ラスベガスの不動産業者、Lorne Cramer がPPC広告を使ったところ1日で $5,000 使ってしまったというお話から (Inman News)。
PPC広告で1日に$5,000 (約55万円)といったら大金です。同氏の今までの1日あたりの広告費は $200 なのですから明らかにおかしいのですが、このクリック数、実はLorne Cramerの競合相手による不正クリック(スパムクリック)だったのです。Lorne Cramer の広告を複数回クリックすることで広告費を浪費・尽きさせるという謀略です。
この不正クリックに対しては、同氏の PPC広告を手伝っていた Vegas IDX の Rob Emerick が協力してこれらの大半が故意に行われた不正クリックであることを証明した結果、Overture に申し立てをしてそれらの大半を課金対象から外してもらえたそうです。
11月の Google の検索アルゴリズム変更(通称 Florida Update)の余波により、多くの不動産業者が PPC広告へシフトしたか、サーチオプティマイゼーションやそのほかのWeb広告へとシフトしたのですが、Rob Emerick 氏は PPC広告にはこういった(不正クリックによる請求)のリスクがあることを指摘しています。
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Google アドワーズ広告やオーバーチュアでは確かにこのお話のような不正クリックが問題になります。高い入札額を入れている競合他社の広告費を無駄に使わせる、それによって上位への入札をあきらめさせるという戦術(?)は実はこっそりやっている企業はあると思います。ありますよね。キャッシングや自動車保険といったクリック単価が1,000円を超えているキーワードでは特に(1クリックあたりの費用も大きいですから)やっている社員がいるんじゃないかなと。上記のお話のように本格的な方法はとらなくても、たとえば何かほかの調べ物をしている時にたまたま競合他社の広告を目にして「お、とりあえずクリックしとこ♪」ってことはたぶんやるでしょう(私はやりますが :) ・・) こんなクリックが積もり積もれば、高額キーワードの場合はなかなかバカにならない広告費用になってくるでしょうね。その意味では Rob Emerick 氏の指摘するようにリスクはあるでしょう。
ところで、大規模な不正クリックをやるためには手の込んだことをしなければなりません。Google もオーバーチュアも不正クリック対策はいろいろやっています。たとえばオーバーチュアの例を紹介すると、
「クリックプロテクションシステム」はルールベース(rule-based)とパターン認識の両方による推測理論に基づきどのクリックが有効であるかを判断します。...(省略)...判断の基準は通常20〜50項目に及びます。判断基準に使用される主要項目は以下のようになります。...(省略)... クリックプロテクションシステム」がある特定のクリックを無効と判断した場合は、お客様への請求情報にはそのクリックが無効である旨の表示がされ、そのクリックに対する課金は行われません。
オーバーチュアは「クリックプロテクションシステム」という技術を使って不正クリックを識別しているようです。たとえば IPアドレス、IPアドレスの属するネットワーク、検索するキーワード、入札価格、クリックの日時といった様々な条件とつきあわせて有効なクリックのみ課金するようにしているそうです。
Google アドワーズ広告も同様に「スパムクリックへの対処法」として「弊社では自動システムに加え、無効なクリック操作を検出する専門のチームを配備」しているそうです。
私は過去に米国のとある中規模のPPC広告を利用していた時、毎日平均して7〜10クリックしかないのに、とある時間だけなぜか3時間ほどの間に100を超えるクリックがされたことがありました。しばらく放っておいたら、月に3,4回だけそういった短時間の間に大量のクリックが行われることがあったため「このクリックはおかしいよ」とPPCプロバイダーにクレームしたところ、あっさり「問題ない」と言われたため、即座に契約を解除したことがありました。不正クリックに対処しないとこのように広告主からの信用を損ねることになるので、オーバーチュアもアドワーズ広告も不正・スパムクリック対策は必死に行うわけです。
Paid search racks up steep charges [Inman News]
[参考]