SEMリサーチ

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右ナビゲーションはSEOと関係があるの?

SEO について質問があります。最近右ナビゲーションをよく見かけるようになりました。SEO的に同じナビゲーション・内容の場合、右ナビゲーションの方がよいということは考えられるのでしょうか?

(質問者、Web制作)

最近は Google 関連ニュースばかり取り扱っていましたが、久しぶりの SEO FAQ です。

本日の質問はナビゲーションの配置と SEO の関係についてです。

一般的にナビゲーション部分と主コンテンツ(訪問者に伝えたい情報がある部分)の2分割でレイアウトをする時にはフレーム、または table タグでレイアウトを作ります。SEOの観点から、またユーザビリティ/アクセシビリティの観点からフレームは良くないという話は知っていると思いますので(フレームが何故悪いのかわからない方はこちらの記事:SEO と フレーム - Frame 問題の解決方法:をご覧下さい)、ここでは table タグでレイアウトした場合のお話を。

まず下記の例をご覧下さい。

<table>

<tr>

<td> - 1 - </td>

<td> - 2 - </td>

</tr>

</table>

非常に簡易な例ですが、左右分割でナビゲーション/主コンテンツを配置する場合、上記例のように table タグを使って2列作り、各々にコンポーネントを配置します。

右ナビゲーションの場合は、上記表の1の部分に主コンテンツを、2の部分にナビゲーションを配置しますね。一方、左ナビゲーションの場合はその逆です。

右ナビゲーションの場合:1−主コンテンツ、 2−ナビゲーション

左ナビゲーションの場合:1−ナビゲーション、2−主コンテンツ

クローラーは各Webページを収集する時に HTMLソースコードを先頭行から順番に読んでいきますから、上記ソース例でいえば1→2の順番で td の内容を読みます。

検索エンジンは <body> タグ開始直後に記述されているテキスト情報を評価の際に重視します。また、検索エンジンはWebページにおいて重要な情報はできるだけ最初の行(つまり、<body> からできるだけ近い部分)に配置されていることを好みます。

従って、もし左ナビゲーションを利用した場合、次のような悪影響を与える可能性があります。つまり、検索エンジンに見せたい主コンテンツより先にリンク情報の固まりであるナビゲーションが <body> に近く配置されます。言い換えると、重要な主コンテンツがナビゲーションを記述した HTML によって下に押し下げられてしまうということです。

一方、右にナビゲーションにすると、主コンテンツを td 1 の部分に配置できる、つまりクローラーに対してナビゲーション情報より先に主コンテンツを見せることができるとともに <body> に近づけることができます。

以上のように、との td に何の情報を配置することによって、クローラーが読み取る順番がどうなるかといったことが、ナビゲーションとSEOとの関係です。

注意事項。以上の説明を読むと「じゃぁ左ナビゲーションのレイアウトは使ってはいけないのね」と勘違いしたり、「SEO はWebデザインに大きな制約を与えるだけじゃないか」などと不満をいう方がきっといるでしょう。しかし実際にWeb制作を行う時には、他の様々な要素、例えばWebサイト開設の目的、その性格、戦略、掲載コンテンツの方針等を考慮した上で決定するものです。他の全ての要素を無視して SEO の観点からだけでナビゲーションの方向性を決定するのは非常にばかげています。

あなたの Webサイトのオーディエンスは、ユーザーとクローラーの2主体です。検索エンジンマーケティングを重要視したWebサイトを設計するのであれば、本稿であげたような SEO の観点からどのような影響があるかを理解しておくことは、適切な意志決定の助けになるはずです。

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