SEMリサーチ

企業で働くウェブマスター向けに、インターネット検索やSEOの専門的な話題を扱います

Google、UX関連の新しいランキングシグナル導入を予告、2021年以降

要約

  • ページエクスペリエンスを評価するランキングシグナル導入を予告、既存のページエクスペリエンス関連シグナルと、先日発表した Core Web Vitals の組み合わせ
  • 新型コロナの影響もあり、年内導入はなし。また、正式導入の少なくとも半年前には告知する
  • ページエクスペリエンスも重要だが、優れた関連性の高いコンテンツがもっと重要、優れたエクスペリエンスがだめなコンテンツを帳消しにすることはない

Googleがウェブエクスペリエンスに関連する新しいランキングシグナル導入予定

米Googleは2020年5月28日、今後導入予定のユーザーエクスペリエンスに関連するランキングシグナルについて公式ブログで発表した。簡単な概要と解説は次のページに掲載したので参考にしてほしい。

twitter.com
SEO関連のお仕事をしていると、新しいランキングシグナルと聞いたら関心はとても高いに違いない。何をしてくるか恐ろしいかもしれないが、でも今回は、安心してほしい。UX関連のシグナルなので特殊な対応は要求されない。むしろ純粋にユーザー体験を追求している企業や個人にとっては歓迎すべき流れだからだ。さらに導入は2021年以降なので解決すべき課題があってもまだ十分な時間もある。

UX関連ランキングシグナルの解説

もう私はGoogleの個々のニュースについて詳細を当サイトで言及する気はないのだが、年間通して重要そうな話題程度は取り上げたいと思う。概要は上記 Twitter に掲載したので、重要な点と私の見方、最後にToDoを箇条書きで記載する。Googleに忖度する気は一切無いので、好き放題書く。

  • 新しいランキングシグナルといっても、ユーザーエクスペリエンス(以下、UX)関連が導入されることは既定路線。2010年以降のGoogleはこの点は一貫している。全体的なインターネット検索動向を踏まえていれば、それを前提にユーザーフォーカスにシフトしているはずなので、大した問題ではない。Core Web Vitals もドキュメントに一通り目を通していただきたいのだが、UXの観点から「そりゃそうだよね」という妥当な範囲の内容にすぎない(可視化して評価可能にしてくれるのは大変ありがたい)。
  • Googleは2010年代から現在にかけて(そして将来も)検索利用者による情報の評価やウェブ体験を重視しており、検索を単なる関連情報の候補を探す場所から、個々のタスクを即座に完遂できるプラットフォームへと進化させている。検索する場所もPCやスマホだけとは限らない。この流れを押さえたうえで、検索エンジンはより優れたサービスを提供するために何を課題と認識しているか考えると、適切に予測が行えるようになる。森全体を把握して木を見るだけでなく、その森の生態がどう変化しているのか観察しつづけることが大切。
  • 話を戻す。上記点を踏まえて、本件対応で意識を変えなければいけないウェブマスターとは、相変わらずSEOがGoogleフォーカスであること、あるいはグロースハックという名のもと、Googleが好むコンテンツやGoogleが好むユーザー行動を作為的に発生させることが自分の仕事であると勘違いしている人たちだ。その発想は2000年代はある意味正しかったかもしれないが、2020年現在はすでに時代遅れであることを再認識する必要がある。勘違いする人が必ず出てくるので釘を刺しておくが、「Googleが好むUX」など存在しないし、その発想は捨てること。ユーザーにとって良いサイトを運営していれば、それで良い。
    逆に、ユーザーと真摯に向き合ってウェブサイトを運営している企業や個人は恐れる必要はないし、むしろ歓迎できることだと思う。私は職業上、多種多様なサイトを見ているが、最近はブロガーやアフィリエイターのほうがずっと良いコンテンツを発信している例もたくさん見かける。
  • Googleが発表している通り、新型コロナウイルスの影響もあり、実際に導入されるのは2021年以降。正式導入される時は6ヶ月前には告知するとのことだ。現時点で特に対応することはないが、ユーザーエクスペリエンス自体は現在でも投資すべき対象であり、ウェブマスター自身で認識しているUXの課題は列挙して1つずつ潰しておけばよい。
  • 検索プラットフォームというのは、ユーザーが必要とする情報(あるいはタスク支援)を提供する場所であり、したがって検索エンジンが最も重要視することは、優れた、最高のコンテンツを提示すること。つまり、優れた最高のコンテンツが、エクスペリエンスよりも優先される。SEOというのは、優れたコンテンツをより多くの人に、適切な場所とタイミングで届けることを実現する手段であるという基本理解があれば、コンテンツの関連性が常に最優先される理屈も理解できるだろう。
  • 本件に対応する(とりあえずの)アクションとしては、Core Web Vitals のドキュメントに目を通すこと。SEOに関係なく教材として勉強になるので、読む。2つ目に、ユーザーフォーカスでサイト運営を継続すること。優れたコンテンツをユーザーのために継続提供することに意識を向けること。3つ目に、PageSpeed Insights や Chrome UX Report、Search Console、Chrome DevTools、Lighthouse、Web Vitals Extension など主要な開発者向けツールが Core Web Vitals をサポートしたので、見るとよい。最後に、エクスペリエンスは重要だが、そこに優れたコンテンツがあることが大前提。検索は関連性がすべてに優先する。優れたコンテンツを、素晴らしい体験とともに届けることを意識する。
  • ページエクスペリエンスに関連するシグナルは年ベースで追加していくとのことだが、UX関連のお話はユーザーと向き合ってサイト改善に取り組んでいる、その意識のある企業や個人には何ら問題にならない。

    一方で、Googleに忖度した小細工や運営はやめること(Googleと向き合ってグロースハックしたMERYやWELQの末路を忘れてはならない)、その発想は捨てること。そこにリソースを割くくらいなら、他のデジタルマーケティング施策を実行して、Googleが評価するシグナルを増やすこと考えたほうがいい。

 

関連リソース

英語が苦手な方には申し訳ないが、英語と日本語ソース混在で列挙する。

web.dev

developers-jp.googleblog.com

web.dev

web.dev

web.dev

developers.google.com

webmasters.googleblog.com

webmasters.googleblog.com

support.google.com

 

web.dev

twitter.com

 

SEOの学び方(新卒入社者向け)

以下の内容は毎年、新卒入社でSEOに配属されてきた人に向けて「SEOの学び方」として最初にお話ししていることです。ご参考までに。2020年版。

要約

  • SEOは新卒配属で学ぶにはハードなお仕事
  • なぜ世界中の企業がSEOに取り組むのか、その必要性を自分で経験して学ぶこと
  • SEO単独のスキルは実はそれほど役立たない。Web運用管理の周辺専門領域を1つ習得して、それを中心にSEOの理解を深めるのもよい

SEOは、Web経験がない新卒にはハードなお仕事

SEO はインターネットの雑学の集合体です。ドメイン、Web制作の一連のフロー、サイト運用管理、コンテンツマーケティング、情報設計(IA)、UX/ユーザビリティ、Web解析、ソーシャル、そしてインターネット検索技術に関する知識と、幅広い専門知識が要求されるお仕事です。

新卒でSEOに配属されることをドラクエで例えると、何の経験もないのに最初から賢者やパラディンなどの上級職にさせられて、それなのに戦士や魔法使いといった基本的な知識と経験があること前提で仕事を任されるようなイメージでしょうか。つまり、本人の相当の努力が要求されます。


世界中の企業がSEOに取り組んでいる理由を理解する

世界に目を向けると、HP、IBM、Disney、Walmart、P&G、Kraft Heinz、GE、Samsung など名だたるグローバル企業の多くがSEOに取り組んでいます。残念ながら日本の大企業に限ると微妙なところですが、世界的には検索トラフィックを集めるSEOはデジタルマーケティングの主要な施策の地位を確立しています。むしろSEOを実施していない企業が珍しいくらいです。

最初に「なぜ、多くの企業がSEOに取り組むのか、そこに多大な予算を投下する理由はどこにあるのか」ということを、その事業会社の目線で理解をすることから始めてください。彼らはSEO自体が目的で推進しているのではなく、ビジネス目標を達成するためにSEOが非常に適切な施策であると判断したから行っているのです。その理屈を頭ではなく自分自身で体験として理解することから始めるのです。

最初の課題として「Webサイトを運営すること」を課しているのは*1、こうした必要性を自分自身で実感してもらうためでもあります。可能であれば、ぜひ自分自身でウェブサイトを作って、集客を増やすための試行錯誤をしてみてください。ウェブに関連する広範囲な知識の習得にもつながります。


「この領域だけは、自信がある」というスキルの柱をつくる

繰り返しますがSEOは雑学の集合です。さまざまなことに精通している必要があります。そして重要なことは、SEOというのは「検索に配慮できるWebの汎用的なスキル」であるので、次にあげる領域の少なくとも1つについて理解がなければ、SEOのスキルは何の役にも立たないということです。SEOは優れたWebサイトを継続的に運用管理することでもあるので、隣接領域についての理解なく学びを進めても小手先のテクニックに終始してしまい、事業推進という本質を見失ってしまいます。

・Web制作・開発全般:広く浅くでいいので、新規Webサイトの立ち上げ段階から、実際に公開に至るまでの業務フローと各々の業務の理解があること
・ユーザビリティ/UX:ユーザーにとって使いやすいWebデザインや構成要素について、合理的な理由に基づいた課題の指摘と改善施策を提示できること
・Web解析:Webのアクセスデータを分析して、課題の抽出と改善施策を提案できる能力
・コンテンツマーケティング:ターゲットとするオーディエンスの教育・啓蒙・理解をコンテンツを通じて進めながら、最終的に自社の商品やサービスを選択してもらうように促すマーケティング全般の実務理解

言い換えると、上記いずれかのスキルを身につけて、そこにSEOの知識を融合させると、初めてSEOのコンサルティングが可能になるということです。

上記を踏まえて、ぜひ、最初に「自分のスキルの柱」、中核となる専門領域をつくってみてください。上記のいずれの領域でもいいので、それなりに詳しいと自信を持っていえる領域をつくります。その領域ができると、SEOの1つ1つの知識が、業務との関係性を理解した形で、整理して習得できるようになります。

繰り返しますが、SEOのスキルというのは「検索に配慮してデジタルマーケティングの何かを実行できる能力」ですので、その何かの柱ができると、他の領域との互いの関係性や意義もわかってくるので業務を理解しやすくなるはずです。

上記に挙げた領域は、いずれも1990年代から存在する職種であり、現在でも非常に重宝されているものです。どれを選択しても5~10年後も決して無駄になりません。

*1:社内研修で、Webサイトを自分でゼロから作って運営しなさいという課題を出しています

Googleコアアルゴリズムのアップデート、何のために詳細を知りたいのか

要約

  • SEO担当者として働くなら、SEOの分析はアクションとセットで考えるべき
  • コアアルゴリズムアップデートの分析で、具体的なアクションを導くことは2020年現在はとても難しい
  • SEOだからと検索エンジンの細かな仕様を探るという発想自体が時代遅れであると認識する必要がある

Googleコアアルゴリズムアップデートの分析をする意義を考える

Googleが年に数回告知するコアアルゴリズムアップデートの実施について、皆いったい何が気になるのだろうか。

何かを分析することは、同時に実行可能な施策を考えることとセットである。企業内のSEO担当者は、分析自体は目的ではなく(インハウスで専門部署を抱えているなら別だが、大半の企業はそういうものは持たないし、必要ないものだ)、事業目標を達成するための示唆や、具体的な施策を見いだすために行うはずだ。

ところでコアアルゴリズムアップデートというのはその名(コア)の通り、基幹となるアルゴリズムの洗練・改良だ。したがって、いくら分析しても「ユーザーにとって役立つサイトを作りましょう」以外の結論しか出てこない*1

「優れたサイトを作りましょう」の結論にしかならない現実

2000年代は、検索技術がまだ未熟であり、大きなアップデートで新たなシグナルやスパム対策が導入されることが多かった。例えば2003年~2004年にかけてのフロリダ・オースティング、ブランデータップデートにおけるHilltopアルゴリズムが導入されたといわれる時期*2は、劇的な検索結果の変化があった。こうした変化は第三者が容易にその変化を認識できたし、それを踏まえて具体的なアクションを立案することが可能だった。これは当時の検索技術革新の幅が大きかったゆえだ。

一方、2010年代、特に機械学習が積極的に活用されてくると、別の記事でも触れた通りSEOの責任範囲外の要素も増えたこと、グロースハックという名のもとの小手先のチューニングでどうにかなる時代ではなくなったなど複数の環境要因により、結局の所「ユーザーファーストでWebサイトを運用管理していこう」という大まかな基本方針の結論しか導けない状況になっている。もちろんエンタープライズSEOだとテクニカルな領域にも目を配る必要があるが、それはコアアルゴリズムアップデートとは関係のない話だ。

この意見には反論もあるだろう。たとえば「同業他社や同業界あるいは他業界の動きと比較したとき、競合のA社は検索結果の露出が大幅に上昇しているにもかかわらず当社は逆に急降下している。ここにはA社と自社の施策の違いがあるはずで、そこからアクションに結びつけることができるはずだ」といった意見だ。これは一見正しい。

しかし第1に、そもそも競合の状況というのは常時監視するものであって、その監視のなかで他社の施策や動向を見ながら自社の施策も常に検討し、反映させるものだ。つまり、アップデートが行われたタイミングで行うことではない。アップデートのタイミングで考えていたら、常に他社に数ヶ月遅れをとることになる。第2に、困ったことに同業のA社と自社に大きな差があった時に、何の要因がそれをもたらしているのか、本当にそれが原因なのか全くわからないことだ。たとえば、ある時点のアップデートt1の時点で順位が大幅に下降しても、次のアップデートt2で元通りになるということがしばしばある。YMYL領域で近年よく観察される傾向だ。だから、ある時点の分析を行い、仮に要因となる可能性を発見したとしても、それは放置でいいのか、本当に改善すべきなのか判断のしようがないのだ。

繰り返すが、2000~2010年の時代は、アルゴリズムの大幅な更新があった時に、第三者としてそのデータを分析して、適切なto-doリストを列挙することが可能だった。だから競合と自社の状況を比較することも意味があった。しかし2012~現在は、機械学習の導入等による検索技術の革新により、分析を通したto-doリストを列挙できるほどアルゴリズムは単純でなくなっている。この状況の変化は認識すべきだ。

私はSEOサービス提供側としても、あるいは事業会社のSEO担当者だった場合であっても、総合的な観点から、そこから有用なアウトプット(アクション)が導き出せる可能性が低い限り、このアップデートの分析に時間を割くという判断はしない。

現時点で有効でも将来にわたって不確定なら選択しない Future-Proof という考え方

仮に何か特殊な方針を見いだすことが可能であるなら、それは次の理由で却下されるためやはり意味がない。その理由とは、Future-Proof という概念だ。

これは、現在だけでなく将来にわたって意味ある施策を継続的に実施していこうという施策方針のコンセプトだ。もし仮にあるコアアルゴリズムアップデートで何か特殊な傾向を見いだしたとしてもGoogleの一時的な不具合である可能性や本質とはほど遠い施策*3にしか落とせない可能性は高く、それはFuture-Proof に反するため結局アクションとして採用することが難しい。

話を戻して、もし私が検索アルゴリズムの分析に時間を割くなら、次のケースだ。それはGoogleが一切言及していない(未公表の)アップデート(サイレントアップデート)が行われた時だ。実はこちらを検出して、何が発生したのか分析するほうが様々な示唆が得られることがある。もっとも、それは私の職責上の理由であり、一般のインハウスSEO担当者には推奨しない。その時間があるなら、もっと事業に貢献するためにリソースを活用すべきだからだ。

目的を考えた分析を

SEOの仕事をしているとアルゴリズムの変化が気になるものだが、それを分析して何をしたいのか?ということをもう一度考えてみて欲しい。目的がまずあって、そのために必要なデータを分析するべきであり、データ分析自体が目的化してはいけない。SEOの専門家が皆口を揃えて「優れたサイトをつくりましょう」というざっくりとしたアドバイスをするのは、中長期的なサイト運用を意識することが遠回りながら最も自然検索流入を維持・最大化するための近道だからだ。優れたサイトを継続的に運用していけば、自ずと Google もそれを評価してくれる(完璧じゃないが)。

*1:なぜGoogleが検索の透明性という名のもと発表しているのか考えたほうがいい

*2:Googleは具体的にHilltopアルゴリズムについて一切言及していないが、当時のSEOのコミュニティは様々な状況証拠からそれ相当のアルゴリズムが導入された結果であろうと推察している。ちなみに当時、WebmasterForumでGoogleGuyというハンドルネームでアドバイスしていたのがMatt Cutts氏と言われている。

*3:2016年に話題となったDeNA社のWELQやMeryが当時実施していた施策は、本質だっただろうか?

コンテンツマーケティングの「戦略」「制作」「流通」

要約

  • コンテンツマーケティングは「戦略」「制作」「流通」「効果検証」のフェーズから成り立つ
  • 戦略を決めると自らが発信すべき情報の選択や、伝達マナーが決まる。オーディエンスに届けるデリバリー方法まで考えると、継続的な関係性構築につながる
  • コンテンツ制作とは、単に文章を書くことではなくデザインすることである

コンテンツマーケティングの「戦略」「制作」「流通」「効果検証」

コンテンツマーケティングにおいては、誰に、何を、どんな目的で、何を解決するために、どのように伝えるのかという「戦略」のフェーズ、その目標にあわせてコンテンツを制作する「制作」フェーズ、制作したコンテンツを届ける「流通(デリバリー)」フェーズがある(最後に効果検証は必要であるが、本記事では触れないので割愛する)。

戦略はミッションステートメントでドキュメントに落とし込む

戦略は、具体的なミッションステートメントに落とし込む。たとえば当サイト(SEMリサーチ)は、次のようにミッションステートメントを設定して文書化してある。

SEMリサーチのミッションステートメント(2003-2019)
“業務でSEO をしている人や、最近 SEO の勉強をはじめたばかりのウェブマスター(社内ウェブ担当者)に向けて、 SEO技能の教育・育成・啓蒙に貢献するコンテンツを提供し、自分自身で SEO の意思決定を行えるようにする”

このようにミッションを明確にすると、取り扱うべき話題の選択や、そのコンテンツ構成、情報の粒度、難易度、伝えたい事柄、結論などに関する決定が自然と行えるようになる。検索クエリなどの需要ベースに左右されず、課題解決のために自らが発信しなければならないトピックを決められる。目的を明確にすればそれを計測するための適切なKPIも選べるようになる。

制作はライティングではなく「コンテンツデザイン」である

制作はその名の通りコンテンツの制作であるが、これはライティングではなく「コンテンツデザイン」の定義から手をつける。コンテンツデザインとは「特定のタスクを完了させようとしているユーザーをアシストするための情報提供、および目的に合わせた情報のレイアウトや形式を決定すること」である。コラム形式、チェックリスト、フレームワーク、4コマ漫画、動画、アニメーションなど情報形式は多様である。目標や解決する課題にあわせて情報量も決めていく。ここまで含めて、実際にコンテンツの制作に取りかかる。

コンテンツの届け方を考えなければオーディエンスとの関係性は進まない

流通とは、発信するコンテンツをどのようにオーディエンスに届けるのかという話だ。コンテンツマーケティングの目標の1つは「オーディエンスを育てる、つまり関係性を構築・維持することでファンになってもらう」ことにあるので、検索にこだわらず、様々なチャネルを最大限に活用する必要がある。Twitter、Facebook、Instagram、YouTube、SnapChat やオウンドメディアといったチャネルを使って、コンテンツを届けてオーディエンスを形成していく。ここを中長期的に成功させると、自ずとGoogleがポジティブに評価するシグナルが自然と生成されてくるので、検索チャネルのトラフィックも最大化できる。

戦略なくして適切なコンテンツマーケティングは実践できない

上記の話を踏まえたうえで、皆様自身のコンテンツマーケティングに関連する業務を振り返ってみて欲しい。日本ではとりわけ「ライティング」、しかも文章作成に注力していて戦略やデリバリーが蔑ろにされている傾向がある。しかし、戦略なくして適切なコンテンツマーケティングは行えない。情報のデリバリーを考えなければオーディエンスは形成されず、検索エンジンから評価してもらうために必要なシグナルも増やせない。せっかくコンテンツマーケティングに取り組むなら、中長期的に意味あるものにしていかなければならない。

 

検索クエリ情報の意味と活用方法

要約

  • リファラ情報が取得不可能になったことで、広告主向けキーワードデータを主に使ってコンテンツ改善施策が行われている歴史的経緯を理解する
  • キーワードデータだけでは何の意味もない
  • キーワードデータを参考にするなら、Search Console や Googleトレンドを利用したほうがよい

検索利用者が実際に入力した検索語句を参照できた時代

検索クエリのデータをコンテンツの企画や制作に反映するというアプローチは、SEOという言葉が確立する2000年より前から行われていた施策の1つである*1。2011年以降、Googleがコンテンツ品質を評価するという方針(パンダアップデート)を打ち出したことで皆があらためてコンテンツに注目した。その結果、自然検索流入を増やすために検索キーワード情報を使ってコンテンツを企画するという方法論が再び広まり始めたという経緯がある。

ところが1990年代~2010年までと、それ以降ではこの施策で活用されるデータソースに決定的な違いがある。2010年まで -- 正確に言うとGoogleが検索クエリのリファラ情報(ユーザがページに訪問した時に実際に検索窓に入力した検索語句(クエリ)のこと)を訪問先Webサイトに渡していた時代まで -- は、コンテンツの制作アイデアに活用していたデータは主に (1) Web解析で取得する参照キーワード情報 (2) 検索各社(Google, Microsoft, Yahoo! など)が提供する広告主向けのキーワードデータ(たとえば Google キーワードプランナー)、(3) サードパーティーが提供するキーワードデータ 上記3つのデータソースを活用していた。

Googleがリファラキーワード情報を渡さなくなった2011年以降の世界

ところが2011年以後、Googleがセキュアな検索サービスの提供を目的にSSL化を推進する過程で上記 (1) のリファラ情報をWebサイト側に渡さなくなったために具体的な検索語句を知る術がなくなってしまった。検索結果をクリックする時にリファラ情報を削除するようになったため、サイト運営側も来訪者に関するリファラ情報を取得することが不可能となった。

仕方なく (2) と (3) のデータで代替することになるのだが、(2) については Ask Jeeves や Yahoo! が自社検索技術の開発を諦めたことや Microsoft の苦戦の結果 Googleによる検索市場の寡占化が進み、実質的に Google のキーワードデータしか参照できない。(3) についても (1) が失われたこと、検索マーケティングデータについてのニーズ変化により活用可能なソースが限定されることになった。

「キーワードとインプレッション数では何の意味も持たない」

上記のような歴史的経緯とその当時のデータの持つ意味を理解していれば、2011年以降に行われている広告主向けキーワードデータを使ったコンテンツのアイデア探しには重大な注意事項があることがわかるはずだ。つまり、広告主向けのキーワードデータは、Web解析レポートで閲覧可能だった検索語句とは性質が全く異なるため、2010年以前に定着していたキーワード情報活用のベストプラクティスをそのまま実践していても、誤った施策に到達するリスクがあるということだ。

Web解析で取得可能だった参照(リファラ)キーワード情報と、広告主向けのキーワード情報は何が違うのか。それは、前者は時間や文脈や行動のデータと紐付けることで別記事で触れた検索利用者の体験の一部を推し量るデータになり得たのに対して、後者は文脈や行動の概念が全くないという点だ。

検索クエリに文脈や閲覧履歴、行動を紐付けて初めて意味を持つ

参照キーワード情報というのは、(1) いつ、(2) あるブラウザが何の検索語句(実際に検索窓に入力して検索された文字列)で、(3) どのウェブページに到達し、(4) どういった行動をしたのか(※ 一般にWeb解析ツールで分析可能なデータの範囲)という情報をセットにすることで、単なるクエリだけでなく、そのクエリで何を閲覧し、どうサイト内を回遊したのかを分析することができたわけだ。でも、その検索語句が世間的にどれくらい検索されるのかわからないので、広告主向けに提供されるキーワードデータで補完をする。ここで注目して欲しいことは、参照キーワード情報はそこに文脈や行動データを紐付けることでユーザーの需要や感情の一部を垣間見ることが可能である点である。別記事で触れた「体験を理解する」ために少しばかりであるが役立てることができた。

www.sem-r.com

それに対して2011年以降から現在にかけて、(その参照キーワード情報の代替として活用される)広告主に提供されるキーワードデータは、文脈がまったくない。世間的に、ある検索キーワードが月間どれだけのインプレッション数を提供されたところで、「自社の」Webサイト運営管理の継続的な改善データとして役立てることが困難なのだ。キーワードのインプレッション数が●回であるという情報だけで、どうやって実行可能な施策に結びつけられるのか?先日公開した記事「SEO業務における「検索キーワード調査」関連のタスクは消滅する運命にあるのか」で指摘している問題点の1つは、こういう話だ。

www.sem-r.com

繰り返しになるが、検索意図を理解するとは、ある課題(タスク)におけるユーザーの一連の体験を理解することだ。参照キーワード情報が取得できた時代は、その情報と検索各社が提供するキーワードデータ、Web解析データを横断的に参照することでその理解の一助となった。しかし文脈が一切ないGoogle提供のキーワードデータを見ても、その理解はとても難しいのだ。

どのデータを活用するか

これはデータの組み合わせと活用方法の問題であるので、改善策はある。その1つは、もしコンテンツの改善施策を行いたいのであれば、Google Search Console から参照できるキーワード情報(検索パフォーマンス -> クエリ)を使うことだ。一部の検索語句(1990~2010年頃の参照キーワードに準じる情報)を閲覧できるので、このデータが代替になる。

ただし、「使用されたすべての検索語句ではない」ことは留意してほしい。Web解析ツールを活用していた時代は、ロングテールの中の超テールクエリ(たとえば月間検索流入数が1~3程度のまさにテールのクエリ)を束ねることでコンテンツの改善やアイデア探しが行われていた。現実の検索利用者が使う検索語句は、大半の人の想像を遥かに超える語句の組み合わせだ。Web解析は(ログで残せる限り)そのあらゆる検索語句を参照できた。*2しかし Search Console はそのロングテールに広がる検索語句の種類の一部しか表示していない。もっとも「ないよりずっといい」「アクションにつなげる仮説は出せる」程度に有用なので、使うならこのデータだ*3

2つ目の案は、検索語句そのものではなく、そこに何らかの意味を持たせられるデータを使うことだ。たとえば日本の8月中旬から下旬にかけて、毎時16~18時に検索数が増えるクエリは何かご存じだろうか?あなたは毎日朝8~9時によく検索される語句の傾向はご存じだろうか。世間の話題や検索の時間帯、デバイスと紐付けていくと、「キーワードとインプレッション数」以上の情報に変えられる。データに意味を持たせて使えるようにする。もっとも手軽な方法は、Googleトレンドを参照することだ。ただし、世間の動きや興味関心について日常的によく学び、そこにGoogleトレンドのデータを乗せていくことが必要になるので、単にコンテンツを大量生産するために作業を効率化したいだけの人には不向きであるしその思考を変えない限り上手くいくことはないと断言しておく。

検索語句や検索行動の感覚をどのように身につけるか

私はカンファレンスでの講演、オンライン記事や書籍などでも、検索キーワードに関連する話題に時には必ず講演者(執筆者)のプロフィールを確認し、もし2010年以前(つまりWeb解析でリファラ情報が取得できた時代)におけるSEO関連の業務経験がない場合は例外なくスルーしている。それくらい、この「生の検索クエリを分析した経験の有無」は埋めようのない知識と経験の断絶がある。

現在これを補おうと思ったら、検索会社で働いて大量の検索ログを分析する機会のある仕事をすることだろうか?少しでも感覚を身につけるなら、1日中、テレビやSNSを見ながらGoogleトレンドを毎日確認することや、@niftyが提供する瞬!キーワードを閲覧する程度だろうか。昔はexciteがサーチストリーム(いまユーザーが検索しているキーワードをそのまま流し続けるサービス)のような検索行動を垣間見れるツールがたくさんあったのだが・・・。

 

*1:この時代は無料のアクセスログサービスが人気で、それらの一部はサイト運営者以外でもレポートを閲覧できるものだった。したがって、同業や類似するサイトのアクセスレポートを覗いてマーケティングに活用することが可能だった。私は当時のレンタルサーバの多くに標準搭載されていた解析ツール(AWStats?だったと思う)や、futomiやeXTReMe のアクセス解析ツールを導入していたサイトのレポートをよく見ていた。2020年現在の感覚から考えると「自サイトのアクセスログを無料開放する」ということが信じられないが、いま振り返ればいい時代に大切なことを学ぶ事があって良かったと思う。

*2:2000年代にWeb解析の仕事をしていた経験がある方は、その検索語句の幅広さをよくご存じだろう。同時に、その当時の知識や経験があれば、現在のGoogleキーワードプランナーや Search Console の情報が十分なわけではない感覚もきっと理解できるだろう。

*3:Bing Webmaster Toolsの検索キーワードレポートでも構わない。他にクリックストリームデータを使う方法がある。しかし手軽にアクセスできるものでなく一気にハードルが上がるので割愛する

SEO業務における「検索キーワード調査」関連のタスクは消滅する運命にあるのか

要約

  • SEOベテラン勢で最近議論している「検索キーワード調査関連のタスク」は消滅するかという議論を紹介する

  • 検索キーワード調査を行う必要性となる前提が崩れ去っているいま、ここに時間を費やすことは時間の無駄ではないかという主張

  • SEOは本格的に広がって20年あまりの月日が経過した。実はこの20年で意味を失ったタスクは他にも存在するかもしれない

次の5~10年で消滅するSEO関連タスクは何か

私は毎年数度、昔からSEOの仕事をしている海外の知人数人とインターネット検索の未来についてカジュアルに議論する場を設けている。この面子は皆、1990年代からSEOの仕事をしているので相応に業界を熟知しているつもりだ。この議論の場で最近話題になっているのが「次の5~10年で消滅するSEOの業務タスクは何か」という話だ。

たとえば2000年代は外部リンクの分析やその構築支援はSEOの業務におけるコアタスクだったが、2011年以後(Googleがパンダアップデートやペンギンアップデートを発表した時期)以後は縮小・消滅している。消滅は言い過ぎだが、単なるリンクではなくウェブのプレゼンス、評判構築にシフトしていることは皆様ご存じの通りだ。ウェブ技術の進化により「FlashやSilverlightの検索エンジン対策」といった知識も不要になった。

こういった流れを踏まえて、いま私(たち)が注目しているのは「検索キーワード調査」とそれの支援ツール技術市場の行方だ。

なぜ検索キーワード調査関連の業務や市場が縮小すると考えるのか

本記事では主な論点について概要をお伝えする(意外と文章が長いのだが、これでも私としては”概要”だ)。詳細は、2020年内に予定しているイベントで話すほか、SEMリサーチPlusにも詳細記事を掲載しているので興味がある方はそちらに顔を出していただきたい。

前提:なぜ検索キーワード調査があったのか

そもそもの話として、なぜSEOの仕事のなかで検索利用者が実際に使用している検索キーワードを分析する必要があったのか整理する。

前提1-1:完全一致の必要性

もともと希望する検索クエリで検索結果上位に表示するためには、クエリと完全一致する文字列をウェブページ内に記述する必要があった。例えば「中華料理の作り方」という検索クエリで上位に表示したいのであれば、「中華料理の方法」ではなく「うまい中華の料理法」でもなく、「中華料理の作り方」とそのまま記述する必要があったわけだ。引越なら「引越」「引っ越し」「引越し」は表記揺れで区別されるので全てタイトル要素に記述していた(1997~2005年頃)。こうした事情から、検索利用者が実際にどんな検索クエリを、どの形式で入力しているかを把握するために、Web解析の検索クエリ(リファラキーワード)から文字列データを観察する必要があった。2010年代は Googleがそのリファラ情報を渡さなくなったので代替として広告主向けに提供されているキーワードデータが活用されているに過ぎない。

前提1-2:2000年代のウェブトラフィック

検索エンジンとしてGoogleが台頭したこと、そして24時間常時接続可能なブロードバンド回線の普及が始まったのが2000年代。この時になると、皆が欲しい情報をネットで探すために検索エンジンを日常的に利用するようになった(だから2000年頃にSEOという用語が確立し、普及を始めたわけだ)。この時代はまだ、インターネット検索が最も重要な情報アクセスプラットフォームであり、「検索で探せなければ存在しないのも同じ」と言われ始めた頃だ。したがってそこからの集客を最大化することはマーケティング施策として理に適っているし、その成果を最大化するためにはキーワード分析も相応に重要になってくる。ちなみに2020年現在、日本で「コンテンツSEO」(笑)*1と称して行われている施策はこの2000年代に確立した業務プロセスがそのまま使われている。実はこのプロセスを2020年現在に適用すると重大な不都合があるのだが、それは別の機会に解説する。

 

検索キーワード調査関連タスクが消滅する可能性があると考える3つの理由

相対的に本業務に費やす時間が大きく減少するのか、あるいはほぼ消滅の運命にあるのかは正直わからない。私も、知人もそこまでは予測できない。ただ、さまざまな環境要因を考えると、少なくとも優先的に時間を費やすべきではないという点では間違いない。理由は次の通りだ。本記事では3点を紹介する。

 

  1. 検索キーワードの完全一致が必要不可欠ではなくなった
    Googleの検索クエリプロセスに関連する技術革新(BERT、ハミングバードなど)により、必ずしも検索利用者が入力した文字列・順序通りの言葉をウェブページに記述する必要がなくなった。口語や自然文、曖昧な語句を用いても現在のGoogleは適切なウェブページを検索結果として返せるようになっている。


  2. 検索意図の定義が変わった

    本論は以下の記事を参照頂きたい。検索サービスの役割が当時と変わった結果(当時は検索クエリに適合する情報提示機能、一方、今日はタスク完了支援)、検索意図という言葉の定義が2000年代と2020年現在では違うのだ。検索キーワードを読み解くのではなく、その先にある現実の利用者の体験を紐解くことにフォーカスすべき。ところが、ここにフォーカスするならなぜキーワードを分析しなくちゃならないのだ?という疑問と直面することになる。

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  3. コンテンツはさまざまな文脈でさまざまなチャネルから閲覧されるようになった

    私たちはインターネットで情報閲覧する時、本当にいつもGoogleを使っているのだろうか?買い物なら楽天市場や Amazon.co.jp、自然災害や電車の遅延情報やニュース速報に関する情報なら Twitter、ファッションや家具ならInstagramやPinterest、暇つぶしやゲーム攻略なら YouTube、あるいは Facebook や Twitter のタイムラインに流れてくる情報に興味を持つなど、必ずしも「検索」を使って情報アクセスしているわけでもなければGoogleに完全依存しているわけでもない。ここに場所や文脈が加わるとデバイスはPCかもしれないしスマホかもしれないし、テレビかもしれない。私たちの情報アクセスチャネルは多様なのだ。

    その変化を踏まえてコンテンツ戦略を考える時、果たして「キーワード調査をして~」というステップは本当に正しいのだろうか?それは現実に目を背けて、Googleに最適化することが正しいと盲信していないだろうか?むしろ、オーディエンスをよく観察して、彼/彼女らに優れた体験を提供するために何をすべきか考えたら、少なくともキーワード調査から始めるというプロセスはむしろ排除した方が正しいだろう。特に今日のGoogleはSEO担当者の責任範囲では対処不能なシグナルをランキング決定に活用しているため、デジタルマーケティング全体施策のなかでSEOに間接的なプラス効果を及ぼすような設計が求められる。そういった全体の流れも考えたら、あらためて時間を割かなければならない業務ではないだろう。

この仕事は何のためにしているのか見直す時期

取り扱う商材やメディア特性によってもちろん例外があることは重々承知している。たとえば暗黙知の情報や、病気・悩みなど人間自身が感じた不愉快・不満をそのまま言語化される傾向がある領域では検索キーワード情報は重要かもしれない(※ もっとも、それを踏まえても広告主向けのキーワードデータを活用するのは注意が必要だが)。インターネット検索というものに全く理解のない方は、最低限の知識を備える意味でむしろ検索キーワード情報を見てもらったほうがいいということも当然理解している。インターネットで英会話を学習したいと考えている人が「オンライン英会話」という言葉を使うとか、ある地域の病院を探す時には地域名と掛け合わせをするといった程度の知識がないなら絶対キーワードデータは見たほうがいい。

この話はSEOのベテラン勢(この会話に参加していた人は皆、1990年代からSEOを仕事にしている人たち)で知り尽くしている故の見立ての過ちがあるかもしれないことも認識している。それでも、長く業界にいて、色々理解している私は中長期的な見通してとしてこのように考えているという1つの意見として捉えていただければと考えている。

実際、私はいま推進しているとある仕事のコンテンツ戦略・制作・運用案件において、検索キーワード調査・分析に関連するすべての業務を現場から排除している(その一方で関係者には検索流入は維持できることは説明している)。それで仕事が進むイメージが完璧にできているし問題も起きていない。

今回は検索キーワード調査を例にあげたが、実は今日のSEOの個々のタスクのなかには「これ、本当に必要なの?」というものが結構ある。昔はベストプラクティスとして推奨されてきた故に現在も皆当たり前のように行っているが、いや今日はもういらないんじゃないのというものが日常業務に潜んでいたりする。別の機会に触れるが検索順位レポートやその分析も事業会社にとって必要かと問われると、疑問がある。

私は最近「なんとなくSEOっぽい仕事に酔っていないだろうか、本当に必要なのだろうか」ということを自問自答している。自分が働く業界の環境が変化しているのに自分の業務が変わっていないのであれば、本質だから変わらないのか、思考停止して惰性でやっているのか見極める必要がある。仕事をやっている気分になっているだけなら、変えた方が良い。

1990年代後半に今日のSEOのコンセプトが生まれ、その言葉が確立したのが2000年。20年も月日が経過すれば、個々のタスクの意味も変わってくる。今一度、ご自身の業務の意味を考えてみてはどうだろうか。

※ 本記事は検索キーワード調査を巡る議論の概要です。詳細は、SEMリサーチPlusに掲載しています。https://plus.sem-r.com/

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*1:コンテンツSEOという言葉に(笑)つけてを半ばバカにして書いているが、実際、まともなSEOの専門家でこんな言葉を使う人も、この言葉が意味するコンセプトで仕事している人も、少なくとも私の周りや知人には一人もいない。「コンテンツを適切な人に、適切なタイミングで届ける手段」がSEOなのだから、有益なコンテンツを持っていることはSEOの大前提。そこはSEOの基本中の基本として最初に学ぶはず。厳しい言い方をするが「コンテンツSEO」を主張する人は、私はいままでスパムをしていました、コンテンツが重要だと考えていませんでしたと大声で叫んでいると思われていることは知って欲しい。自社の宣伝のためのバズワードとして利用している人がいるかもしれないが、その言葉は単に「コンテンツ」あるいは「SEO」と言い換えても意味が伝わることが大半で、コンテンツを作るだけで順位が上がるという業界に間違った認識を植えつける恐れがある用語は使わない方がいい。

検索意図を理解するとは、体験を描くことである

要約

  • 検索意図を理解するとは、その検索者の体験を理解すること

  • 検索キーワード情報はその体験を紐解くためのヒントに過ぎず、それを起点にすべきではない

  • SEOの枠組みでKPIを設定する限り、コンテンツは犠牲になる 適切にコンテンツデザインを行うためにはSEOと切り離すべき

検索意図を理解するとは、ユーザーの体験を描くことである

SEOの現場で近年、ウェブマスターやSEO担当者が勘違いしている最も大きな事柄の1つは、「検索意図(を理解する)」という言葉の意味を履き違えていることである。インターネット検索技術はこの20年で大きな変化を遂げて、その技術革新とともに検索意図という言葉の定義も変化した。今日、検索意図を理解するとはキーワード(文字列)の組み合わせを分析することではなくて、ユーザーのエクスペリエンス(体験)を深く考察することである。

そして、その体験を理解するためにはキーワードのデータ自体は役に立たない。検索クエリと検索回数がわかったところで、検索をしたという事実以上のことは何も教えてくれないからだ。

「SEOのためにコンテンツを作成する」という思考を捨てる

体験を考えるとは、どんな文脈の、どの瞬間に検索してコンテンツを閲覧しているのか、その閲覧中(後)に、感情や課題はどう変化するのかといったことを考えることだ。日本では「コンテンツSEO」と称して、キーワードデータを活用してコンテンツを制作していく企業は少なくないが、このプロセスを推進する限り単なるコンテンツの量産作業から脱却することは難しい。この作業を続ける限り、キーワードを含んだページ作成自体が目的化し、他社との差別化や価値創造が疎かとなり、来訪者の態度変容を促すこととはかけ離れてしまうからだ。

コンテンツというのはさまざまなチャネルから、さまざまな文脈で閲覧される可能性がある。それを前提に、誰に、何の情報を、どんな形式で発信し、どのように届けるのかを考える必要もある。また、全てのコンテンツが必ず情報探索中に閲覧されるわけではない。検索が発生しない行動もたくさんある。それを踏まえれば、「SEOのためにコンテンツをつくろう」というのは出発点がそもそも間違っている。この行き着く先は、かつてDeNAが過ちを犯したMERYやWELQのような姿だ。

コンテンツマーケティングにおけるSEOとの関係は、「検索に配慮する」ということだ。検索に配慮するとは文字通り、その情報が検索可能(searchable)であることを担保するということ。SEOを目的化すると、それは検索可能なのではなく、検索経由以外の行動を一切無視した情報発信になってしまうという弊害がある。

どうしたらいいの?

SEOが目的化していることが問題なので、そこを崩す。

  1. コンテンツマーケティングの業務をSEOの枠組みから外す
    SEOを目的とする限りコンテンツ品質は犠牲になる運命にあるため、SEOの枠組みから外す。SEOのフレームワーク内に置くのではなく、コンテンツマーケティングそれ自体に目的と目標を設定する。このチームは、汎用的なスキルとしてSEOを持たせ、検索性を担保することのみ要求する。
  2. キーワードリストからコンテンツアイデアを探す業務フローを撤廃する
    検索キーワードリストは、取りこぼしや、自分たちが制作したコンテンツの要件が検索観点を満たしているかどうか確認するために使う限りは有効である。問題は、そのリストからコンテンツを作成しようとする行為。繰り返しになるが、キーワードをいくら見たところで検索意図は全くわからない。そのわからないものを起点にコンテンツを作らせても、言葉遊びになるだけである
  3. マーケティングをする
    SEOは検索順位を上げるためのテクニックでもなければ、Googleが好むコンテンツを大量生産することでもない。情報探索行動をよく理解したうえで、ユーザーにとって最適な体験を、検索を通じて届けることである。そのユーザーを理解するためには、自社が抱えるマーケティングデータの財産や、第三者のマーケティングリサーチ、現実のユーザーの観察やインタビューなど、たくさんの手段がある。その中にキーワードをヒントとして加えていくというように、いわゆるマーケティングをするという意識を持たせることが大切である。

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SEMリサーチPlusを開設しました

SEMリサーチPlusを開設しました。

https://plus.sem-r.com/


Q) SEMリサーチPlusってなに?

A) 私がいま興味・関心のある領域、トピックを取り扱っています。


Q) 対象者は?

A) 次の方を対象にしています。基本的に上級者向けです。

  • SEOの領域だけ学んでいてもSEOはできないと感じている人
  • 世界各都市で開催されている近年のSEO・検索系のカンファレンスがつまらない、物足りないと感じている人
  • Google社員よりも遥かにSEOに詳しいと自信をもって言えるレベルの人
  • コンテンツマーケティングやCRO、UIについて真面目に学びたい人
  • カメラ(ビジュアル)検索や音声検索など、未来の検索に興味がある人

現在のSEO業界の問題の1つは、「同じところで足踏みしていること」だと考えています。Google社員の情報発信が典型例で、同じやりとりを毎年繰り返しているだけです。前に進むためにどうすべきか?を考えるためにSEMリサーチPlusという場を用意しました。

Q) アクセス方法は?

A) アクセスキーをお持ちの方はどなたでも閲覧可能です。アクセスキーの入手・配布方法については一切お答えしません。

 

Q) アクセスキーは、有料ですか?

A) 無料です。後述する理由により限定公開としています。[UPDATE 2020/06/02 Facebookに専用グループを作成しました] https://www.facebook.com/groups/251377832609617/ ※ 条件を満たす方のみ承認

 

Q) 入手したアクセスキーは社内や知人に共有してもいい?

A) 構いません。ただし、「200人くらいに行き渡ったかな」と感じたところでアクセスキーは変更します。ご注意ください。

 

Q) なぜ限定公開?

A) SEMリサーチPlus に掲載する記事は、基本的に私自身の情報整理と日本語文章のリハビリ(最近英語を使う機会が多かったため)を目的としています。また、読者が何を読みたいかよりも私が何をまとめたいかを優先しています。以上の理由から、どんな価値を閲覧者に提供できるか未知数ですので、一般公開は見送りました。

 

Q) 従来のSEMリサーチは、更新しないのか?

A) 気が向いたら更新する予定ですが、もはやどうでも良い話題(たとえば Google社員が何を言った、など)は扱わないと思います。

お知らせ:お仕事の依頼について(最終更新:2020年5月8日)

SEOのコンサルティングを希望される方へ

2020年5月現在、私は個人としては一切、SEO業務の仕事をお受けしておりません。

 

所属する株式会社アイレップにてSEOサービスを提供しておりますので、直接、お電話、メールにてお問い合わせ下さいますようよろしくお願い致します。 アイレップ https://www.irep.co.jp/

記事、書籍等の執筆や寄稿依頼について

アイレップ広報窓口まで直接、お問い合わせ下さい。または、私個人の Facebook に直接メッセージを送付頂いても構いません。

 

講演依頼について(2020年5月現在)

ウェビナーへの出演依頼は随時承っております。日時は柔軟に対応可能です。講演費用は0円~応相談です。

依頼を希望される場合は、アイレップ広報窓口まで直接、お問い合わせ下さい。

 

次の情報をあわせてお伝えいただければ、迅速に判断致します。余裕を持った日時でお問い合わせ頂けると助かります。

・開催日時
仮で結構です 

・種類・形式
社内向け(社内勉強会など)、外部向け(カンファレンス、展示会など)について教えてください。

・開催の趣旨・狙い・背景
どんなテーマを扱うのか、参加した方々に何を持ち帰って欲しいのかなど、開催の狙いや目的について教えてください。

・想定する参加者
ターゲットとする人について教えてください。

・人数
仮で結構です。

 

 

 

SEO業界23年目

大学を卒業した後に生きていくための手段としてSEOの仕事を始めてから2019年7月1日で23年を迎えることになりました。子どもが生まれてから大学卒業して働きはじめるくらいの時間です。先日、米国西海岸で開かれたSEOベテラン勢が集う小規模ミートアップでも最長23年でしたので、世界的に見ても業界歴が最も長い人間の一人だと思います(※ 名前を存じ上げないのですが、24年の人が米国か英国に数名いるはず)。

 

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米Google、検索と Google Assistant でインタラクティブなライブコンテンツを提供する Mini-apps を発表 #io19 #io19jp

米Google は2019年5月8日(米国時間)、米国で開催している Google I/O 2019 において、検索サービスと Google Assistant を通してインタラクティブなライブコンテンツを提供するための Mini-apps を発表した。

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