特定のサイトに張られているリンク(バックリンク、被リンク)一覧を参照するためには、link: コマンドに対応している検索エンジンを利用することになる。しかし、Google、Bing、Yahoo! いずれも、link: に対して完全なバックリンク情報を表示してくれるわけではない。Googleは全体のほんの一部をサンプルとして表示するだけであるし、Bing、Yahoo! (YST) はGoogleよりは多くの情報を閲覧できるとはいえ、すべてをカバーしているわけではない。Google Webmaster Tools や Yahoo! Site Explorer、Bing Webmaster などサイト管理者向けツールで閲覧できるリンク情報も然りだ。
また、いずれの検索エンジンも、単純にバックリンクのデータを表示するだけであり、各々のリンクがランキング生成時のスコアとして加算されているかどうかは定かではない。つまり、アルゴリズムによって評価なし(たとえばスパムリンク、有料リンク)とされたリンクもバックリンク一覧には掲載されている。
SEOにおいて、バックリンクの情報は自社サイトや競合サイトのoff-page分析において用いる機会が多いが、上記の通り「データは完全ではない」ということを念頭において取り扱う必要がある。また、各々の検索エンジンが提供する情報は不完全であることから、複数のソース元(つまり、Google、Yahoo!、Bing)からデータを取得して、それらを合算することによりバックリンク情報をできるだけ広くカバーするというアプローチは、たとえば、優良なサイトを探し出す場合に有効だ。とりわけ日本ではMicrosoft Bing の検索市場シェアは微々たるものであるが、SEOの一環としてBing Webmaster Toolsを活用する理由は、ここにある。
さて、バックリンク情報の取得先の1つとして見た時、今日のYahoo! JAPANの検索サービスは多くのユーザのブラウザでGoogle の自然検索結果が表示されるようになり、したがって link: 検索式を利用して被リンクを参照しようとしても、YST のものを閲覧することは難しくなってしまった。
しかし分析上の理由から引き続き YST のデータも取得したい場合もあるだろう。どうすればいいか?
ここで簡単な方法を紹介しよう。それは Yahoo! UK (http://uk.yahoo.com/)や Yahoo! Singapore (http://sg.search.yahoo.com/)など、引き続き YST の検索エンジンを採用している検索サービスを利用することだ。北米のYahoo!はBing検索プラットフォームに完全移行したが、世界各地のYahoo!がすべて Bingに完全移行するのは2012年頃とされている。つまり、カナダや米国以外のYahoo!検索サービスは、まだ YST が稼動しているところが少なくない。同様の理由で、 Yahoo! Site Explorer (英語版)も稼動している。したがって、こうした検索サービスを利用することで、YST が提供するバックリンクデータを取得し、引き続き Google のものを補完していくといったことは可能だ。
[おまけ] バイドゥやNAVERでバックリンク情報は見られないか?というと、これらは link: に対応していないため無理だ。ただし、強引に、たとえば "www.sem-r.com" -site:www.sem-r.com などと検索すれば、一応、バックリンク元サイト一覧を取得することはできる。