検索エンジンから顧客をつれてきただけで満足しているオンラインショップの運営者は少なくありません。SEO や PPC が注目されているからといって、他のことがおそろかになっていませんか?
SEO や PPC を導入している企業でも、まだまだ「上位に表示すること」あるいは「トラフィックを集めること」だけに関心をよせ、そのトラフィックがどれだけ取引に結びついたのかの割合(コンバージョン率)や、その費用対効果(ROI)に目を向けている企業はほんのわずかであることが実態です。SEO や PPC を従来型のマスメディア広告と位置づけてそれで満足していることが原因でしょう。SEO も PPC もキーワードによって見込み客にピンポイントに的確な情報を提示するところにその媒体特徴の本質があるにもかかわらず、です。
米Gardner Groupの調査によると、50%のユーザーはある情報を探しにWebページを訪れても、欲しい情報を見つけ出すことができずにブラウザのバックボタンを押してしまうそうです。半分の顧客が帰ってしまうのは、ユーザビリティやサイト内のクリックストリーム、取引完了までの手続きの煩わしさなど様々な問題があるといわれています。
これを検索エンジン、とりわけコストが明白になるペイパークリック広告(以下、PPC)を例にとって説明しましょう。
仮にクリック単価(CPC)が100円のキーワードを利用してサーチトラフィックを集め、そのキーワードのコンバージョン率が4%だった場合と25%だった場合の誘導クリック(Initial Click: Webサイト内にユーザーを呼び寄せるためのクリック)と決済クリック(Final Click: 取引を成立させる一番最後のクリック)の費用ギャップを計算しましょう。100クリックあたりに発生する費用ギャップは次のようになります。
CPC=¥100とする | ||
/ | Initial Click | Final Click |
Conversion 4% | ¥10,000 | ¥ 2,500 |
Conversion 25% | ¥10,000 | ¥ 400 |
このようにコンバージョン率によって誘導クリック単価と決済クリック単価に大きなギャップが生まれていることがわかります。コンバージョン率4%の場合、Webサイトまで誘導するためのクリック単価が100円なのに実際に取引が完了したユーザーのクリック単価が25倍に跳ね上がっています。一方、コンバージョン率が25%であれば取引完了したユーザーのクリック単価は4倍に収まっています。
検索エンジンを利用することで、企業は、見込み客が自社の商品やサービスについての情報を探し始めたその瞬間に適切な情報を提示することができます。また、キーワードによって情報を表示する顧客を絞り込むことで売上げに結びつく質の高いサーチトラフィックを集められます。これが検索エンジンマーケティング(以下、SEM)が重要視されるようになった理由です。しかし、ここまでの段階はあくまでトラフィックをWebサイト内につれてきただけにすぎず、実際に希望する取引を行ってくれるかどうかはWebサイト次第なのです。ユーザビリティが悪い、サイト内導線が悪い、実際に探し求めていた情報がWebページ内には存在しなかった、決済手続きが面倒くさい、手続き途中で気が変わった、など様々な原因が潜在するでしょう。こういった、ポスト(誘導)クリックの後のことにも目を向けなければ SEM の効果を高めることはできません。先にあげたコストギャップのように非常に高いクリックコストが発生していれば、下げる努力をする(ここでは、誘導クリックと決済クリックのギャップを最小限にする)ことが求められるのです。
「広告費用の垂れ流し」という考え方を改める時が来ているのです。