2年ほど前に「SEOの学び方」という記事を公開しました。今回は改めて初級・中級・上級と3つの段階に分けて再整理しました。これからSEO関連のお仕事を始める方、SEOの勉強方法を知りたい方の参考になれば幸いです。
目次
SEOの学び方(初級)
新卒・中途採用等ではじめてSEOの仕事をすることになった人へのアドバイスです。これは私がオリエンテーションや研修初期の場で話すSEOとの向き合い方や学習方法です。
SEOは、Web経験がない新卒にはハードなお仕事
SEO はインターネットの雑学の集合体です。ドメイン、Web制作の一連のフロー、サイト運用管理、コンテンツマーケティング、情報設計(IA)、UX/ユーザビリティ、Web解析、ソーシャル、消費行動や検索行動といったユーザー行動全般、加えてインターネット検索技術に関する知識と、幅広い専門知識が要求されるお仕事です。
新卒でSEOに配属されることをドラクエで例えると、何の経験もないのに最初から賢者やパラディンなどの上級職にさせられて、それなのに戦士や魔法使いといった基本的な知識と経験があること前提で仕事を任されるようなイメージでしょうか。つまり、本人の相当の努力が要求されます*1。
世界中の企業がSEOに取り組んでいる理由を理解する
世界に目を向けると、HP、Intel、IBM、Disney、GSK、PMI (Philip Morris International)、LEGO、Walmart、P&G、Kraft Heinz、GE、adidas、Samsung、Amazon、American Airlines、New York Times、TripAdvisor、Marriott といった有数のグローバル企業から The White House、NCI (National Cancer Institute)、WHOといった政府、研究機関にいたるまで積極的にSEOに投資しています。
ソーシャルメディアに目をやると表面的なことしか理解していない素人によるSEO批判*2も残念ながら少なくありませんが、こうして世界中の企業が推進する程度には自然検索トラフィックがビジネスにおいて重要な位置づけなのです。
だからSEOをこれから学ぶ方は、「なぜ、世界中の企業がSEOに取り組むのか、どういった背景や目的に基づいているのか」をビジネス・マーケティング両面から理解することから始めて下さい。彼らはマーケットを俯瞰的に理解したうえで戦略的に検索マーケティングを設計し、推進しています。そのロジックをきちんと理解してください。
残念ながら日本企業は事業会社・代理店を問わず、こうした歴史的背景や検索マーケティングの理論を教えてくれません。教えられないか、それを説明できる人材が限られているからです。だから幸運にも仕事先の先輩や上司がきちんと理解している方であれば、きっちり教えてもらうとよいでしょう。それは非常に貴重な機会です。
不幸にもそういう人がいなかったら、マーケティング視点でSEOを教えてくれる海外のSEOトレーニングを受講すると良いでしょう。
SEOはオーディエンスと事業の理解から始まる
初めて向き合うウェブサイトのSEOをするときは、そのオーディエンス(ユーザー)とビジネスを理解することから始めます。事業会社・代理店どちらの立場であれ、この姿勢を徹底してください。
SEOは検索アルゴリズムをハックして検索順位を上げるゲームではありません。会社の事業推進のためにSEOというマーケティング手段を活用するのです。その会社(ウェブサイト)のビジネスモデルやユーザーの深い分析と理解を通じてこそ、適切な戦略の方向性が見えてきます。
「SEOはオーディエンスと事業の理解から始まる」この普遍的な原則を忘れないでください。
自分でサイト運営・集客の経験をする
週末などの空き時間に自分でウェブサイトを作って運営してみるのも良い経験です。自分の趣味や好きなことなど発信する情報自体は身近なもので構いません。かわりに、きちんと関連性のあるユーザーに閲覧してもらうために色々試してみてください。
私の経験上、SEO専門家として伸びるための条件の一つは、自分で手を動かすこと、失敗を何度も繰り返して学ぶこと、そして集客がいかに大変であるかを実感してSEOの本質的な重要性を理解することだと思います。きっと皆さんの周りのSEOができる人も、過去にたくさんのウェブサイトを運営してきた経験があるはずです。私もそうです。
身近なものを題材にSEO施策を考えてみる
検索マーケティングの思考訓練も大事です。常に考える習慣を身につけましょう。SEOのスキルを伸ばしたい方におすすめしたいのは「日常生活で偶然知った・目に入ったウェブサイトのSEOを考えてみる」です。
たとえばバスに乗っていてなんとなく窓の外を見ていたら警察署が目に入ったとします。そしたら「この警察署の公式サイトにSEOやるとしたら、何をすべきか」を5分程度の時間制限で考えてみるのです。
警察署では難易度高いかもしれませんが、たとえば「ディズニーランド」「ディズニーシー」「キッザニア」「東京スカイツリー」ならどうですか?何かできそうですが、すぐに思い浮かびませんよね。こういった題材でSEOをするなら何をするか考えてみるのも良い訓練になります。
「この領域だけは、自信がある」というスキルの柱をつくる
SEOは雑学の集合です。さまざまなことに精通している必要があります。また、SEOとは「検索に配慮できるWebの汎用的なスキル」であり「優れたWebサイトを継続的に運用管理すること」でもあります。したがって、次にあげる領域の少なくとも1つについて十分な理解がなければ、SEOのスキルは何の役にも立たないということを知っておきましょう。
- Web制作・開発全般
広く浅くでいいので、新規Webサイトの立ち上げ段階から、実際に公開に至るまでの業務フローと各々の業務の理解があること -
ユーザビリティ/UX
ユーザーにとって使いやすいWebデザインや構成要素について、合理的な理由に基づいた課題の指摘と改善施策を提示できること - Web解析
Webのアクセスデータを分析して、課題の抽出と改善施策を提案できる能力 - コンテンツマーケティング
ターゲットとするオーディエンスの教育・啓蒙・理解をコンテンツを通じて進めながら、最終的に自社の商品やサービスを選択してもらうように促すマーケティング全般の実務理解 - CRO (Conversion Rate Optimization)
サイトを訪問したユーザーに意志決定を促して目的の行動(コンバージョン)につなげやすくする施策
上記いずれかのスキルを身につけて、そこにSEOの知識を融合させると、初めてSEOのコンサルティングが可能になるということです。
言い換えると、単一技能しか持たない人や、「キーワードを元にコンテンツを作成する」といったオペレーション業務しかできない人は将来のキャリアパスが大きく制限されることを意味します。少なくとも外資系企業や日本の大手企業では「キーワードからコンテンツ作成できます」程度の人材は採りません。
SEOスキルを高める、将来のキャリアも踏まえて是非、最初に「自分のスキルの柱」、中核となる専門領域をつくってみてください。
上記のいずれの領域でも構いません。自分が興味を持てる、勉強したいと思う領域を1つ選んで、それなりに詳しいと自信を持っていえる領域にしましょう。その領域ができると、SEOの1つ1つの知識が、業務との関係性を理解した形で、整理して習得できるようになります。
SEOスキルの本質は「検索に配慮してデジタルマーケティングの何かを実行できる能力」です。その「何か」の柱ができると、他の領域との互いの関係性や意義もわかってくるので業務を理解しやすくなるはずです。
上記に挙げた領域は、いずれも1990年代から存在する職種*3であり、現在でも非常に重宝されているものです。どれを選択しても5~10年後も決して無駄になりません。
自分自身もインターネットを活用する
「オンラインで買い物する」「動画を視聴する」「企業に問い合わせをする」といったさまざまなネット利用を自分で経験してください。少しでも興味のあるWebサービスやアプリは積極的に試してください。自分自身がネットを利用をしていないと、他ユーザーの感情変化が理解できません。ネットを積極的に活用する人なら当然のように指摘する「このサイトのここはおかしい」という問題点を問題と認識できないのです。
たとえば、ある企業の公式サイトを訪問したとします。もし会社ロゴやバナーのデザインが大きく崩れていたら「ここ、表示がおかしいな」と思うでしょう。それが自分の会社だったら、担当者に不具合を報告するかもしれません。しかし、ネットに疎かったり日常的に利用していない人は、こうしたデザイン崩れを放置することが「おかしい」と理解できません*4。
ネット利用経験が増えれば自ずと理解できることもあります。SEOはサイトの運用・管理が本質である以上、やはり自分自身がネットをよく使う人間でなければ良いSEOスペシャリストにはなれません。
SEOの学び方(中級)
続いてステップアップ、SEOの学び方・中級編です。広告代理店の新卒入社3年目、または事業会社の5年目相当の方を想定しています。スキルを伸ばすために必要な考え方や視点について説明します。
SEOの全体図を学ぶ
最近は「キーワード調査をもとにコンテンツを作成しています」という業務経験でSEOに詳しいと勘違いしている方が少なくありません。それはSEO全体で見ればほんの小さな単純業務の一つです。
SEOはサイトの分析、市場における競合のテクニカル分析、情報設計(IA)、データベース処理、Web解析、Search Console、JavaScript、レンダリング、検索アルゴリズム、etc... など多岐にわたる業務で構成されています。ステップアップするために、SEOの業務を幅広く経験してみましょう。新卒時代はキーワード調査に基づいた作業をするのも仕方ありませんが、将来のキャリアを考えるならSEOの工程を一通りこなせるほうが選択肢が広がります*5。
英語
SEOの仕事を続けたいのであれば、是非英語を学んで下さい。世界のSEO人材が使う最も多い言語が英語です。英語ができればアクセスできる情報ソースが格段に広がります。SEOに限らずCROやコンテンツマーケティングのフレームワークやトレーニングを受けたり、海外のSEOスペシャリストと議論して学ぶことができます。
英語情報を日本語で紹介してくれる方もいますが、実務経験がない人の翻訳は本質的に重要な事項の説明が欠けていたり、間違った文脈で紹介しているケースも目立ちます*6。私は前職時代、お客様から日本語のSEO記事を見せられて「いえ、ここの解釈が間違っているから」というやりとりを何度もしました。英語が苦手だとこうした間違いにすら気がつけません。
英語ができるとSEOを学ぶ機会も得られる情報の質も量も格段に増えます。だからステップアップしたければ是非、英語も頑張って下さい。
ケーススタディ(他社事例)を研究する
国内外さまざまな企業がSEOに取り組んでいます。そうした他社の事例を研究する機会を作りましょう。どんなSEO施策をしているのか、なぜそれをやるのかといった仮説を立てたり、SEMrushやGoogleトレンド、DS.INSIGHTなどのデータを使って検索トレンドや各社のSEO施策の状況を自分で研究することでさまざまな学びが得られます。
英語圏ではTwitterやブログ、あるいはウェビナーなどでインハウスSEO担当者が自社のSEOについて語っていることがあります。こうした実務の話も勉強になります。疑問があれば直接質問するといいでしょう。案外、返答してくれます。
注意点は、広告・プロモーションコンテンツとして作成されたSEO事例です。担当者の思い込みで因果関係が説明されていたり、プロモーションのために都合よく真実が歪められていることがあるので、うのみにすると間違ったことを学ぶはめになります。私は記事広告のSEO事例はまったく参考にしません。
他人にSEOを教える
アウトプットする場を作りましょう。勉強会で発表するもよし、同僚に教えるのもいいでしょう。誰かにSEOを教える時間を作ってください。
人にSEOを教えるのは難しいです。自分が十分に理解していないと教えられないのです。曖昧だったこと、自分でも言語化できなかったことはその場でメモして、自分であとで調べ直して情報を整理します。これを繰り返すだけでもSEOの知識が体系化され、深く意味を理解できるようになります。
Googleが公開しているドキュメントに全部目を通す
GoogleもBingも検索マーケティング業務をするウェブマスターのためのさまざまな情報を提供しています。最低でも「Google検索セントラル」で公開されている公式ドキュメントは全て目を通しましょう。可能であれば、Bingのウェブマスター向け資料も全部読みましょう。
SEOは何かを行えば必ず結果がついてくる仕事ではありません。しかし、正しい知識に基づき、適切な分析手順に従って候補の施策を提示するという「施策提案のための正しい手順」の再現性を高めることができれば、自ずと結果がついてきます。
この施策の再現性を高めるためにも基本的な知識を身につけることは重要です。かなりの分量がありますが1ページずつ読んでいけば2年くらいで全部目を通せるはずです。努力をするなら正しい手順で努力をしましょう。
失敗してもいいので、施策を実施する
SEOは必ず成果が出るとは限りません。すぐに結果が出るものでもありません。また、ある施策を行った時に果たしてどれだけの効果があるか予測することも難しいです。つまりわからないことだらけです。
わからないからこそ、失敗してもいいのです。施策をする時に「この施策をしたら、こういう変化があって、検索トラフィックがこのように変化するんじゃないか」という仮説を必ず持って実行して下さい。失敗した、上手くいかなかったらきちんと検証・反省して次に活かせばいいのです。いま最前線でSEOの専門家として活躍している方も100%の精度で良い施策ができたわけではありません。私も同じく何度も失敗して今があります。
ただ、施策を行わないことには学べません。だから成果が少しでも出せそうな仮説が立てられるなら積極的に実行してみましょう*7。
「今は学ばない」領域を決める
SEOのために学ばなければならない領域は広すぎます。私は全方位でわかるSEOスペシャリストを目指してがんばりましたが、他者にはとても勧められません。1日24時間ではとても足りません。
だからこそ「いまは学ばない」ことを決めて割り切るのも重要です。私も過去「ケータイSEO」と「AMP」「構造化データ」は切り捨てました。前者2つは将来性がなさそうなことは明らかだったこと、構造化データは仕様が決まっているので必要な時に学習すれば十分だと判断していったん忘れました。
こんな感じで、たとえば将来性がないかもしれない canonical や hreflang、まだまだ時期尚早な音声検索など、学ばない領域を決めてみましょう。
人が検索する理由を考え続ける
キーワード調査ツールやGoogleトレンドを見ると、世界中の人々がいろいろな検索語句を使って検索していることがわかります。では、人々は何が理由で検索するのでしょうか。これを考え続けてください。
検索行動が発生するということは、それを誘発した要因があるのです。人々はある目的を達成するために何度も検索語句を変えながら検索しますが、その検索はなぜ誘発されたのでしょうか。これを常に考える習慣をつけましょう。
人が検索する文脈や背景、場面が描けるようになると、SEOの活用の幅が広がります。
検索を深く考えるためのアイデアを1つ紹介します。Googleアカウントの「ウェブとアプリのアクティビティ」には自分の過去の検索閲覧履歴が記録されています。1週間に1度くらいでいいのでこの履歴を振り返ってみてください。「あれ!私なんでこれ検索したんだっけ?」という検索履歴がきっと見つかるはず。そのときの自分の感情や状況を思い出して下さい。人が検索にいたるきっかけの面白さがわかるはずです*8
「SEOという小さな世界」で物事を考えない
SEOの仕事は視野の狭さとの闘いです。検索エンジン・Googleという巨大な存在がいるからこそ、どうしても検索アルゴリズムを中心とした世界で物事を進めてしまいがちです。これは誰もが通る道でしょう。私も苦労しました。
強制的に視野を広げる努力が必要です。SEOの視点で見ると難しい問題も、まったく違う視点で見ると簡単に解決できることはたくさんあります。SEO専門家だからこそ、目の前にある問題は「SEOの問題ではない」と言えることが重要です。
参考までに、私がこの「SEO脳」を避けるために過去に実践したことは次のことです。
SEO業界の人"だけ"が集まる場への参加は極力控える
同質な人と交流を重ねるとフィルターバブルに飲み込まれやすいため、業界人だけが集う場への参加を控えました*9。かわりに大学教育関係者の集いやグロースマーケティングのパーティーなど、隣接または畑違いの人たちと会話する時間を増やしました。こうした場に行くと、自分がいかに勉強不足で無知であるか思い知らされるので良い刺激になります*10。
異なる分野を学び、自分の仕事を客観的に考える力を養う
視野を広げるために興味関心のある領域を積極的に学びました。たとえばMLB球団のひとつ、タンパベイ・レイズのプロスペクト(若手有望株の選手)育成・スカウティング理論を学習しました。レイズは球団全体の年俸予算が他球団と比べて格段に低い一方、毎年コンスタントに優勝争いをしているチームです。それが実現できる理由のひとつに、柔軟でクリエイティブな発想に基づいた球団運営がおこなわれている点が挙げられます。私はそこに興味を持ち、さまざまな文献や関係者の話をうかがって勉強しました。SEO教育・研修の場ではこのフレームワークを一部応用しています。
SEOは、検索エンジンを中心に考える癖がつくほど問題解決能力が鈍くなります。どんな方法・手段でも構わないので、この「SEOを中心に考える癖」を取り除くなんらかの努力を続けてください。その努力が長期的にあなたの財産になるはずです。
検索エンジン中心の考え方をできる限り排除する --- これはSEOの仕事を続ける限り決して忘れてはいけない姿勢です。次の上級編でもふたたび触れます。
SEOの学び方(上級)
上級レベルを目指す方なら勉強方法など自分で模索するかもしれませんが、ここでは私の経験から意識してほしいことを述べます。
SEO上級者の定義:Webサイトの現状分析と課題の抽出から、戦略の立案、目標設定、施策、実装、効果測定~の一連の作業を自分で遂行できる能力を有する人。テクニカル、ビジネス、マーケティング 3つの領域でSEOの課題解決ができる能力と定義したうえで話を進めます。
SEOのスキルを伸ばすための最低条件
SEO業界で26年働いてきて、世界中の様々なSEOの専門家やSEO関連業務を行うマーケティングやWebサイト運営者たちと会ってきました。また、彼らが発信した情報に触れたり、講演を拝聴してきました。その私の経験を踏まえて、本当にSEOができる人というのは少なくとも次の条件は備えていると考えています。
- Webがとにかく好き
- 複数のスキルを持つ/複数の業界で働いた豊富な経験がある
- 自分の頭で考える、自分で手を動かす
Webがとにかく好き
SEOというのは「サイトの継続的な運用と管理」に尽きるので、検索エコシステムの理解からWebサイト開発・制作・管理・運営に至る様々な技能が要求されます。日本人SEO専門家の一人である辻正浩(@tsuj)さんがかつて「SEOは雑学の集合」と表現*11したことがあるのですが、本当に広範囲にわたる物事の理解が要求されます。
だから、少なくともWebが好きで、いま何が流行しているのか、どこで炎上が起きているのか、どんなWebサービスやアプリが生まれたかなど、インターネットの流行についても敏感であることが必然的に要求されます。逆にWebが好きでない人、仕事だからWebに触れているような人はSEOの仕事は向きません*12。SEOは飽くなき好奇心と探求心がなければやっていけない仕事です。
複数のスキルを持つ、または複数の業界で働いた豊富な経験がある
私が駆け出しのころの2000年当時、「この人はすごい」という印象を受けたSEOの専門家は共通して、40~50代、前職がマーケティングまたはセールス関係、Webに携わるのがSEOが初めてという共通点がありました。当時はそのバックグランドに興味があり、その何人かと一緒に仕事をさせてもらったこともあります。
その経験で理解したことは、SEOそのものを扱うのではなく、SEOを活用してどう事業に貢献していくかという思考で一貫して仕事していたことでした。だから私も彼らに見習って、SEO以外のスキルも継続的に磨くように努力してきました。
要は、SEOだけを考える近視眼的な要素を排除し、自分が持つさまざまな知識や技能を応用しつつ、ビジネスを考えながらSEOの仕事に取り組む能力が求められるということです。
SEOはどうしても検索エンジンと検索順位を中心に考えてしまいがちです。この視野の狭さは、何でもかんでも「SEOの理屈」や「検索技術の理屈」を中心に物事を考えがちになり、本質を見失わせ、自分自身の成長の阻害要因になります。
この思考から脱却するためには中級編で述べた通りです。SEO以外のことも幅広く学び、ビジネス全体を俯瞰しながらSEOの位置づけを考える習慣を身につけることです。他の専門領域を学ぶと、SEOを客観的に捉えられるようになり。自分が貢献すべきこと、やってはいけないことが自ずと明らかになります。
2022年現在もSEOの分野で活躍されている方の多くは、Web解析やWebデザイン、データ分析、エンジニアといったWeb関係の他スキル、あるいは全く別業界の専門知識を持っている方が大半だと思います。私自身もCRO、行動科学、コンテンツマーケティング、マーケティング全般、ウェブ開発など互いに応用・活用できるスキルを一通り学びました。
自分の頭で考える、自分で手を動かす
私がもっとも嫌いなウェブ関係者は、Googleが○○というから○○だ、Googleが○○といったから○○が正しいんだと、思考停止してGoogleの主張をそのまま代弁している人たちです。たとえば、GoogleがHTTPSを推進しはじめてから急に、いままで利用していた政府関係のWebサイトを見て「今時HTTPなんて怖くてアクセスできません」などと話すような人は本当に頭が悪いと思いました。Googleの発言前後で、そのサイトにアクセスすることのセキュリティリスクはいったいどれだけ変化したのでしょうか*13。
2022年現在、Googleはウェブマスターとのコミュニケーションを増やしており、皆がより良いウェブサイトを構築することを支援するためのアドバイスを提供してくれます。私もお世話になりました。しかし、Googleが言うから正しいのではありません。
検索技術関連の技術的仕様はともかく、WebサイトのUX/UIや情報設計(IA)、デザイン、コンテンツ、ナビゲーションなどに関することは、Googleがルールを決めることではありません。WebデザインやUI/UXなどインターネットの諸々の事情や背景を考えたら導き出せる複数の最適解の1つを、Googleが紹介しているにだけです。だから大切なことは、Googleが何を言ったかではなく、なぜその結論になるのか背景理由を自分の頭で考えて理解することです。背景と理由を理解することを徹底すると、適切な施策の再現性が高まるので、SEO施策の成果も出やすくなります。だから、事実ではなく文脈や背景、理由をきちんと学ぶことが何よりも大切です。
SEO初心者の多くは「○○は順位に影響がありますか?」といった質問をしてきます。まず『順位が上がる・下がるを価値判断基準にしないこと』という原則を学べば、類似問題は自分で解決できるようになります。理由を学ばない人は、延々と「では○○すると順位が良くなりますか?」という質問を繰り返すだけで成長しません。
自分で手を動かすとは、Webサイト運営を実際に運営して集客を増やすための努力をしてみましょうということです。あるいは TikTokやInstagramのアカウントを開設して、オーディエンスを増やすための施策を自分で経験してみましょう。TikTokやInstagramは検索と関係なさそうですが、「ターゲットオーディエンスとどのようにエンゲージメントを増やすか」を検討するための好材料です。
SEOの情報や講演で多くの人が「ユーザーにとって役立つサイト作りに徹すれば良い」と耳にタコができるほど聞かされているでしょう。これは初心者を含む不特定多数の人に向けてSEOの一般的な施策方針を話すのであれば、汎用的なこの文言でしかアドバイスのしようがないという事情があるからです。これ以上具体的なアドバイスに触れると、そのケースにピタリと当てはまる担当者には刺さるかもしれないが会場にいる9割以上の人には何の役にも立たない情報になるか、誤解を生む可能性があります。
つまり、各々にとっての最適解は自分で探すしかないということです。あなたにとっての最適解をGoogleは決して教えてくれません。それを探すためには自分でWebサイトを運営して、様々な実験を重ねて、そうした能力を習得するしかないのです。
SEO上級者を目指すためのアドバイス
以上を踏まえたうえで、現在SEO初心者~中級者くらいの方がスキルを伸ばすために役立つかもしれない具体的なアドバイスを、私の経験を踏まえながら述べていきます。ちなみに以下に述べることは26年間一貫して守っています。「それは普通無理だろう!?」というものが含まれているのは承知のうえで紹介します。
Googleの講演を聴いた直後に、それを再演する
最初に一番難易度が高いと同時に自分の理解力を測る方法を紹介します*14。Google主催あるいは他社主催でGoogle社員がスピーカーとして検索技術やSEOに関連する話題について講演することがあります。Googleの講演は、あえて真実に触れないことはあっても嘘は言わないという特徴があります。また、一般のウェブマスターが理解しやすいように配慮した大変わかりやすい内容になっています。これを教材として活用しましょう。
講演を聴いたあとに、自分が講演者として同じ内容を話す訓練をします。具体的には、次のステップで行います。
- ポッドキャストやYouTubeで良いので、Googleスピーカーの講演を最初から最後まで聴く
- 終了直後(繰り返すが、直後だ)に、「そのスピーカーが急病のため代わりに自分が代役スピーカーに呼ばれた」と仮定して(別にどんな仮定でもいいが)、その講演と同じ内容を、適宜自分の頭で咀嚼しながら、同程度の時間で全部話す。直後の再演が難しすぎるのであれば、頭を整理して一晩おいてからやってみても良い。思考の瞬発力を鍛えるためにも「直後」をチャレンジしてみてほしい。
- あやふやで説明できないこと、自分でよくわからずに説明しているところなど不備があるところは適宜メモしながら、最後まで通す Googleと同等程度の品質で最後まで講演できたら合格
- わからなかったところは再度聴いて理解したうえで、翌日、もう1回チャレンジ。
Googleが話す内容は初歩的な事柄が多く、SEOの仕事をするなら十二分に理解していて当然の内容です。だから上記のステップ(講演直後に間髪にれずに再演)で問題なく話ができるようなら、自分の頭で十分に理解できていると判断する目安になります。全然できない、つまりアウトプットできないなら何となくわかったつもりになっているだけなので、どこがわからなかったか整理してもう一度理解しましょう。
ちなみに私はGoogleのウェブマスター向けの講演なら、初めて聴いた講演でもその直後に100%以上の精度で再演できます(断言)。100%「以上」というのは、Googleが立場的に触れられない箇所や、あえて真実を話していない箇所を補足して説明できるからです。
情報を覚えるのではなく「なぜ」を常に考える
「魚それ自体を求めるのではなく、魚の釣り方を学ぶ」という話です。たとえば『2020年現在、画像にalt属性のテキストを記述しても自然検索順位には関係ない。無視できるほど小さな影響しかない・・・』といった情報があった時に、「altにテキストを書いても順位は改善しない」という情報を覚えるのではなくて、なぜaltのテキストを検索エンジンが無視するのかという検索エンジンの歴史的背景や理由の観点から、合理的に説明できるように理解することが大事です。
これは本記事前半で触れた「Googleが言うから正しい」という思考を捨てよという話とも関係します。繰り返しますがビジネスやマーケティング領域のSEO関連のルールは、Googleが決めることではありません。また、その90%はGoogleに質問しなくても適切な解にたどり着けます*15。残りの10%は、Googleの仕様が明確にならないと自信を持った意志決定ができないケースがあるためですが、それは世界中の誰にもわからないのでまったく問題ありません。
検索のエコシステムには「検索エンジン」「検索利用者」「Webサイト(運営者)」の三者がいます。この三者全員が幸せになる状態が、限りなくSEOの正解に近づきます。だから常に、この三者の利益を考慮して合理的な理由を考えるようにすると、自分で正解にたどり着けるようになります。
この理由と背景を考える訓練を積み重ねると、たとえばページ読込速度がランキング要因の1つであっても微々たるものの1つでしかない理由はなぜなのか、なぜ検索エンジン各社はcanonicalという仕様を策定したのかなど、同様の事象や問題も自ずと自分で答えを導き出せるようになります。インターネット上のあるSEO関連の情報の信頼度や正否も、自分で瞬時に判断できるようになります。Google Webmaster Office Hour やSMX などで行われるウェブマスターとのQandAセッションが退屈だと感じられる瞬間が来たら、それが成長した証です。
2000年前半に一緒に仕事をしていた米国のSEO専門家が、さまざまなウェブマスターからの質問にいつも丁寧に、明確な理由を説明したうえでアドバイスをしているのを見て感心したのをきっかけに私も見習ってきました。社内研修や勉強会、外部講演でも必ず背景と理由に触れて体系的に理解してもらうように心がけています。その方が応用力が育つからです。
最後に注意点を挙げます。この訓練方法には欠陥が1つあり、自分で考えた理由は適切なのか判断する方法を持っている必要があります。もし社内の人間や周りの知人・友人で気軽に相談できるSEOに詳しい人がいれば手伝ってもらえれば良いのですが、いない場合は・・・論理的に物事を考えることが苦手な場合は、避けたほうがいいかもしれません。Google Webmaster Office Hour (英語、ジョン・ミューラーさんが開催しているもの)は、あやしい説明も時々あるけれど参考にはなるかもしれません。
悪いSEOをしているWebサイトも研究する
SEOができる人はスパム手法にも詳しいです。自分でやっているか否かは別として、詳しいという点でいままでの経験上、例外は見たことありません。ホワイトハットとブラックハット両方の事情に精通している方が、何が最適な施策なのか、何をどこまでやればいいのかというさじ加減を判断する能力が養われるからでしょう。
普通に仕事をしていれば真面目にSEOに取り組んでいるWebサイトの研究はできると思うので、問題は悪い方をどうするか。一番楽なのは、スパムをしているサイトを見つけて毎日観察することです。私は現在でもいくつかのスパムサイトを毎日監視しています。。
お行儀が悪い業界*16というのは昔から変わらないので、長期間観察するのに向いています。あるいは、ブラックハットな情報のやりとりをするアンダーグラウンドなコミュニティに参加しても良いでしょう。欧米にはブラックハットのオンラインコミュニティがあります。
無差別に(名刺交換しただけで頻繁に営業メール送ってくる会社も含む)SEO商材の売り込みメールを送ってくるSEO関連会社は、ブラックな手法で自社メディアを運営しているケースがわりとあります。迷惑メール送信する程度にモラルがないのでスパムに手を染めている確率はむしろ高いといえます。迷惑メールだからと即削除せずに当該会社の運営メディアを探して定期監視するという方法もお勧めします。
私は、昔はスパムで悪名高いSEO会社が運営するメディアやその顧客企業のWebサイトを監視対象にして研究していました。最近は面倒くさくなったので代わりにブラックハット系のコミュニティを暇な時に見て勉強しています。
様々な実験を行いながら学ぶ
SEOは正解がないので、自分がかかわるWebサイトにとって最善施策は自分で探すしかありません。だからこそ、自分で探さなければならない答えを、まったく関係ない第三者が執筆した書籍やインターネットの情報、セミナーなどの場で求めるという姿勢自体が間違っています。SEOはWebサイト管理と運営なのだから、そのへんに正解が転がっているはずがないのです。
結局のところ、A/Bテスト、あるいは運営サイトの一部を利用して何らかのテストを実施して得られたデータから自分で学ぶことを繰り返すしかありません。仮説を考えながら、Webページやサイトの一部を修正・改修して、検索流入がどのように変動するのかを探って自社データを集めながら、試行錯誤することでしか自社に適した改善施策は見つけられないのです。
問題が発生しているWebサイトの原因探し行う
インターネットを利用していると、検索エンジンでの掲載状況に問題があるWebサイトに遭遇することがあります。この時に、他人毎にしないで自分が当事者だと仮定して、原因の追及と対処方法を考えてみるのも良い思考訓練になります。特に検索流入に直接影響がある問題が突如発生した場合は、立場(事業会社、代理店双方)を問わず速やかな対応が要求されるので、思考を鍛えるためにも練習になるでしょう。
これらはSEOが好きな人は無意識にやっているかもしれない(何か別のことをしていたのに、いつのまにかSEOの仕事していた、とか)。私はページの不自然な空白をみつけると無意識にキーボードの ctrl+a (全部選択)を押してしまいます。
おまけ1:意味不明な専門用語を使わない
自分が使う専門用語は、第三者に具体的な意味と定義を伝達できるか自問することです。同時に、業界で一般的に使われない独自考案の専門用語は使わないようにしましょう。他人に説明できない専門用語は、自分が具体的に理解しきれていない、ふわっとした概念を専門用語に置き換えてわかった気になっているだけの可能性が高いからです。独自考案用語は、同業者との意思疎通に苦労するのでやめた方がいいです。
たとえば「ドメインパワー」という用語を使って質問されたら、私は必ず「ドメインパワーとは何を指すのですか?」と質問で返します。そして大抵、答えられない。社内で新卒研修をする時、新人が何らかの専門用語を使ってきたら必ずその意味を説明するように要求しますが、大抵は説明できません。顧客に提出する資料で見慣れない専門用語や、どうとでも解釈できる用語が出てきた時にも私は指摘するのですが、やはり説明できないのです。
こうした経験から、専門用語を使う時は別の言葉で言い換えて説明できるか確認する習慣をつけると、個々の概念の理解や整理に役立つと思います。専門用語は大切に扱いましょう。
おまけ2:Google社員の発言は意図・趣旨・背景を正確に理解する
「Googleの説明によると~」「Googleは~を推奨しています」といったGoogleをソースとする発言はある種の業務推進力があります。Googleがそういうなら~とSEO以外の関係者をそれっぽいエビデンスで納得させやすいのです。
それゆえに、Google社員の発言を引用するときは趣旨を正確に理解して使いましょう。間違った解釈のまま業務を進めると悲惨なことになります。Google日本人社員の発言であればそのまま日本語で読み取って構いませんが、元発言が英語など他言語だった場合は必ず原文を確認する習慣をつけてください。
おまけ3:参加者属性が制限された勉強会に参加する
SEO関係の講演者が口を揃えて「ユーザーの役立つサイトを作りましょう」という結論で話を終わらせるのは、不特定多数のいる場ではそういう抽象的なアドバイスしかできないからです。10人くらいの小規模勉強会ならともかく、100人もいたら具体的なアドバイスは不可能です。さらに、初心者の多くは何か特定の施策によって簡単に検索順位が上がると考えている人もいるため、彼らに正しい認識を持ってもらうためにもユーザーのための~(略)~としか言いようがないという事情があります。
この初心者配慮に由来する問題は大きなイベントほど深刻です。SMXやPubConが近年つまらないといわれるのは*17、あの規模のイベントになると毎回一定割合の初心者も参加するため、スピーカーもそこに配慮せざるを得ないからです。その結果、例の結論に終始せざるを得ず、業界歴が長い人ほど退屈に感じて離れてしまうのです。
見方を変えると、参加者が制限されたイベント(交流会的な小規模なもの)なら案外突っ込んだ会話はされているということです*18。
だから、もしSEO業界で同業界あるいは同規模のインハウスSEO担当者の知り合いがいるなら、仲間内で定期的な勉強会を開催したほうがお互いに勉強になると思います。口外禁止の約束のもと、互いに課題や質問を持ち寄って議論すれば有意義な時間となるにちがいありません。
私も欧米の知り合いの方と不定期ながらオンラインでSEO雑談していますが、大金払ってイベント参加するよりずっと意味があります。
最後に
私はこの26年間、さまざまな機会で人にSEOを教えるという経験をしてきました。その経験を踏まえて、きっと多くの人にも役立つであろうことをまとめてみました。人によって好き嫌いや合う・合わないはあると思いますので全部意識する必要もありません。でも、ちょっとでも参考になるものがあれば今日から少し意識して仕事をしていただければ幸いです。
追記
2022/08/26
タイトルから「2022年版」を削除しました。SEOの考え方や勉強方法について普遍的な原理原則を記載したので、今後5~10年にわたり活用できる道しるべになるだろうと考えました。
2022/08/26
新規に項目を追加しました。
*1:自分が20代のころ、1日22時間くらいPCに向き合ってた記憶がある。ただし「SEOの勉強」というより趣味の延長だったから楽しかった。楽しめること大事。
*2:どこの国でも一定の割合でSEOが嫌いな集団がいます。SEOは確かに理解し難しいし、SEOを悪用した事例が目立つからネガティブな印象を持たれるのも仕方がない。SEOが世間一般で話題になるときは何らかの不祥事が起きたときばかり。
*3:CROの前身に相当するのがLPO (Landing Page Optimization)だが、LPOは2000年頃の登場。
*4:新卒の一部で観察される。もっとも新卒はまだ許せる。役員クラスでこのレベルの幼稚さがあると致命的。前職末期は本当に困った。
*5:SEOドリブンなコンテンツ作成業務をしているなら、最低限、報道機関や出版社での業務経験相当の日本語文章作成能力やトピックに関する調査・取材能力がなければ次のキャリアは描けない。こうした業務をしている人で転職を考えているなら、自分のライティング能力を客観的に評価してほしい。
*6:翻訳されているときは必ずソースを確認する習慣をつけること。多少の誤訳はどうでもいいが、言及すべき前提や文脈に触れずに結論だけ日本語で伝えてしまうと異なる解釈が生まれてしまうことがある。英語ソースに直接触れずにSEOの勉強をしている方は、この問題に気がついていない。それが問題。
*7:このアドバイスは結果責任が問われない職場環境であることが前提です。結果だけで評価されてしまう場だと難しいので、個人でサイト立ち上げて実験するしかありません。ちなみに私は社内のメンバーに対して分析過程の不備は指摘しますが結果責任は問いません。
*8:可能であれば、家族や知人のウェブとアプリのアクティビティを見せてもらうといい。他人の検索履歴は絶対楽しい。同じ検索サービスを使っているのに検索方法がいかに異なるかという事実を知ると検索の考え方が変わる。
*9:でも楽しいから、ときどき参加する
*10:同業者との交流だからこそ学べることがあるのも事実。だからSEO業界関係者の飲み会や展示会等に参加すること自体は決して悪いことではない。要はバランスの問題。
*11:私もこの表現が好きなので拝借させて頂いている
*12:Webが好きじゃない時点でWebの仕事するなと言われたらその通りなのだが、仕事だからと割り切ってできる仕事と、そうでないものがある。SEOは日頃のWeb利用時間そのものがスキルに影響するので、嫌いだとどうにもならないと思う。
*13:HTTPS推進に反対しているわけではなく、「Googleが言うから従う」のは思考停止でありマーケターの仕事のあり方ではないという話をしている
*14:この話は、個人的に英語講演用のスピーキングやシャドーイングの練習目的で行っているのだが、理解力を試すうえでは日本語でやっても十分役立つと思うので紹介している
*15:私は自分の講演(社内外問わず)でGoogleの発言を引用することは、まずない。論理的に考えれば自ずと到達できる答えを説明するのに、わざわざGoogleの発言を引用する必要性がないからだ。Googleの発言を引用しながら資料作ると「専門家っぽさ」が出せるのだが、これ本当にエビデンスとして引用する必要性があるのかを立ち止まって考える癖をつけるとSEOに必要な思考力は鍛えられると思う
*16:SEOと相性が良いコンプレックス系商材のアフィリエイト界隈を観察する、など
*17:古くからの海外の友人・知人は誰もこれらのイベントに参加しなくなったし、私も大規模のSEO系カンファレンスは日本からの渡航費や宿泊費等も考慮するとまったく割に合わないので参加していない。スピーカーも高度なSEOの知識と経験を持った人が登壇しないため、品質が期待できないのだ。どうせ参加するなら規模が小さめのものをお勧めする。こちらの記事を参照のこと「海外カンファレンス SEO系セッションの選び方 - SEMリサーチ」
*18:私も参加者が限定された小規模イベントなら、突っ込んだ話をしている