SEMリサーチ

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SEO:ツールごとのバックリンク数の違い

OKWaveを眺めていたら、次のような質問が投稿されていました。

現在webサイト更新業務を行っている者です。SEO対策を任されておりまして、自社で所有しているwebサイトのバックリンク数をSEOTOOLSで調べておりました。するとバックリンク数がとても少ないことになっていました。(別ツールでは約4000だと表示されている)こんなに数に違いが出て、驚いています。これは何が原因なのでしょうか?また、どちらが正しい結果なのでしょうか?バックリンクされているサイトがSEOTOOLS的には良くないページとして認識されていたりするのでしょうか? http://questionbox.jp.msn.com/qa6708908.html

別の記事でも触れましたが、専門知識を要する質問を一般的なQ&Aサービスに投稿しても、的を得た回答はあまり期待できないでしょう。ということで回答してみます。

日本にもようやく数多くの無料で利用可能なSEO系分析ツールが登場しました。しかし、大事なことは情報の収集ではなく、その情報を正しく解釈し、どう活用していくかという点にあります。

その情報を扱うにあたって、きちんと「データソースはどこか」を把握することが重要になってくるのですが、意外とこの点について明記しているサイトは少数派だったりします。質問者さんのように悩んでしまうのは至極当然でしょう。

さて、個別のツールはさておき、一般論としてなぜバックリンク調査系ツールで数値が異なるのか。ざっと思いついたもので、次のような理由が考えられます。

  1. 検索エンジンの種類・数の違い
  2. 調査のための検索クエリの違い
  3. 情報取得の範囲(地域・言語)の違い
  4. 情報取得件数の計算方法の違い
  5. 情報取得件数そのものの違い

1つ目の検索エンジンの種類・数の違いとは、どの検索エンジンでバックリンクを調べているのか、という話です。あるツールはGoogleだけを対象とするかも知れませんが、別のツールはMicrosoft Bingかも知れません。あるいは、GoogleとBing両者で調査するかも知れません。はたまた、NAVERやBaiduを入れているケースもあるでしょう。

Googleのみで調査したバックリンクデータと、Google + Baidu + Bing で調査したバックリンクデータは、結果が当然違うはずです。

2つ目の検索クエリの違いとは、単純に link:(URL)なのか link:(ドメイン)なのかという違いから、link: を使わない検索クエリを投げている場合もあります。投げたクエリが異なれば返ってくる結果も当然異なります。

3つ目の情報取得範囲の違いとは、たとえば Google を例にとると google.co.jp で検索するのか、 google.com で検索するのか、それとも google.com.sg まで含むのか、といった違いです。言語の設定によっても変わります。どの範囲・条件で調査しているかによって、結果は異なります。

4つ目。単純に検索エンジンが表示する、○○○○件というヒット件数をそのまま表示するケースもあれば、バックリンク元ページとして取得した実数(調査過程で特定できた件数)を表示するものもあります。前者は画面上は10,000件と表示していても、実際に検索結果画面を遷移していくと30件以上は閲覧できないケースもあるため、後者のように実数を取得するタイプもあります。皆さんが裏方でどのように動いているツールを利用するかによって、得られる結果は異なります。

5つ目。サーバ負荷軽減や時間短縮のために、取得件数を自動的に制限しているものがあります。たとえばGoogleの検索結果は最大300件までしか遡らない、などです。情報取得件数を制限すれば、相対的に得られるバックリンクデータは小さくなるはずです。

以上ざっと説明しましたが、質問者、あるいは皆さんが利用しているツールがバックエンドでどのように動作しているかによって変わるということです。残念ながら日本のツールを見る限り、詳細に情報取得仕様を公開しているサイトは少ないので、データを見て推定する必要があります。

ちなみに、どの取得方法・件数がベストかというのは一概には言えません。データの取得目的とその後の活用方法・どういったアクションをしたいのかによって、取得すべきデータは決まります。ウェブ解析と同じですね。競合サイトがどんなアンカーテキストでバックリンクを張っているか知りたいなら、単純に件数表示するだけのツールは、その数の大小にかかわらず意味がないでしょう。アンカーテキストの大まかな分布を知りたいなら取得データはそれほど大きくなくてもいいかも知れませんが、Bing や Baidu もデータ取得先に含まれているといいですよね、といった具合です。

情報取得支援系SEOツールって無料でたくさんあって、URLやキーワード入れるだけで簡単にビジュアルな情報が取得できてとても便利なのですが、実は上記の通り、扱うためには相応の専門知識が必要だったりします。なので、個人的には、SEO学び始めの方にはツールに頼らないことを勧めています。

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