SEMリサーチ

企業で働くウェブマスター向けに、インターネット検索やSEOの専門的な話題を扱います

米Microsoft Bing、インテリジェントサーチを発表

米Microsoftは2017年12月13日(米国時間)、サンフランシスコで開催した報道関係者向けのイベントにおいて、検索エンジン・Bing の新しい検索機能「インテリジェントサーチ」を発表した。人工知能(AI)を活用して、人々に回答をより速く届けるとともに、包括的かつ完全な情報を届けることを目指す。

同イベントで Microsoft は次の新機能を紹介した。2018年9月現在、以下に紹介する検索機能はいずれも日本語版では利用できない(試したい方は、Bing 検索画面の右上にある言語切り替えスイッチで英語を選択してください)。

インテリジェント・アンサー(Intelligent answers)

インテリジェント・アンサーは米Intel の FPGA で実行する深層学習アクセラレーション(コードネーム:Brainwave)の支援を受けて最先端のマシンの読解力(MRC)を活用している。何十億ものドキュメントを読んで分析してウェブを理解することで、より迅速かつ自信をもって人々が必要な回答を得ることを可能にしているという。Bing は深層ニューラルネットワークを活用して、複数の信頼がおけるソースを集めて回答を検証しており、入手した回答に信頼性を感じられるようにしている。

また、ある話題について包括的な情報を検索で探すためには、複数のソースに当たるために何度もクリックする必要が生じる。こうしたケースにおいて Bing は複数のソースからコンテンツを取得し、まとめて検索結果画面に表示することで検索タスクに要する時間を削減できるようにしている。同社が公式ブログで紹介しているケースでは、"facts about kale" という検索クエリに対して、自然検索結果最上部に "Facts about Kale" という回答枠を表示し、箇条書きで包括的な事実を提示している。

私たちが情報を得るときには、必ずしも1つの疑問(質問)にただ1つの回答があるわけではない。一般人ではなく専門家の意見を求めている場合、ある話題についてさまざまな視点を学びたい場合、集合知を求めている場合などが考えられよう。Bing のインテリジェントサーチは、メリットとデメリットといった、トピックについて権威のある異なる視点があるケースで、評判の良い情報源から2つの視点(本例ではメリット/デメリット)を集約し、検索結果に表示する。同社は例として、「コーヒーは体にいいのか?」(Is coffee good for you?)という検索クエリに対し、"Health effect of coffee"(コーヒーの健康効果)という題目とともに異なる2つの視点のソースを提示している。本例ではどちらの意見も医療機関や研究結果の一部を引用しており、一定の信頼性を担保しているように見える。同社は、世の中には明確な答えが確定しない質問(検索)もあるという前提に基づいた研究開発努力の成果の1つだと述べ、今後もこうした1つの定まった回答がある事柄と、複数の意見や見解がある事柄を明確に区別することを目指していくという。

この技術を応用し、ある2つの事柄についての比較も行えるようにしている。たとえば「ピラティス」と「ヨガ」の違いを知りたい場合(検索クエリとして pilates vs yoga)、主な違いを列挙した回答を検索結果画面に表示する。

Reddit との提携、Reddit の何十億ものコメントから必要な情報へアクセス

Microsoft はオンラインコミュニティ Reddit との提携も発表した。Reddit の月間アクティブユーザーは3億3,000万人で、1日あたり280万ものコメントが投稿されている。本提携により、Bing で Reddit のトピック(たとえば Reddit Aww と検索)を検索すると、Reddit のその日の人気の会話や AMA (Ask Me Anything!)を表示する。また、検索に対する回答として Reddit のある会話がベストと判断される場合、Bing はその会話の詳細を検索結果画面に表示する。

強化された会話検索

検索するうえでのハードルの1つは、必要な情報を得るための正しい検索クエリを見つけることだ。この課題を解決するために何十億のドキュメントのマイニングと会話AI を組み合わせ、インタラクティブな検索を開発し、過去の検索に基づいて最善の回答を得られるようにした。Bing は入力された検索クエリに基づいて候補となる質問を明らかにし、検索クエリを修正することにより最初の検索でベストな回答を入手できるようにした。この技術はまずスポーツ、技術、健康分野関連のクエリに適用され、今後、他のジャンルにも拡大していく計画だ。

コンピュータービジョンを活用したインテリジェント画像検索

Bing画像検索の刷新も発表された。コンピュータービジョンと物体認識技術を活用し、写真や画像内に写っている物体を認識し、詳細な情報を得ることができる。たとえば写真に写っている家具を選択し、類似する家具を探すことが可能だ。また、写真や画像に写っているランドマークを認識し、関連する情報を表示することもできる。

Bing launches new intelligent search features, powered by AI

https://blogs.bing.com/search/2017-12/search-2017-12-December-AI-Update

Everyday AI:主要製品への AI 導入状況を公開

https://news.microsoft.com/ja-jp/2017/12/14/blog-171214-everyday-ai/

Microsoft's Bing* Intelligent Search with Intel® FPGAs

https://www.intel.com/content/www/us/en/programmable/b/bing-intelligence-search-with-intel-fpgas.html?utm_source=Intel&utm_medium=press_release&utm_campaign=Datacenter+-+Awareness&utm_content=NA_MSFT-BINGeditoral&-1041912321.1490247926&erpm_id=4621680&_ga=2.193926637.1538016763.1538101503-1514901659.1538100061

COPYRIGHT © 1997-2021 渡辺隆広(わたなべ たかひろ) ALL RIGHTS RESERVED.

お問い合わせ(お仕事の相談、講演依頼など)

SEMリサーチ(www.sem-r.com)に掲載している文章及び図版の無断使用及び転載を禁じます。著作権侵害行為には厳正に対処します。

免責事項:SEMリサーチは、本記事中で触れている企業、商品、サービスの全て(情報)について、有用性、適合性、正確性、安全性、最新性、真実性に関する一切の保証をしておりません。各自の判断でご利用下さい。