2008年後半のリスティング広告関連のトピックスとして、最も注目をしたいのが、7月17日に発表された、ヤフーとオーバーチュアの新広告「インタレストマッチ」だ。
インタレストマッチは、Web ページ閲覧中のユーザーの興味・関心にマッチした広告を配信する、いわゆるコンテンツ連動型広告に近い。しかし、これまでのコンテンツ連動型広告は、 Web ページのコンテンツを解析しページの内容に合った広告が自動的に配信されていたのに対し、インタレストマッチは、それに加え、過去の閲覧ページや直前の検索履歴、性別・年代・地域などのユーザープロパティ情報、配信の曜日・時間帯を加味し広告が配信される。すなわち、これまでのコンテンツ連動型広告に比べ、さらにターゲティングの絞り込まれた、高い効果を見込める広告と言えるだろう。
広告のターゲティング精度を高める動きは Google アドワーズ広告でも見受けられ、例えば「過去の検索履歴」を参照し、それに関連する広告を表示させている。(「イタリア」→「留学」と順に検索をした場合、「留学」の検索結果には1つ前の検索クエリを反映し「イタリア留学」の広告が表示される。)このように、各媒体からターゲティング精度を向上させる新機能が続々と登場しているが、これらは検索会社・リスティング広告媒体社が根本に持つ「ユーザーのニーズにぴったり一致した情報を返したい」という考えを反映した自然な流れと言えるだろう。
冒頭でインタレストマッチに最も注目したいと記したが、その理由は2つあると考えている。
1.巨大な広告配信ネットワーク
インタレストマッチは、巨大ポータルサイト Yahoo! JAPAN のサイト内に配信される(※)。月間400億ページビューを数える Yahoo! JAPAN に配信されるということは、Google のコンテンツターゲット広告に匹敵する誘導をもたらす可能性を秘めている。インタレストマッチを利用することで、突如広告主サイトのページビューが増加することも想定されるため、リーチを拡げたい企業も、より成果数を獲得していきたい企業も、活用することをお薦めする。
(※)この他、大手主要サイト、Yahoo! ウェブオーナーセンター内の広告配信プログラム「アドパートナー」を通じての配信も予定。
2.信頼性の高いユーザープロパティデータ
インタレストマッチでは、ユーザープロパティ情報を加味し広告が配信されると記載したが、このユーザプロパティ情報は Yahoo! JAPAN ID より取得をしている。Yahoo! JAPAN ID を通じ、Yahoo! ショッピングや Yahoo! オークションを利用するユーザーも多いため、他媒体と比較をしても、信頼性の高いプロパティ情報が登録されると言ってよいだろう。そのため、広告配信のターゲティング精度にも期待ができる。
巨大な広告配信ネットワークと、信頼性の高いユーザープロパティデータを持つインタレストマッチをいかに有効活用できるかが、2008年後半における SEM の成否を分けるポイントとなるだろう。
執筆:株式会社アイレップ 専務取締役 インターネットマーケティング事業部長 紺野俊介