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GoogleとMicrosoft AI技術と検索 まとめ (2023/02)

2023年2月7日のMicrosoft発表イベント、および同8日のGoogle発表イベントの内容をまとめています。いずれも検索エンジンに搭載されるAIサービスに関する新プロダクトが発表されました。

このページは随時更新しています。

Microsoft、AIを搭載した新しいBingと Edgeブラウザを発表

2月7日に本社で開催されたプレス向けイベントの内容を紹介する。随時更新中。

AIを搭載した新しいBingとEdge

新しいBingとEdge

Microsoftイベントの発表内容(日本時間 2023年2月8日午前3時〜)

従来の検索サービスは複雑な質問の回答に適していない

米Microsoftは2023年2月7日、シアトル本社で開催したプレス向けイベントにおいて、米OpenAIが開発した次世代の大規模言語モデルを搭載したAI機能を検索エンジンBingに組み込むことを発表した。本日から限定プレビューも公開された。

現在、1日あたり100億件もの検索クエリがあるのにその半数は回答されていないという。その理由は、検索サービスが本来想定していないことをするためにユーザーが検索を利用しているからだという。検索サービスはウェブサイトを探すのには最適であるが、複雑な質問やタスクを実行するには不十分な場合が多いのだ。

この問題を解決するために、MicrosoftはAI技術を搭載した検索エンジン Bingと、AIチャットへのアクセスを容易にしたEdgeブラウザを発表した。

今回の発表について、米国での発表直後に日本語の説明ページも登場した。Bing検索関連で同日に日本語が用意されるのは極めて異例*1。Microsoftがこの領域に相当力を入れていることがうかがえる。

2023.02.09 追記 Bing日本語版でもプレビューが利用できることを確認。ただしアクセスが集中しているためか、返答がないことも多いです

 

新しいBing紹介ページ

https://www.bing.com/new?form=MY028Z&OCID=MY028Z

従来の検索結果画面とAIチャットウインドウ

会場で発表された対話型AIを搭載したBingは、AIと会話するための専用のインターフェースが設けられた。PC版はスクリーンショットのように右側に従来の検索結果、左側にチャットウインドウを表示する。一方スマホ版は最上部(自然検索結果より上)にチャットウインドウが配置される。

GPT-4相当の技術を搭載

MicrosoftもOpenAIも発表のなかでGPT-4という言葉は用いていないが、性能的にそれ相当のものだ。AIが生成した回答に根拠となるウェブソースのリンクが表示されるようになったほか、フィードバックボタンも用意されている。AIが生成した回答に不正確な情報が紛れ込むことがChatGPTの課題として指摘されてきたが、Bingは回答に参照されたソース元リンクを提示することで検索者が自分でファクトチェックできるようになった。この情報ソースを提示するアプローチはNeevaAIやPerplexityが既に採用しているほか、間もなくGoogleから発表されるAIサービスも同様の仕様になるといわれている。

ChatGPTよりも自然で意図にあった回答をするデモを披露

会場で行われたデモでは、次のようなシーンが紹介されている。たとえば旅行に必要なものを準備するためにあれこれ検索しながらウェブを閲覧する必要はない。"create an itinerary for a five-day trip for me and my family"とAIチャットボットに尋ねるだけで、必要なものを一覧表示してくれる。続けて "create a summary of this itinerary I can send as an email to my family,"と依頼すると家族に渡すためのサマリーを作成してくれる。

BingおよびOpenAIのプロダクトリーダー・Dena Saunders氏は、次の5つの要素が新しいBingを構成していると説明。"Core Fundamentals" "Chat Orchestration" "Prompt Generation" "Inferences and Interactive Experience" "Infrastructure"。

違法行為を促進しないための安全システム

Bing AI Chat は安全性も重視している。たとえばAIチャットが学校襲撃といった違法な行為を手助けすることがあってはならない。「AIの原則に沿って、誤報や偽情報、コンテンツのブロック、データの安全性、有害なコンテンツや差別的なコンテンツの促進防止といった問題に取り組んでいる」。MicrosoftとOpenAIは安全システムを継続的に改善するための会話のテストと分析を続けていると説明している。

(更新中)

新しいBingのデモ画面

発表にあわせてBingチャットの限定プレビューも公開された。指定のURL(本記事ページ下部の関連情報の項目を参照のこと)で登録することで誰でも利用可能であるが、日本国内からのアクセスは受け付けていない。(追記:午前9時時点で日本からアクセスできることを確認、順番待ちリストの登録はMicrosoftアカウントが必要)

筆者は米国で作成したアカウントを利用してウェイティングリストに登録した(追記:登録後わずか2時間で利用可能になった)。ちなみにMicrosoftの案内によると、Windows PCのデフォルトをMicrosoft Bingに変更したうえでスマートフォンにMicrosoft Edgeをインストールすると順番が繰り上がるとのこと。

以下は筆者の環境で実際にテストした画面を掲載する。

Bing AIチャットに "I need to throw a dinner party for 6 people who are vegetarian. Can you suggest a 3-course menu with a chocolate dessert?" と質問したときのスクリーンショット。Learn more の欄に、AIが生成した回答の根拠となるウェブページへのリンクが並んでいる。

I need to throw a dinner party for 6 people who are vegetarian. Can you suggest a 3-course menu with a chocolate dessert?

I need to throw a dinner party for 6 people who are vegetarian. Can you suggest a 3-course menu with a chocolate dessert?

モバイル版の画面。チャットウインドウが最上部に位置する。

 

 

Bing AIチャットに"I just went fishing in Bighorn in Montana and I would like to go fishing in the Florida Keys in the Spring. What do I need to do differently to prepare?"と質問したときのスクリーンショット。

I just went fishing in Bighorn in Montana and I would like to go fishing in the Florida Keys in the Spring. What do I need to do differently to prepare?

I just went fishing in Bighorn in Montana and I would like to go fishing in the Florida Keys in the Spring. What do I need to do differently to prepare?

AIを搭載した新しいBingの概要(Microsoft公式発表資料より)

新しいBing体験は、4つの技術的ブレークスルーの集大成。

  1. 次世代OpenAIモデル
    新しいBingは、ChatGPTよりも強力で、検索専用にカスタマイズされた新しい次世代OpenAI大規模言語モデルで動作している。ChatGPTとGPT-3.5から主要な学習と進歩を取り入れ、さらに速く、より正確で、より有能になっている。

  2. Microsoft Prometheusモデル
    OpenAIモデルの力を最大限に活用するための独自の作業方法を開発した。私たちは、この機能と技術の集まりをプロメテウスモデルと呼んでいる。この組み合わせにより、より適切でタイムリー、かつターゲットを絞った結果を、安全性を向上させながら得ることができる。

  3. コアとなる検索アルゴリズムにAIを適用
    AIモデルをBingのコア検索ランキングエンジンにも適用し、過去20年間で最大の関連性の飛躍的改善をもたらした。このAIモデルにより、基本的な検索クエリでさえ、より正確で、より関連性の高いものとなっている。

  4. 新しいユーザーエクスペリエンス
    検索、ブラウザ、チャットを統一された体験に引き込むことで、検索ユーザーのインタラクションの方法を再構築した。これによって、ウェブとのまったく新しい接し方が生まれることになる。

新しいBing検索の特徴

  1. より優れた検索
    新しいBingでは、おなじみの検索体験が改良され、スポーツのスコア、株価、天気といったシンプルなものに対して、より関連性の高い結果を提供するほか、必要に応じてより包括的な回答を表示する新しいサイドバーを備えている。

  2. 完全な回答
    Bingはウェブ全体の検索結果を検証して、検索ユーザーが探している答えを発見して要約する。たとえば、今作っているケーキの卵を別の材料に置き換える方法について、複数の結果をスクロールすることなく、その場で詳しい説明を得ることができる。

  3. 新しいチャット体験
    詳細な旅行計画の立案や購入するテレビの調査など、より複雑な検索のために、新しいBingは新しいインタラクティブなチャットを提供する。このチャット体験では、より詳細な情報、明確な情報、アイデアを尋ねることで、求めている完全な答えが得られるまで検索を絞り込むことができる。また、リンクも用意されているので、決定次第すぐに実行に移すことができる。

  4. クリエイティブな閃き
    ひとつの正解(答え)ではなく、ひらめきが必要なときがある。新しいBingは、そんなユーザーを助けるためのコンテンツを生成する。メールの作成、ハワイでの夢のバケーションのための5日間の旅程の作成、旅行や宿泊の予約、面接の準備、トリビアナイトのためのクイズの作成などをサポートする。また、新しいBingはすべてのソースを引用しているので、参照したウェブコンテンツへのリンクを確認することができる。

  5. 新しいMicrosoft Edgeの体験
    新しいAI機能と新しい外観を備えたEdgeブラウザをアップデートし*2、2つの新機能を追加した。チャットと作成。Edge Sidebarを使えば、長文の財務報告書の要約を依頼して要点を把握することができる。さらに、チャット機能を使って競合他社の財務報告書との比較を依頼し、自動的に表にしてもらうことも可能だ。また、LinkedInの投稿などのコンテンツを作成する際にも、いくつかのプロンプトをEdgeに渡して手伝ってもらうことができる。その後、投稿のトーン、フォーマット、長さを更新するのをEdge(のAIチャット)に依頼できる。Edgeは、あなたが今見ているウェブページを理解し、それに応じて適応する。

Bing Webmaster Guidelines 会話型検索に関する記述

https://www.bing.com/webmasters/help/webmaster-guidelines-30fba23a#:~:text=Conversation%20Mode%20and%20Bing%20Image%20Creator

Conversation Mode and Bing Image Creator
The new Bing conversation mode builds on the existing Bing experience to provide users with a new type of search interface. Bing conversation mode generates responses using an AI model that has learned by processing a vast amount of text from the Internet. Based on the user query or prompt, the model produces an output that is coherent, relevant, and creative, according to the input and the context. The output can be a response, a web result, a poem, a story, a code, an essay, a song, or anything else that can be expressed in natural language. Bing Image Creator similarly uses an AI model that has learned by processing a vast number of images from the Internet. Based on the user prompt, the model generates an output image. The conversational model is also informed by and refines its output using available context, such as web results, feedback, and interactions, to improve its performance and accuracy. Ranking within conversation mode generally relies on the same parameters as the main web search results page.

(日本語訳)会話モードとBing画像クリエーター
新しいBing会話モードは、既存のBingエクスペリエンスをベースに、ユーザーに新しいタイプの検索インタフェースを提供します。Bing会話モードは、インターネット上の膨大な量のテキストを処理して学習したAIモデルを用いて回答を生成します。ユーザーのクエリやプロンプトに基づき、モデルは入力と文脈に応じて、首尾一貫した、適切で、創造的なアウトプットを生成します。出力は、応答、ウェブ結果、詩、物語、コード、エッセイ、歌など、自然言語で表現できるものであれば何でも可能です。Bing 画像クリエーターも同様に、インターネット上の膨大な数の画像を処理して学習したAIモデルを使用しています。ユーザーのプロンプトをもとに、AIモデルが出力画像を生成します。会話モデルはまた、そのパフォーマンスと精度を向上させるために、ウェブ結果、フィードバック、インタラクションなどの利用可能なコンテキストを使用して、その出力を通知し、洗練させることができます。会話モード内のランキングは、一般的にメインのウェブ検索結果ページと同じパラメータに依存します。

 

Google、新しいAIサービスを発表

Googleイベントの発表内容(日本時間 2023年2月8日午後10時30分〜)

www.youtube.com

私たちは、人々が情報を検索、探索、操作する方法を再構築し、必要なものをこれまで以上に自然かつ直感的に見つけることができるようにします。検索、地図、そしてその先にある情報へのアクセスを、どのように広げていくのか、ぜひご覧ください。

『完璧な検索はなかなか実現しません。次の、2つのことが常に変化しているためです。一つは、人々がどのように自然で直感的な情報への関わり方を期待しているか、もう一つは、テクノロジーがどのようにその体験を後押しするかです。私たちは、人間が自然に世界を理解する方法を反映した、より私たちの思考に近い働きをする新しい検索体験を創造しています。』

Google翻訳:『Googleは翻訳にZero Shot Machine Translationを使用しており、このモデルの助けを借りて、今回さらに24の言語を翻訳に追加しました。』

Googleレンズ:月間のレンズ利用数が100億以上に。スマホ画面に表示された画像や動画などを対象として検索することが可能に。

Multisearch:世界中で利用可能に (Multisearch Now live globally)、どの画像にも対応。

Google Bard:LaMDA(対話アプリケーション用言語モデル)を利用した会話型AIサービス、信頼できるテスターに公開、NORA (No One Right Answer) 、つまり単一の正解が存在しない複雑な質問に対応する。

Generative language API:2023年3月に個人の開発者、クリエイター、企業に試用提供を開始

Google Maps:2Dマップ、イマーシブビュー

 

会話型AIサービス「Google Bard」については公式ブログで言及された以上の新情報はありませんでした。プレゼン自体も非常に短かったです。マイクロソフトに一歩遅れをとっている印象を拭うためのパフォーマンスだったんでしょう・・・。

 

Google Search's guidance about AI-generated content

AIコンテンツに関するGoogleの見解がまとめられている

developers.google.com

(随時更新中)

 

参考:Microsoft からの公式発表・公式発言 リンクまとめ

発表会のアーカイブ動画

新しいBingの紹介(日本語/英語)

www.bing.com

Reinventing search with a new AI-powered Microsoft Bing and Edge, your copilot for the web

blogs.microsoft.com

AI の時代を迎えるにあたって: 責任ある AI で未来の発展へ [Microsoft]

https://blogs.microsoft.com/on-the-issues/2023/02/02/responsible-ai-chatgpt-artificial-intelligence/

https://news.microsoft.com/ja-jp/2023/02/07/230207-responsible-ai-chatgpt-artificial-intelligence/

news.microsoft.com

新しいMicrosoft Bingの登録ページ (Waiting List)

※ 日本国内からアクセス不可 トップページにリダイレクトされる。

https://www.bing.com/new?toWww=1&redig=BDD3625CAD0440F99C8F27B212CCC7CB

※ 日本からもアクセスできるようになりました(2月8日午前9時時点)

 

Microsoft広告への影響について

about.ads.microsoft.com

With deeply personalized experiences we expect to be able to deliver even more relevant messages to consumers, with the goal of improved ROI for advertisers. And as usage expands, we expect to see greater volume leading to more opportunities for advertisers to reach their desired customers.

(日本語訳)深くパーソナライズされた体験により、消費者にさらに適切なメッセージを届けることができるようになり、広告主のROIの向上が期待されます。また、利用が拡大すればするほど、広告主が望む顧客にリーチする機会が増えることが期待されます。

 

参考:Googleからの公式発表・公式発言 リンクまとめ

AI の次の重要な一歩 [Google Japan Blog]

https://blog.google/technology/ai/bard-google-ai-search-updates/

https://japan.googleblog.com/2023/02/ai.html

japan.googleblog.com

AI は、このように単一の正解がない質問に対して様々な洞察をまとめることに役立ちます。近い将来、複雑な情報と多角的な視点をわかりやすく整理する AI を活用した機能を検索で公開する予定です。それにより、全体像をすばやく理解し、Web からより多くのことを学ぶことができるようになります。たとえば、ピアノとギターの両方を演奏する人のブログ、初心者として始めるための手順、関連するトピックについての詳しい説明などをまとめて分かりやすく表示します。今後 Google 検索 にこの AI による新しい機能を追加していきます。

 

Sundar Pichai氏(Google CEO)の会話型AIサービスに関する連投ツイート

 

 

AI搭載検索サービスの関連情報

Neeva関連のニュース

www.sem-r.com

 

*1:2009年5月のBingリリース時以来?それくらい珍しいと思う

*2:開発者向けビルドのEdgeが本日公開されるとのこと

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