SEMリサーチ

企業で働くウェブマスター向けに、インターネット検索やSEOの専門的な話題を扱います

URL は誰のためのもの?

Webサイトリニューアルに SEO を絡めた案件でよくクライアントから次の質問を受ける。

「ディレクトリの名前の付け方って何かルールありますか?」

「新規にドメインも取得するんですけど、SEO的によい案ありますか?」

・・・少しでも対検索エンジンの効果を狙って、できるだけのことはやりたい、しかもこれからWebサイトを作るのだから今だからこそ導入できるSEO対策は盛り込んでおきたいのは人情だ。

ところで、上の質問は「URLにキーワードを含めると効果がある」という前提のもとでの質問だが、本当に URL にキーワードを含めると効果があるんだろうか。

結論から言うと、検索エンジンの中にはURL内の文字列を検索順位決定のために考慮するものがある。例えば Google はセマンティック技術を利用してページが何について記述されているかを決定する際の情報として取り扱う。けれども「文中テキストのようにウエイトを置かない」。検索エンジンが最も重視する文字列は文中テキストとリンク(アンカーテキストリンク)で、それ以外のクローラの目に見えないものなどはあまり評価をしてくれないわけだ。

では、キーワードを入れた方がいいのか?という話になるが私たちが扱う日本語の場合は英語の例をそのまま適用できない。例えば私がこのサイトをキーワード "SEO" で最適化しようと思ったら、これは URL に含められる。英語だからだ。でも、キーワード "自動車保険" を URL に含められるだろうか。

www.mydomain.com/自動車保険/

こんな名前は残念ながら付けられない。

では、

www.mydomain.com/jidoushahoken/

これならどうか?というと、検索エンジンは jidoushahoken = じどうしゃほけん = 自動車保険 などとウェブマスターに都合の良い翻訳(解釈)などしてくれないので無意味だ。そんなわけで、ターゲットとするキーワードが英語・アルファベットであれば URL に入れても問題はないが、それ以外のキーワードでは対策のしようがない。

今度は幸運にもターゲットキーワードが英語・アルファベットで URL に含められる人たちのことを考えてみよう。仮に "search engine optimization service" で最適化しようとしてみよう。

www.sem-research.jp/search-engine-optimization-service/

キーワード "entertainment center furniture" でURLを最適化しようと思ったら

www.sem-research.jp/entertainment-center-furniture/

こんな感じになるわけだが、ウェブマスターであるあなたは「SEO対策になるから」と思っても、それを見るユーザーはどう感じるか、ユーザーの立場から見てこの長いURLはどう思われるだろうか。

これに対して、先日ニューヨークにて行われた SES conference にて、米Googleの主任研究員(senior research scientist)のCraig Neville-Manning氏と、米Yahoo!のTim Mayer氏が口をそろえて「あまり URL にこだわるな、ユーザーにとってわかりやすい意味のあるものにしよう」と話している。Tim Mayer はさらに「あまり URL を変にいじっているとペナルティーが与えられることもある」とも話している。

先ほどの例であれば、ユーザーにとっては

www.sem-research.jp/seo-service/

こちらの方が短いし意味もすぐに読み取れる。同様に

www.sem-research.jp/furniture/

この方がわかりやすいわけだ。URL はユーザーが目にするものだし、インターネットに習熟したユーザーはディレクトリ名から自分がいま訪問している場所を推測しようとしたりする。そういったことを考慮して、URL は検索エンジンのためにつけるのではなくて、ユーザーにとって意味がある名前にしようというわけだ。

最近 SEO に取り組んでいる人たちを見ると、みんなが共通して勘違いしていると思われることがある。それは、SEO において重要だと言われるテクニックを全て並列的に「同じように重要なもの」と考えて全てを実践しようとしていることだ。

例えば、私が下に SEO を行う際のコツ(すぐに実践できるもの)を30個並べたとしたら、その30個を「全部重要であり全部取り組まないといけないもの」と考えてしまうわけだ。

しかし実際にそういうことはない。個々の、いわゆる「テクニック」「コツ」と言われるものの中にも「重要度」と「優先順位」という概念もある。例えば、「titleタグには必ずページ毎に内容を表す文言をつけると共にキーワードも1つ入れておく」といったらこれは非常に重要度が高いし他の何においても優先的に対策をしてほしい内容だ。

でも、「bodyタグの直後に文章を入れろ」というのは(個人的には)重要度は5段階で2程度のものだし、優先順位も5段階なら1程度のものだ。なぜなら、Webサイトのレイアウト・デザインによっては body タグ直後に文章を入れたらかえってサイトのデザインが醜いもの、ちょっとプロフェッショナルには見えないサイト、「なんでそんなところに文字が入っているの?デザインだいなしじゃない」ということが少なくないからだ。

Webの設計段階において上手に組み込んで、レイアウトとうまく調和しているものなら良いが、そうではないとちょっと格好が悪い。従って、「 body タグ直後に文章を入れるのはいい」ことは確かにそうかもしれないが、それがもたらす効果を天秤にかけたら優先順位も重要度も高くないわけだ。というか、現実には body タグ直後に文章を入れているのに h1 タグできちんと表題をつけないサイトが多いのはどうかしている。

話が少しそれたが、要は何事にも優先順位や重要度があるから、それらをうまく選択せよ、URL は確かに「効果あるか、ないか」と問われたら「ある」になるがでも重視されないのだしユーザーのことも考えたら SEO の視点よりも ユーザーの視点を重視してあげたほうがよいというわけだ。


執筆者:渡辺隆広(わたなべ・たかひろ):1997年より検索エンジン業界の仕事に従事。アイオイクス株式会社チーフアナリスト、ACWS JAPAN SEMアドバイザー。現在は検索エンジン市場の最新動向および分析を中心に活動を行う。インターネットマガジンにて連載中。著書に「検索にガンガンヒットするホームページの作り方」がある。

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