Web サイトへの集客に対してリスティング広告は、最も一般的な手法の1つだろう。オーバーチュアや Google などのリスティング広告媒体から提供される運用データを眺めつつ、日々その効果向上に努めている方も多いことと思う。
また、リスティング広告も含めた各種マーケティング施策の効果を測るために、Google Analytics や SiteCatalyst などの Web 解析ツールを導入するというのも定着してきた。
もし、あなたがリスティング広告と Web 解析ツールの両方を使用している場合、それらのデータの「調合」を試してみたことはあるだろうか。実はそうして得られるレポートには、マーケティング施策のヒントを含むものが数多くある。本稿ではそれらのレポートの作成方法をいくつか紹介する。その中から、少しでも成果向上へ向けたヒントを見出してもらえれば幸いである。
■未出稿のお宝キーワードレポート
・レポートの説明
自然検索からの流入で成果を挙げているが、リスティング広告で出稿していないキーワードのリスト。これらのキーワードを追加出稿することで、成果数向上が見込まれる。トレンドに合わせて直近で伸びてきたキーワードの洗い出しにも有効。
・用意するデータ
リスティング広告:出稿中キーワードの一覧 …(a)
Web 解析ツール:自然検索からの流入キーワードで成果(コンバージョン)に結びついているキーワードの一覧 …(b)
・作成法
(b)-(a)= 未出稿のお宝キーワードレポート
・使用上の注意
追加するキーワードの表示回数や CPC によっては、成果よりもコスト負担の方が大きくなってしまう可能性があるので、出稿後の費用対効果チェックは必須。
■SEO 注力候補キーワードレポート
・レポートの説明
リスティング広告で成果が挙がっている一方で、自然検索での流入が発生していないキーワードのリスト。これらのキーワードの SEO に注力することで、効果的に成果を伸ばせる可能性がある。
・用意するデータ
リスティング広告:出稿中かつ成果数の挙がっているキーワードの一覧 …(c)
Web 解析ツール:自然検索からの流入キーワード一覧 …(d)
・作成法
(c)-(d)= SEO 注力候補キーワードレポート
・使用上の注意
注力するキーワードの検索回数によっては、さほどの効果が望めないケースもあるので慎重な見極めが必要。
■自然検索のクリック率レポート(Yahoo! 版)
・レポートの説明
Yahoo! における自然検索のクリック率レポート。これらの数値と実際の表示順位を照らし合わせることで、施した SEO の成果確認や、今後の順位変動に基づく流入数変化をある程度予想することが可能となる。Yahoo! のブレンド検索がサイトへの流入に与える影響を確認できる可能性もあり。
・用意するデータ
クリック率を確認したいキーワードのリスト(*1)…(e)
リスティング広告:(e)の各キーワードにおける入札単価を最大値にした場合の予想表示回数(*2)…(f)
Web 解析ツール:(e)の各キーワードにおける自然流入件数 …(g)
(*1)自然検索での流入実績があるキーワードであること。
(*2)スポンサードサーチ管理画面の予測機能より取得。
・作成法
(g)/(f)= 自然検索のクリック率((e)の各キーワードごとに算出)
・使用上の注意
(f)のデータは Yahoo! 上での検索回数と完全には一致しないので、ある程度の誤差があることは事前に見込んでおく必要あり。
執筆:株式会社アイレップ Web 解析グループ 高木龍平