イタリアのコンピューターサイエンス教授・Massimo Marchioriは2012年2月6日、検索とソーシャルを融合した新たな検索サービス・Volunia (ボルニア)を世界に公開した。日本語を含む12言語で公開されており、現在のところ抽選でパワーユーザーを対象に試験提供している。
Voluniaは検索技術とソーシャルメディアを融合した検索エンジン。「検索とソーシャル」を耳にすると現在なら Google Search plus Your World (SPYW)を思い浮かべるかもしれないが、Voluniaはインターフェースレベルから全く新しい形の検索サービスを目指す。
商用検索エンジンが登場して15年以上の月日が経過したが、どの検索エンジンも未だにその軸をタイトル - URL - 説明文で構成された検索結果を提供している。Volunia はこの"呪縛"から解き放たれ、ハイレベルサイトマッププレビューという形でビジュアルに表現する。これは、画面に表示されたトピックから、自分の興味にあったトピックを選択する形式だ。さらに Windowsのエクスプローラー風の画面で訪問したサイトのストラクチャーも表示され、ユーザーは自分が欲しい情報を(サイト内で)ディレクトリ単位で探すこともできる。
Voluniaの最も特徴的で、かつ「Google対抗か?」と呼ばれるものが、Voluniaユーザーとの交流機能だ。検索結果には、サイトごとにVoluniaユーザーの閲覧数と、現在訪問しているユーザー数が表示される。さらに、サイトに訪問すると seek and meet と呼ばれるコミュニケーションツールを通じて、訪問中の他のユーザーと会話ができるようになっている。
ただし、6日の公開から1週間が経過した今、アクセス権が与えられた約10万人のユーザーからは検索品質の悪さに対する指摘が相次いでいる。また(これはまだクローズドベータという位置づけ故に顕著になることだが)Volunia のユーザーがあまりに少ないこと、同ユーザー間の人間関係がほとんど形成されないため、売りの1つであるseek and meetが全く機能していないという。
Voluniaを開発したMassimo Marchiori氏は、長年にわたりウェブ検索技術の分野を研究してきた人物。かつて彼が発表した Hyper Search というランキングシステムは、 Larry PageとSergey Brinという二人の人物にインスピレーションを与え、Googleの開発につながっている。
Volunia - Intuitive Visual Maps
Volunia
Volunia プレゼンテーション
http://www.unipd-cmela.it/volunia/
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検索のコラボレーション機能って、かつてGoogle、Microsoft(メッセンジャー使ったやつ)ほか、いくつかの新興企業がチャレンジしてきた歴史があると思うのですが、どれも上手くいっていないですよね。Voluniaのリアルタイム制の場合、いつ、どのサイトにアクセスしても一定のユーザーがいる程度に、アクティブユーザーが一定の(高い)クリティカルマスを超えないと全然機能しないと思うのです。新しいインターフェースにチャレンジするのもいいのですが、この点も個人的には疑問。変えなくていい部分と変えた方がいい部分があって、ちょっとしたビジュアル的な表現の違いなら変えない方がいいと思うのですよ。検索というタスクに、全く新しい概念のUI持ち込んで、かえって検索しにくくなったら意味がない。まぁ大抵の場合、UI以前に Volunia のように検索品質がGoogleに追いついていないという理由でユーザーが定着してくれない方が多いんですけど。
あと、カンファレンスは英語で話してほしいよね。イタリア語でやるから、サーチ系のメディアでさえ取り上げてくれないという・・・。