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実質的に "Google"の検索サービス提供へ - infoseek 検索サービスのリニューアル

2003年9月1日、ポータルサイト infoseek が検索エンジン Google を採用した。表面上は infoseek + Google の2つの検索エンジンが併存、組み合わせた新たな検索サービスの提供、ということだが、実質的に検索サービスは Google のみ、というスタンスをとったに等しい。

 楽天株式会社が2つのポータルサイト「infoseek」と「Lycos Japan」を買収し、今年の6月にこの両者の統合が9月1日に行われる事は以前より発表されていた。この統合にあわせて検索サービスにも何らかの手が加えられるのではないかという噂はあったものの、結果は Google と infoseek という2つの検索サービスの併用という形だった。9月1日に公開された「インフォシーク検索ガイド」の説明を読むと、Google と infoseek 2つを上手に活用して情報検索を行ってください、といった説明が読み取れる。

 しかし今回のリニューアルは実質的に、インフォシークが「検索サービスは "Google" のみの提供」というスタンスをとったに等しい。

 

 なぜなら、形式的には Googleを「サーチ」、infoseekを「サーチPlus」と分類をして、ユーザーが選択できる形をとっているものの、デフォルトの検索は「サーチ」、つまり Google となっているからだ。検索ボックスの横にこの2つを選択するためのボタンがついているものの、多くのユーザーはこのようなボタンには気をとめない(というよりも、気がつかないだろう。ここに気がついているのはこの話題自体に興味を持っているSEO業界の関係者程度だ)。検索ボックスにキーワードを入力したら Enter キーを押すかあるいはそのまま検索ボタンをクリックしてしまうからだ。

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Google と infoseek の選択ボタン。デフォルト(初期設定)は Google (サーチ)に。

 インフォシークは今年2月に検索エンジンの改良を発表、「マルチ・プロセス・スコアリング」と呼ばれる新技術の搭載と共に検索データベース数の増加を発表し、検索エンジンの性能強化を発表していた。この時点ではインフォシークは独自の検索エンジンの改良を行い、「Google 頼み」の他のポータルサイトとは一線を画す戦略を採用するつもりだったのだろう。

 しかし実際にインデックス数は増加したもののクローラーによるウェブの再収集はなかなか進まず検索精度も以前と比較してそれほどよくなったわけでもなかった。実際、本日時点でいくつかのキーワードで検索を行っても、「サーチPlus」(=infoseek)の検索結果画面には、(1) 日付が不正確、(2) リンク切れ、(3)検索結果画面上の見出し及び説明文が古い、(4) およそ関連性の見られないページが上位に表示される、等、Google はおろか一般の検索エンジンと比較しても劣っている感が否めない。おそらく何らかの問題で検索技術開発に支障が生じ、検索クオリティの面で質・量ともに Google に遅れをとっていたことが、今回の Google 採用に踏み切らせたものと思われる。

 Google 1つではなく、Google + infoseek の両者の組み合わせによりユーザーに新たな形の検索サービスを提供したい狙いはさておき、ユーザーにこの検索サービスを満足させる為にはまず infoseek の検索技術の立て直しが先であろう。このまま infoseek がフェードアウトし、Google による検索サービスとなれば、インフォシークの独自性が薄れてしまうことになる。

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