2025 にて検索とAIをテーマにしたセッションに登壇しました。モデレーターはSCデジタル株式会社・田中毅さまです。
AI・検索・LLM の話題であれば120分は話し続けられる話題のストックを持っていたのですが、このセッションは30分です。話したかったことの多くに触れることができませんでした。
ここでは当日言及できなかったことについて参考程度に記載しておきます。
検索・AIエージェントがSEOにどんな影響があるのか
最近よく尋ねられるこの質問。ここでは組織・個人がどう捉えたらいいのかという観点で述べます。
結論として「あなたがいつからSEOを学び始めたのか、SEOの業務として具体的に何をしてきた(いる)のか」と、SEOに触れた時期によって回答が変わると考えます。
たとえば、2014年~2025年にSEOを学び始めた人、あるいはSEOの仕事をキーワードを盛り込んだ検索に強いコンテンツ作りだと思っている人にとってみれば、AI検索やAIエージェントはセッションタイトル通り「SEOの崩壊」レベルの影響でしょう。同様に、SEOを検索アルゴリズムをハックするお仕事、ビッグワードで1位にするお仕事と捉えている方にとっても影響は深刻と受け取ることでしょう。
一方、1990年後半から2000年前半にSEOに触れている、時代の流行だけでなくユーザー体験も考えて仕事をしてきた人、あるいは「なぜSEOなど必要なのか」という感覚を持った(でも"自然とSEOに求められることが実践できた")人にとってみれば、SEOの崩壊というタイトルは大袈裟と感じられるでしょう。
もちろん SEO の仕事の中身が過去30年で変化してきた程度に今後5年で変化はあるでしょうが、機械可読性(マシンリーダブル)や、”ユーザーが興味・関心を持った瞬間に関連する情報を届けることができる機能”を踏まえた取り組みといった本質部分は変わらないでしょう。
インターネット検索とSEOの役割や関係性をどの深度で捉えているのかによって未来における SEOへの影響の捉え方が変わるでしょうし、その意味で正解がないのかもしれません。
検索クリック数が激減したというニュースに対するコメント
検索からのクリック数が60%減少した、前年比で半分に落ち込んだといった報道が当事者の声を交えて報じられています。しかし、ここ1年間の報道を見る限り、こうしたコメントをしている方の多くがSEOにトラフィック依存した広告メディア事業をしている、いわゆる"SEOメディア"の関係者である点が気になります。つまり、AI Overviews や ChatGPT が出力するものと同品質以下のコンテンツを量産しているメディアであれば(価値がないので)検索流入が落ちるのは当然ではないでしょうか。
検索クエリと文脈
検索クエリが質問や相談の文章になってくるとクエリに伴う文脈の粒度が変化します。ここは広告の精度に影響があるかもしれません。
いますぐAI Overviews やAI検索に対応するためのアクションが必要か
セッションで言及した通り「変化を観察する」ことと「変化にあわせてアクションをとる」は分けて考える必要があります。前者について、特に検索利用者の情報探索行動や検索クエリの変化、あるいは AIがどのように生活に浸透してくるのかといった点はよく観察すべきです。一方、技術革新により環境がまだまだ大きく変化する可能性があること、その変化にあわせてウェブマスター向けの新たなツールが登場する可能性も考慮すると、現時点で何らかの対策に動くことは時期尚早と考えています。
Google や OpenAI が AI にデータを提供する・AI と接続するための何らかの機能や仕組みが提供する可能性はあるでしょうから、そのときに対応すればいいのではないでしょうか。
AIBB TOKYO 2025 登壇メモ 「SEOの崩壊、GEOの覚醒!AIが検索を支配する2025年の戦場」
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