Google がパーソナライズ検索にまつわる「都市伝説」について解説している。
パーソナライズ検索により同じ検索クエリに対して皆が劇的に異なる自然検索結果を見ることがあると主張する人がいるが、それが誤りであることを丁寧に解説している。確かに検索結果が異なるケースはあるが、それはパーソナライズによるものではなく、現在地や言語、使用するプラットフォーム(OS)などによるものだと述べている。
また今日の Google検索はリアルタイムでインデックスが更新され、ユーザーの検索需要や注目度の変化に応じて常に更新される。こうした様々な事情により同じキーワードを用いてもスクリーンによって検索結果の違いが生じることがあるが、それはパーソナライズではないということだ。
Over the years, a myth has developed that Google Search personalizes so much that for the same query, different people might get significantly different results from each other. This isn’t the case. Results can differ, but usually for non-personalized reasons. Let’s explore…
— Google SearchLiaison (@searchliaison) December 4, 2018
検索結果が変化する理由については上記の Google の一連のツイートを参考にしていただくとして、ここでは以下、パーソナライズが行われなくなってきた背景について解説する。
パーソナライズが行われなくなった背景
パーソナライズ検索は2005年11月に最初のプロダクトがリリース、2009年2月からGoogleアカウントにサインインしたユーザーを対象に標準で検索結果がパーソナライズされるようになった(関連:解説:Googleパーソナライズ検索、全てのユーザに適用へ)。
同じ検索キーワードを使用しても皆が同じ検索結果を見なくなるかもしれない -- ということで当時の SEO業界関係者はパーソナライズ検索による SEOへの影響に注視していた。しかし専門家たちが実際の自然検索結果の変化の度合いを調査したところ、変化は限定的で軽微なものだということが判明し、近年はあまり話題にはならなかった。2009年に公開した先の記事で「検索結果の全てがそっくり他のページと入れ替わるのではなく、いくつかのページの順序が異なる、全体の20%が変化するかどうかのレベル」と書いている通り、この時点で影響は小さかった。
2000年代にパーソナライズ検索が注目された当時、私は複数の検索エンジン開発会社の技術者やソーシャルの専門家たちとこの話題について議論したことがあるが、その効果に懐疑的だった方が多数派だったことを覚えている。理由は次の通りだ。
パーソナライズ検索が効果を発揮するのは、ユーザーが四六時中同じ話題について検索をしている、そんな利用シーンの場合だ。しかし私たちは24時間常に同じことに興味を示すことはない。特にモバイル検索が台頭した現在は、手元にあるデバイスで、10年前よりもずっと多くの、そして多種多様な検索を行うようになっており、過去の趣味嗜好を反映することの意味がますます薄れている。Googleがツイートで述べるようにデモグラフィック情報やユーザープロファイルを一切使わないのは、検索品質の改善には役に立たない情報であることが研究で明らかになったからだ。
ソーシャル検索が関連性をより高めると一時期もてはやされた時期もあったが、廃れたのは同様の理由だ。「友達が好きなものを、あなたも好きとは限らない」に尽きる。
全体的な検索の品質改善や満足度を高めるならば、現在地や使用言語、直前(直近)の検索セッションのデータを用いた方がより効果的だ。モバイルユーザーは現在地に関連した検索を行う傾向が高いし、1つ1つのクエリは文脈を持っているから直前のセッション単位で反映したほうが効果的だからだ。
こうした事情により、場所や言語による違いはあるが、一般的なキーワードにおいて、顕著なパーソナライズによる変化はなくなっているのが現状だ。
なぜ今、Googleがパーソナライズ検索の解説を・・・?
ところで何故、Google がこのタイミングでパーソナライズ検索についてわかりやすい解説をしたかというと、DuckDuckGo が発表したフィルターバブル問題に関する調査結果 を踏まえたものだと推測する。興味がある方はこちらの記事もあわせて参照して欲しい。